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喧嘩のような…

成一は教室で頬杖をつきながらため息をついた。



後悔の二文字が頭の中で浮かぶ。



成一は隣に座っている美鈴を一瞬見る。



美鈴の表情は不機嫌そうだ。成一の方を見ようとせず、机も着けずに離されている。



二人の雰囲気(くうき)は最悪な状態だ。



遡る事1時間前。


事のキッカケは朝、成一が高校に行く支度をしている時だった。



「珍しいな早く来るなんて」



「うん、早く目が覚めたから早く来ちゃった」



「そうか」



成一は平静を装いつつも内心は美鈴の笑顔を少し見ただけで顔が火照る。



成一はトーストにバターを塗ろうとした。



「イチゴジャムの方が良いよ」



と言って成一のトーストにイチゴジャムを塗られた。



「おい、オレはバターで食いたかったんだけど」



成一は思わず文句を言ってしまった。



「どうして?食パンと言ったらイチゴジャムだよ」



美鈴は口調はいつも通りだが怒っている表情だ。



「いや、普通バターだろ、第一、人のパンに勝手に塗るなよ」



普段こんな事では喧嘩など、しない。だが、今回は何故かイラついてしまった。



「もう良いよ!、成一のバカ!」



パチン!



「痛てぇ!!」



気持ちの良い音が鳴ったと同時に成一は頬を押さえた。美鈴にビンタされてしまったのだ。



「おい!…アイツ…」



成一は声をあげたがビンタをした当の本人は既に玄関から出ていってしまった。









現在



成一の頬にはまだほんのりと痕が残っている。



成一はまたため息をついた。








昼食の時間。



「美鈴、今日の弁当は?」



成一は恐る恐る聞いた。



「成一の弁当何か無いよーだ!、あっかんべー!」



小学生のように舌を出してダッシュで何処かに行ってしまった。



成一はまたもため息をついた。さらば、昼飯よ…。



隣では陸人や優人達が苦笑いしていた。









放課後



成一は現金を持ってきていないため、今日は空腹で乗り越えた。



「お前、美鈴ちゃんと喧嘩したのか?」



遅いだろ、と言うツッコミを入れる気力もなく。



「あぁ」



と返した。



「早く仲直りした方が良いよ」



優人に続いて陸人が言ってきた。



「わかってるけど…」



成一は黙るしかなかった。どう美鈴に言ったら良いかわからない。



「どうして喧嘩したのかわからないけど謝れば良いと思う…」



最後に恵美が言ってきた。



成一は心の中で同意しつつ、言葉が返せなかった。






いつも通りコンビニのアルバイトをした。空腹に耐えながらだったが人間、やれば出来るようだ。




帰り道。



美鈴は既に怒っている様子はないがまだ機嫌は斜めそうだ。いつも明るい美鈴があまり喋らないと変な感じだ。



成一は謝るために頭の中で色々シュミレーションをしていた。


深呼吸をした。


(よし、謝ろう!)


意を決して成一は口を開いた。



「美鈴」



返事は無いが美鈴は顔を向けてくれた。


美鈴の表情は不機嫌そうだがそんな美鈴も可愛らしく成一には見えた。



成一は思わず違う方に思考が行ってしまったが直ぐに戻して美鈴に言葉を発した。



「今朝は…その…悪かった、ごめん…」



ただ、いざ謝ろうとすると頭が回らなくなり、こんなシンプルな言葉しか出なかった。



「うん、良いよ、私もごめんね」



だが美鈴はいつもの笑顔を浮かべて許してくれた。



成一はホッと一安心した。



今回のような喧嘩は出来れば避けたいものだ。気まずかったうえに空腹との戦いにもなった。



ん?空腹?。



「美鈴、夕飯は…大丈夫だよな?」



成一は昼間と同じように恐る恐る聞いた。



「うん、勿論大丈夫だけど 、どうしたの?」



美鈴はケロッとした顔で聞いてきた。まさか昼の事を忘れてしまったのだろうか。




「今日弁当受け取れなかったから空腹何だけど…」



「弁当…あ!」



美鈴はようやく思い出してくれたようだ。



「ごめんね、成一!」



美鈴は笑顔で謝ってきた。成一は途端に心臓の鼓動が早くなるのを空腹と共に感じた。


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