255:星術師の力 Ⅱ
アール完全復活。
主任X『キャァァ!!! 二人の愛が重くて深いぃ!!!! 素敵すぎて逝っちゃいそう・・・!!!』
社員D『一般人が見たらやべぇ二人だよなこれきっと』
社員A『だろうなぁ・・・可笑しく見えない、寧ろ素敵だと思う俺らは絶対異常者だろうな』
社員H『異常者で結構!! 俺は異常者でいい!!』
社員K『なんかそんな感じの名言なかったっけ?』
社員R『うーん・・・思い出せん』
社員B&C『(完全に沈黙、三重殺し喰らって七割死亡中)』
「超越月光流十二宮奥義『天雷進瓶ドラグレイエリシオン』!!」
『ギギィ!!?』
「よっ、待たせた」
「遅ぇよ。どうせイチャコラしてたんだろテメェ」
「えっ? 嘘でしょ!!? こら女狐!! こっちが時間稼いでる時に何してんのよっ!!」
「余所見してないでさっさと蝙蝠倒すわよ」
戦線復帰と同時に真横から叩き込んだ一撃が『ヴェノミードラゴキュラ』を吹き飛ばす。吹き飛んでいく『ヴェノミードラゴキュラ』はゴロゴロと転がりながらも態勢を立て直していく。その眼光はまっすぐこちらを捉え、溶解液発射の体勢に入っていた。
「来るぞ!」
「あいよ!!」
発射された溶解液を回避して左右から挟撃する形で俺とマー坊が突貫する。『セブンアイズドラゴキュラ』と違ってコイツの眼球は顔にある二つのみ。隠れた眼球は時折瞼を開けるが、視線さえ分かれば回避は容易である。
『ギキギィ!!』
「あがっ!!?」
「っチィィッ!!」
ここに来て超音波での妨害行為をまた使ってきたか。リークが封殺していたからその分をほかの行動に回していたが、こいつにはこれがある。
頭を掻き毟るような痛みが襲い、視界が歪む。歪む視界の中見えたのは両腕に出現した巨大な眼球。溶解液が来る。
「いい加減その手は飽きたのよクソ蝙蝠!! 『キラーピアーズ』×600!!」
『ギギキキギィ!!?』
現れた眼球、俺がいる右側の巨大なそれにレイレイの攻撃が突き刺さる。レイレイの表情も苦痛で歪んでいるが、それでもここまで動いてみせた。
「40秒は無効化する!! 全力で突っ込んで!! スキルクリスタル『ブラッドホールメガハーモニクス』!!」
リークが取り出した結晶を砕くと、先程まで超音波を無効化していた魔術と同じように、超音波が無効化されていく。と、同時に蝕んでいた激しい頭痛が消えていく。
「女狐! なんでスキルクリスタルなんて使ってんのよ! 普通にスキル使いなさいよ!」
「『星術師』発動しちゃうとEX以外の専用スキル使えないのよ!」
「はぁっ!!? ならどうしてそっち使ったのよ!!? 馬鹿じゃないの!!?」
「一個50万Dするスキルクリスタル使ってやってるんだから問題ないでしょうが!! 口よりも体を動かしてさっさと殺れ!!」
ごめんレイレイ。実はそれ俺を助けるためにやってくれたことなんだ。申し訳ない。所でまた新しいアイテム名聞いたけどスキルクリスタル? しかも一個50万Dってヤバくないか?
