第13話 二度もやらせるかよ
ルミがイルヴェリアへ帰国してから三日後。フェルナンドは捜査本部となった会議室にいた。
室内には数人の文官と軍人、そしてリカルドがいる。机の上には大量の報告書と地図、押収物の写真が並べられていた。
「……で?」
フェルナンドは椅子に深く腰掛けたまま口を開く。
「何が出た」
情報局員の一人が書類を差し出した。
「白陽学宮地下から、旧式魔力中継装置の一部が発見されました」
「太陽の檻関連か?」
「可能性は高いかと。さらに――」
別の資料が机に広げられる。
「学園へ搬入された魔石の流通経路を追跡した結果、複数の架空商会を経由していたことが判明しました」
「架空商会か……。資金源は?」
「現在調査中です。ただ、アルヴィン商会との接点が複数確認されております」
局員は世界的軍需商会の名前を出す。フェルナンドは小さく舌打ちした。
「……臭ぇな」
リカルドが静かに口を開く。
「仮に各国次期指導者の大量死が帝国内で発生していれば、帝国と各国の関係悪化は避けられなかったでしょう」
室内の空気が重くなる。
「だよな。……戦争狙いか」
「可能性は高いかと」
情報局員は頷いた。フェルナンドは腕を組む。
「また、トラベシーアの貴族との接触履歴を持つ人物も確認されております」
「……大戦の敗戦国か。面倒なのが繋がってんな」
フェルナンドは書類をぱらぱらとめくる。そこには生徒名簿が載っていた。
「怪しい動きを見せたのは、カサール男爵子息か……」
「事件直前、大量の魔石購入履歴があります」
「……確か彼の家はモンテリア公爵の又従兄弟では?」
「軍拡急進派か……」
バラバラだった点が、少しずつ線になり始めていた。
「太陽の檻の再照射は可能か?」
その問いに、室内が静まり返る。
「……現状では不明です。ただし、装置の一部は未回収です」
「つまり、まだ終わってねえ」
「はい」
フェルナンドは深く息を吐いた。脳裏をよぎるのは、光に焼かれたルミの姿だ。
『……みんな、無事……?』
目覚めた直後、彼女が最初に確認したのは自分の体ではなかった。
「……二度もやらせるかよ」
低く呟く。彼は机の上の資料を掴み上げた。
「発射地点候補と、魔石流通先を洗え。研究施設が残ってるなら潰す」
「殿下自ら出られるおつもりですか?」
文官の問いに、フェルナンドは金色の目を細めた。
「当たり前だろ。これは帝国の不始末だ」
その声には、静かな怒気が滲んでいた。
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