表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/31

幼なじみから…

成一はいつも通り、席について授業の用意をしていた。だが成一の意識は全く別の方に傾いていた。



「そうなんだ!」



この明るい声の主は美鈴。



「うん、県外目指してるんだ」



「へぇ、頑張ってね!」



「美鈴ちゃんに言われると嬉しいなぁ」



美鈴と話している男子生徒。名前は確か新崎健太。


バスケ部に入っていた気がする。この高校のバスケ部はかなり強いらしい。


成一は部活をしていないのでよくわからないが健太はバスケ部のレギュラーらしい。



美鈴は最近、この新崎健太とばかり話していて成一とはあまり話そうとしない。



昼御飯や夕飯も最近、作ってくれる事が無くなってきた。



成一は危機感に似た感情を抱えていた。



考えたくもないが美鈴が新崎と付き合う事になってしまったら…と思うと落ち着いていられなかった。



「明日土曜日だし二人で何処かに行かないか?」



「うん、行こう! 、何処に行く?」



成一は全神経を美鈴と新崎の会話に総動員した。










次の日



「オレ、何やってんだろ?…」



成一の独り言は空気に消えて行った。



成一が今来ている場所は遊園地。成一は美鈴と健太の後を着けていた。

























「成一、どんな顔してる?」



優人の茶化したような口調。



「うん、かなり怖い顔しているよ」



そして双眼鏡を持った陸人。



成一と少し離れた所に優人、陸人、恵美、優里は居る。陸人が双眼鏡を使い、成一や美鈴、健太の様子を見ていた。



陸人は少し不安そうに、恵美も同様、優里は妙に真剣に、優人はニヤニヤしながら成一の方を見てる。




そしてもう一人。



「ふふ、面白くなってきた!」



テンション高くそう言ったのは美鈴の友達、西川陽子。何処か楽しんでいる様子だ。



「上手くいくのかしら」



優里はポツリと言った。



「行くに決まってるじゃない!この作戦は完璧ですぜ!」



陽子が優里に冗談を入れつつ答える。



「じゃあ、僕達に今出来るのは…」



「見守る事だね」



陸人の言葉を恵美は見事に繋げた。



「成一、焦ってるだろうな、西川さん、そろそろ頼むわ」



優人はニヤニヤしながら陽子に何かを頼んだ。


「了解!」



陽子は軍人よろしく返事をして何やらメールを打ち出した。



実はここ最近、美鈴が成一を避けてるのは優人達の仕込みだった。



優人が美鈴に説明した訳だが上手く説明するのが大変だった。


ただ、新崎と友達になってくれ、と言うと美鈴は直ぐに笑顔で頷いてくれた。


ただ、成一を避けてくれともお願いした。



"美鈴ちゃんにとって良いことあるから騙されたと思って頼む"と言うと美鈴はそこの部分は相当、渋々だったが頷いてくれた。



因みに健太は陽子の彼氏だ。



成一と美鈴がなかなか進展しないが故、もどかしさを感じ、優人達4人は健太と陽子を巻き込み、グルになって実行した。


最も、健太と陽子はかなりノリノリだったが。



その事を知らず成一は美鈴と健太の後を呪いでもかけれそうな程睨みを効かせて後を着けているのだった。


















成一は二人を見失わないように、しっかり後を着けていた。



美鈴と健太は手を繋ぎながら歩いている。



成一は必死に嫉妬の感情を抑えて尾行に集中した。



「あぁ!?」



成一は思わず物騒な声をあげてしまった。



何故なら目の前で美鈴と健太が目を瞑ってキスをしようとしているのだ。


成一はとうとう限界に達した。





「何やってんだ!テメェ!」



成一はダッシュで二人の所に向かい、右ストレートを健太に向けて放った。


だがバスケによる反射神経からか間一髪で避けられた。だが成一も負けてはいない。


成一は昔から美鈴にナンパしてきたり、健太のように美鈴を取ろうとした男子を蹴散らしていた為、喧嘩慣れしている。


その為、喧嘩ならば成一の方が有利だ。


成一はそのまま素早く、両腕で健太の後頭部を抑え、無理矢理前屈みにさせた。そしてその体勢から右膝蹴りを健太の腹部に叩き込んだ。



健太の表情が歪む。



「成一!やめて!」


