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小侍従、季を渡る ~光源氏のハーレムを阻止したかっただけなのに~  作者: 春凪とおる


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幕間二  返さねばならぬもの——ことばは整ってしまう

文は、届いてしまう。

届けられたからには、返さねばならない。


——そういうものらしい。


秋も終わりに近づき、風は少しだけ冷たい。

こういう季節は、ことばが冴える、と言われるけれど。

だからといって、増えなくてもよいのではないか。


「お返しは、お早めに」


——借金か。


女房が、やわらかく言う。

やわらかいが、逃げ場はない。


文をひらく。


整った文字。

整いすぎたことば。


こちらに、何を求めているのかも、なんとなくわかる。


——つまり、同じように整ったものを、ということだろう。


硯に向かう。

少し考えて、筆をとる。


ことばは、すぐに出てくる。

困ったことに。


冬近い 風にまかせて 散る言の葉

返す便りも 遅れぬものを


書いてしまえば、あとは早い。


「これで、よろしいでしょうか」

「ええ、とても」


やはり、整っているらしい。

それで、よいのだろう。


文は、すぐに届けられる。

遅れることもなく、

迷うこともなく。


——そういうふうに、できている。


ことばは、整ってしまう。


それが、少しだけ、困る。


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