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279:アルトス

優しくなったアルトスさんは敵だった相手にも少しだけ優しい。


5月5日追記

誤字で敵が的になってましたけど、あながち間違いではなかったのかも・・・



今のところ戦闘の意志は無くなった事を伝え、彼ら・・・時代人というらしい。なんでも次の時代を生きる命に刻まれる種族のようなものだと教えられた。



そして彼らの目的、今日までの出来事、そして歴史に関してを聞いていた。どうやら彼らが生きる時代は今ではなく、遥かな未来、もしくは別の次元で生きているらしい。



いきなりぶっ飛んだ話をされたのだが、話を聞いていく内に嘘は付いていないのだということくらいはわかった。驚いたのは彼らが知る歴史を、俺が最後に知る歴史とは少し違っていたことくらいだろうか。



なんでも俺は、彼らの生きる時代では、遥か昔に英雄となった『アール』と共に蘇らせようとしていた『神』を討ち滅ぼしたもう一人の英雄として記録に残っているという。ただ、俺の名前だけはどうしてもわからなったらしい。



やっぱり詰めが甘いぞアール。どうせ残すのならしっかり名前も残しておけ馬鹿。



そんな馬鹿なんだが、驚くことに、『アール』は『アール』としてその世界に再誕し、生きているのだという。全く信じられないことではあるが、嘘をついている様子もないし、彼らの口から、『アール』がよく使っていた奥義の話も聞いたので間違いないだろう。



「け・・・・けけけけけ剣聖だけじゃなくて魔剣聖もでてくんのかよぉ・・・・・」



「やめろ。その魔剣聖というのは気に食わん。次に言えば斬る」



「マジですみませんだからそのチャキってさせるのやめてくださいなんでもしますんで」



「今」



「なんでもするって」



「言ったよね?」



何やらよくわからんことを始めた時代人。先の時代ではそういう合図のようなものが流行っているのか? 時代というのはよくわからんものだ。



「アルトス様の名が世界に・・これほど嬉しいことはありません・・・!!!」



「X、いちいち泣くな。それと俺の名は残っていないだろうが」



こっちはこっちで何か感傷深いようで泣いてるのか喜んでいるのかわからないまでに顔をクシャっとさせている。名を刻むことが俺の夢だったのに、肝心の名ではなく、称号のような物しか残っていない。しかも少し気に食わない。



なんだ『魔剣聖』って。魔ってなんだ魔って。もっとあっただろう。いい感じの通り名くらい。



「そんなことはありません!! 貴方様のことを記す記録があるだけでも私にとっては感激の嵐なのです!!!」



「・・・わかったからその泣いているのか喜んでいるのか分からない顔をやめろ。あと近い」



「ありがとうございます!!!」



「褒めてない」



「なぜだろう・・・アールじゃないはずなのにアールに擦り寄る害虫を見てる気分」



「アタシも同意・・・DNA情報でも積んでるの?」



よくわからん会話をする二人組が、何故かこちらをジト目で見てくる。どうやら別の世界とやらにいるアールもかなりの苦労人みたいだ。詰めが甘いから問題ばかり起こすんだアイツは。



「アルトスさん。一ついいかな?」



「ん、なんだもやし」



「もやっ!!?」



「プギャァァ!! もやしざまぁ!!」



「チーザーさん。君が、もやしもやし言うから僕の名前間違われてるじゃないか!」



「アルトスさん。この人はもやしじゃなくてルシオンって言うんですよ」



「そうなのか。ではもやしとは通り名のようなものなのか?」



「アヒャヒャヒャヒャ!!! ダメだ通り名『もやし』はやべぇぇwwww!!!」



「やめてチーザーさん!! 私笑いすぎてお腹痛いぃ(((o(*゜▽゜*)o)))」



「???」



やはり別の世界というのはよくわからん。Xも何故か笑いを堪えているし何か面白いことがあったのだろうか?