更にもう一発腹部に膝蹴りを入れようとした所で美鈴に止められた。


美鈴の声に成一はハッとなり、思い止まった。



僅かな沈黙が流れる。



健太は既に逃げたようだ。

だがそんな事はどうでも良かった。成一は自分の中の何かが外れた気がした。



「何でだよ…」



成一は口を開いた。出た言葉がこれだった。



「成一?」



「何でオレじゃない男とデートなんかしてんだよ」



支離滅裂な事を言っている自覚はあった。


幼なじみの自分が言う言葉ではない。


だが、成一はもう耐えられず、本心をそのまま言っていた。



「え?」



「何で最近、あまり話してくれなかったんだ…」



「ごめん…」



謝る美鈴を成一は抱き締めてしまった。



遊園地だと言う事も人の目がある事もこのときはまったく気にならなかった。



美鈴を離したくない。誰にも渡したくない。成一はその一心だった。



「他の奴に取られる何て冗談じゃねぇ、オレ、美鈴の事が好きなんだ」



美鈴は前半の言葉よりも後半の言葉が耳に入ってきた。この言葉は美鈴がずっと欲しかった言葉だ。



「成一…」



美鈴も成一を抱き締め返した。



「私も成一の事小さい頃からずっと大好きだよ!」



美鈴は顔を真っ赤にしながらも成一に自分の想いを込めて言葉を返した。

















「おい」



「ん?」



「ん?、じゃねーよ!どういう事だ!!」



成一はこの日最高の大声で言った。



あの後優人達が出てきて冷やかして来た。



そして、何故ここに居るのか問いただして今に至る。



成一は今の今まで遠くから尾行されていたようだ。



優人ならともかく、陸人や恵美、優里が参加してた事には驚きだ。



「だからそのまま、健太は私の彼氏よ」



「…じゃあ何で美鈴に…」



「あぁ、あれ、新崎の演技だよ」



「は?、じゃあ、美鈴がオレを避けてたのは?」



「俺達の仕込みだよ」



健太は笑いながら耳打ちしてきた。



「何の為に…」



「まぁ細かい事に拘るなよ、二人ともようやく気持ちが言えて良かったんじゃないか?」




「「…あ」」



優人の言葉に成一と美鈴は顔を真っ赤にした。



「そうそう、まぁそう言う事で」



優人の言葉に健太が同意して。



「「じゃあね!」」


優里と恵美、陽子が同時に言って。


「僕達もう帰るから後は二人で楽しんでね」



陸人が最後に締めくくり、ダッシュで6人全員帰ると言う見事なチームプレイを見せた。


健太もかなり身体を鍛えていたのか先程の膝蹴りが効いた様子もなく平然と走っている。




残された成一と美鈴には再び沈黙が訪る。



「成一」



沈黙を破ったのは美鈴だ。



「ん?」



「さっき言った事本当?」



美鈴が言うさっきとは言うまでもなく成一が勢いのまま言ってしまった告白の事だろう。



「勿論本当だ、気付いたのは1年ぐらい前だけど本当はそれよりずっと前から美鈴の事が好きだったかもな」



成一はしっかり美鈴の目を見て言った。正直心臓はこれでもかと言う程早く脈を打っていて息が苦しい。



「そうなんだ…私もさっき言ったけど成一の事好きだよ…うんうん、大好き!」



美鈴は顔を赤くしながら言った。その姿は本当に可愛らしいと成一は思った。



「オレと…付き合ってくれるか?」


美鈴の答えは勿論決まっている。


「うん!」




思えばこうなるまで長かった。

家で物を食べるのも、遊ぶのも、勉強するときも、必ずって言って良いほど美鈴はいつも成一の隣にいた。


美鈴の事はずっと好きだった。4歳の頃から。


それを思い出したのが数ヵ月前。


そして、美鈴の事を異性として好きだと言うのに気付いたのが一年前。


二人はようやく、恋人同士になった。






「そうだ、折角だし遊園地回ろう!」



「おう!」


さっきまで尾行していてそっちに神経を総動員していた為気づかなかったがそう言えばここは遊園地だ。


成一は今頃遊園地だと言う事を思いだし、テンションが急上昇した。


「あれ乗ろうぜ!」


「いや、あっちの方が乗りたい!」


気付いたら1年ぐらい前と同じく成一と美鈴は走ってアトラクションに向かっていた。




fin

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