第15話 霜星花の栞
「あー、つっかれたー」
自室に戻ったフェルナンドは、コートを脱ぎ捨てて椅子に体を預ける。花火が目に焼き付いてちかちかしているような気分だった。コンコン、と部屋の扉がノックされる。入ってきたのは侍従だった。
「殿下、今お時間よろしいでしょうか」
「どした?」
「ルミ・ハーヴィ殿下より、書簡が届いております」
その言葉を聞いた瞬間、彼は体を起こす。
「ルミから?」
「はい。こちらです」
「さんきゅ」
侍従から手紙を受け取り、そっと開く。中には一枚の便せん。そして、花びらの先が青く染まっている、見たことのない白い花の押し花が貼りつけられた栞が、入っていた。
『フェルへ
お元気ですか? こっちはしんしんと雪が降り積もり、白銀の世界が広がっています。
最近は熱も下がってきて、お庭を散歩するようになりました。近頃は霜星花の花が咲いています。きれいな花なので栞にして送りました。本を読むときにでも使ってください。
また会える日を楽しみにしています。
追伸 フェルがしまちゃんに変なことを吹き込んだから、しまちゃんが過保護です。どうにかしてください
ルミより』
手紙を読んだ彼は軽く吹き出した。
「元気そうで何よりだわ」
フェルナンドはそう言いながら、真新しい便箋を一枚取り出した。
『ルミへ
元気そうでよかった。俺も元気だ。こっちは相変わらずの気温だぞ。俺は慣れてるけど、お前だったら暑いって文句言うんだろうな。
栞、ありがたく使わせてもらうわ。色がちょっとルミみたいでかわいいな。
多分近々いい知らせができると思う。楽しみに待ってろ。体をちゃんと冷やして、用心して過ごせよ。
追伸 お前は無理しがちなんだから、そばにいる奴がちょっと過保護な方がちょうどいいだろ。甘んじて受けろ。
フェルナンドより』
彼はペンを置く。綺麗な封筒に手紙を入れた。
「……こういうときの封蝋って、ちょっと凝ってたほうがいいのか? ……姉貴、なんか持ってねえかな」
栞を机に置き、彼は立ち上がる。さんさんと照りつける太陽が、白い花を明るく照らしていた。
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