――――◇――――

※特別翻訳『アール(アルトス)内心』

これ絶対ルシオンにあったら俺笑うやつだ・・・!!

――――◇――――





「お・・・オホン!! アルトスさん。この塔は一体なんなんだい?」



笑われている中、話を戻そうとする男。そして問われたのは当然といえば当然と言える疑問。



「ここは記憶の塔。死した命がある目的のためにだけ蘇る場所・・・らしい。俺が蘇った時には既にここに関することを知っていたからそうなんだろう」



「もしかしてそういう設定なのかな?」



「だろうなぁ」



「アルトス・・・ではこいつは・・・」



何やらこそこそと話す面々。意味ありげに俺を何度もチラ見する男。ブツクサと自分の思考回路に意識を落とす者など。変わり者ばかりだ。



「その目的とは一体?」



「蘇らせた者たちを超える力を与える。それがこの塔の目的らしい。そんなつまらんことに俺たちを再誕させたと知ったときは破壊してやろうと思ったものだ」



自分のために戦うのはいいが、初めから敗北を決定づけられた戦いなどするに値しない。だからこそ、その思惑をぶっ壊そうと塔へやってきた奴らを皆殺しにしていたんだがな。



数人、それを聞いて震え上がったり、思わず獲物に手が伸びていた。が、Xがひと睨みして腰に携えた刀に手を添えているのが見えると、おとなしくなった。



Xの殺気は並大抵の奴では抵抗すらできないものだ。仕方なかろう。同時に先程まで見なかった殺気を当てられて、本当に本気で戦っていなかったと理解したらしく、顔色が悪くなっていた。



「だがお前たちの戦いに『アール』の面影を見た。そしてお前たちの話を聞いて核心に変わった。今も昔も、生まれた場所が変わっても、アールは変わらない奴なんだと」



そしてこっちの『アール』は死んでも尚、誰かに自分を残し続けた。今思えばここに呼ばれたのはもしかして、俺にアイツのことを教える為だったのではないかと思えてしまう。



「だが、悪いところも相変わらずだ」



「わ・・・悪いところ?」



「詰めが甘い。どうせ教えるならしっかり教えんか馬鹿者が。お前らの様に未熟な月光真流モドキでは戦いになれば長生きできん」



「「「「「「「「「「うっ・・・」」」」」」」」」」



「しかも余計なアレンジまで加えているし何よりもつまらん。なぜ衝撃を殺す。受け止め、増加させて倍返し位はして見せろ。でなければ受け流した隙を突かれて殺されるに決まっている。他にも踏ん張りは甘いし周囲への警戒も甘い。最初に言ったが気配を殺す相手がその気になれば塔に入った瞬間皆殺しにだって出来るにも関わらず、周囲の変化にばかり目が行くような未熟者ばかり。数人はこちらに気がついたが気づくのが遅い上に、動きもトロい。戦っている時だって行動が目線でまるわかりだ。それではこちらに次がこう動くと教えているのと何も変わらない。他にも」



「ちょ・・・ちょっと待ってくれ・・・アンタに言われるとキツイものがある・・・」



そんな見所があった一人の男が自分の胸を押さえて項垂れている。見た目からは17歳くらいだろうか。どこか似たような雰囲気があるがそんなことはどうでもいい。



「事実だ。受け止めろ。お前に関しては特にそうだ。何やら武術を噛んでいたようだが余りにもひどい。見様見真似で『月光滅流』を使おうとしているのはわかったが中途半端な上に下手すぎる。まるで鍛錬をサボったマヌケのようだった。それでも他の連中に比べればまだマシではあるが、一つ極めてもいないのに他のものに手を出そうとするのは馬鹿のすることだ。やるならまずは一つに絞ってやれ。もし鈍っているなら他に手を出すのではなく鈍ったものを磨き直せ愚か者」



「がはっ!!?」



「れ・・・零司っ!!!?」



「む・・・胸が痛くなる・・・・」



月光滅流モドキを必死になって使おうとしていたのはわかったがあれは酷すぎる。全員に関してだが曰く『月光征流』などというなんちゃって『月光真流』を使い有頂天になっているのが隠しきれていない。



並大抵の相手に関してはそれで十分通用するだろうが、それで満足するようでは甘い。舐めているのかと言いたくなるほどに腹が立つ。



「いいか。見ていろ」



「う・・・うぅ?」



立ち上がり、岩人形を地面から一つ作り出す。大きさは人と同じくらいのもので、強度はかなりあるはずだ。腰に携えた剣を抜き体より若干後ろで構える。



意識するのは体を巡る全ての衝撃。そしてこれから生まれる衝撃を全て剣に載せる。



「これが本当の『月光滅流』だ」



―――騎龍サジット





――――◇――――





それは、余りにも美しかった。



それは、見ただけで本当の月光滅流であると誰もが思った。



生み出された岩の人形を、数m離れたこの場所から穿った一撃。剣が伸びたわけでも、近づいたわけでもない。



けれど、アルトスと名乗った彼が構えた剣を岩人形へと突き出した瞬間。目に見えない衝撃が岩人形を破壊した。



音もなく、勢いも感じない静かな衝撃が、まるで砂の山を吹き飛ばしたかのように、岩人形を破壊した。



「これが月光滅流極星十二宮奥義が一つ『騎龍サジット』。月光滅流を極めた先にあるものの一つだ」



私は、改めて思った。『アール』としての励久は別次元で強かったけど、その強かった理由に納得が行った。



こんな怪物のような強さを持つ相手が好敵手なら、励久は絶対に強くなろうとする。その結果が今の励久を生み出したんだって。



「この塔の思惑に乗ってお前たちに『天翔サジット』を教えてやる。だが俺はアールほど優しくはない。生きてこの塔から出たいなら死ぬ気で覚えろ。覚えられなければ死ぬだけだ」



「「「「「はい?」」」」」







――――◇――――

特殊ワールドクエスト『星の記憶』

目的:月光滅流十二宮奥義『天翔サジット』の習得。

成功条件1:月光征流を一定以上習得。

成功条件2:『記憶の塔』に現れる相手を20人以上撃破。

成功条件3:『天を極めたシ者:アルトス』の心を動かす戦いをする。

成功条件4:『天翔サジット』を習得する。

失敗条件1:成功条件をどれか一つでも満たせなかった場合。

失敗条件2:成功条件満たす前に参加者が全滅する。

イベント達成報酬:100000D、スキル習得の書『UtS:星の祈り』

○○報酬:5000000D、スキル習得の書『UtS:悲願の果て』

――――◇――――

星が見せたのは可能性の記憶。

星が願ったのは過去に夢を託した男を世界が知ること。

星が祈るのは死んだ男に未来を見せること。

星は祈る。死んだ男が次の時代へ何かを残すことを。

その願いが叶うかどうかは貴方たちに託された・・・

――――◇――――

UtS:『星の祈り』

効果:戦闘時、全ステータス数値が1.5倍になる。この効果は他スキルと重複する。

――――◇――――

UtS:『悲願の果て』

効果:全てのASが無効化される代わりに、ステータス値が全て3倍になる。ただし身体能力には影響しない。

――――◇――――


自分で自分を否定できる男、藤宮励久。実際劣化版なので仕方ない。

ちなみに『アール』よりもかなりきついことをサラッといいます。例え可能性の自分自身だろうとためらいませんはい。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 騎龍サジットなのに、覚えるのは天承サジットなんですか?
[一言] アルトスさん。 魔剣聖が嫌なら、自身だとどんなネーミングを付けるんだろう? (魔剣とか聖剣とか、普通にある世界なので 強大な力と引き換えに制御を誤れば自身の破滅を招く様とか、 ネーミング的…
[良い点] も や し [一言] 鍛錬が足りてないのが解っているだけに過去に抉られてる零司くん。ガンバ(`・ω・´)
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