「ゴリラ!!」
「わかってる!! 眼球だろ!!」
再加速で再び距離を詰めていく俺たち二人。『ヴェノミードラゴキュラ』は自分に傷をつけたレイレイを目の敵にしており、溶解液は全てそっちへと向かっている。
ダンスでも踊るかのように溶解液を回避しては、スキルによって浄化を行い激臭と、それにより起きるであろう何かの対策は万全だ。
『ギキィ!!?』
「「おせぇ!!」」
『ヴェノミードラゴキュラ』が俺たちに視線を向けたとき、既に間合いの中に俺たちはいた。マー坊は振りかぶった方天戟を、俺は『艶姫刀:クヴァレイドル』にて居合い切りの構えを。
「『武神撃』!!」
「天匠流抜刀術『鏡雀』!」
巨大で強大な一撃と、幾戦にも及ぶ斬撃が両腕にある眼球を断ち切る。すぐさま『ヴェノミードラゴキュラ』の懐から後ろに抜けるように駆け抜けていく。
「超越剣聖流抜刀術『天風朧雀』!!」
眼球だけでなく、身体のあちこちに手当たり次第の斬撃を叩き込み、再生の為の力を眼球に集中させないように分散させていく。横目で見ればマー坊も同じように刃を突き立てながら、魚でも捌くかの様に肉を断っていく。
飛び散る体液と溶解液が多少俺たちに付着するものの、この程度はダメージに値するものじゃない。
『ギキィ!!!』
それがどうしたと言うように、『ヴェノミードラゴキュラ』は肉体を急速に再生していく。やっぱり何度見てもコイツの再生能力は桁違いだ。
「再生するために自分の能力を再生能力寄りに弄ったよね今きっと」
『ギキィ?』
「それが命取りよ! ソラより来たれ火天星! 灼熱の光で敵を討て!『星術:アルカブプリオス』!!」
星空に強く輝きを放ち浮かび上がったのはいて座。いて座を作る光星の一つが強く輝くと、弓矢で射られたかのようにまっすぐ『ヴェノミードラゴキュラ』を貫いた。直後、『ヴェノミードラゴキュラ』がのたうち回り苦しみだした。
「今だよアール!! コイツの能力を反転させた!! 今なら高速再生はできないはず!!」
「マジかよリーク!! 愛してる!!」
「私も貴方を愛してるーっ!!」
「イチャつくなバカァ!!」
「バカみたいなやり取りの中でとんでもない事してんなオイっ!!」
「僕だってやってみせる!!!」
能力を反転させるとか強すぎだろ『星術師』の専用スキル。確かに『ヴェノミードラゴキュラ』の傷の再生速度が目に見える速度で遅延している。瞬きの速度で再生していた傷が、ゆっくりと進む時計の振り子レベルにまで落ちている。
「気合入れてくぞ!! ここで勝負の流れを掴む!!」
口に出さずとも、リークを除く全員の攻撃が前腕部へと集中する。『ヴェノミードラゴキュラ』もそれを理解したのか、再生が完了するまでの間、必死に防御に回る。だがそれでも、俺たちの方に分があった。
防御に回れば俺が月光真流を叩き込み、直接ダメージを胴体へと叩き込む。こいつは俺が『最も注意しなければならない相手』だと理解しているから、一度胴体への侵入を許してしまえば殺られると知っている。
再び胴体に潜り込もうとすれば俺を迎え撃つために防御から攻撃へと転換せざるを得ない。だが攻撃してきたのなら、今度はこちらが防御に周り『白月』で受ければ受け止められる。受け止めた瞬間は動きが止まるので、俺以外の三人による攻撃が簡単に通る。
ならば超音波で動きを封じようとすれば、リークが再び超音波による障害を無力化する。無効化できる相手を先に仕留めようと動けば、俺に隙を見せることになり、俺がその隙を逃すはずもなくデカイ一撃を叩き込む。
傷を再生しようとすれば再びリークの『星術師』のスキルで能力を反転されてしまい再生能力が著しく落ちる。そのため防御に回るしかない。
あとはこのループだ。全く同じモーション、行動パターンではないが、どうしても生き残るためには似たような動きをするしかない『ヴェノミードラゴキュラ』。自慢の耐久力も、数の前にはどうしようもないようで怯まずとも逃げを選ぶしかなくなる。
ソロであそこまで苦戦した『ヴェノミードラゴキュラ』を、パーティーの能力を最大限生かすことでここまで変わるのは正直想像以上だった。
「いい加減にこれで墜ちろ!! 『武神撃』!!」
『ギキィ・・・・・・!!』
戦闘開始から30分が経過した頃、マー坊の一撃を受けて、ついに『ヴェノミードラゴキュラ』が崩れ落ちた。虫の息ではあるものの、まだ息のある『ヴェノミードラゴキュラ』。その体は既にボロボロで再生能力はもう発揮できていない。
それでも、ボロボロの身体を必死に起こそうと足掻く『ヴェノミードラゴキュラ』だが、その気合に体は応えることができず、地面へ崩れ落ちていく。相手を溶かすはずの溶解液も、相手ではなく自分の身体を蝕む毒と変わり、ゆっくりと身体を溶かしていく。
もう何もせずとも俺たちの勝利は揺るがないだろう。このまま自分の溶解液でのダメージで死ぬことをきっと『ヴェノミードラゴキュラ』も理解したんだろう。必死にあがこうとしていた顔から気迫が抜けていき、自身の死を悟ったように落ち着いた表情でこちらを見ていた。
『・・・キキィ』
「あぁ、強敵だったぜ。『ヴェノミードラゴキュラ』。またな・・・超越月光流最終奥義『天月海放』!!」
――――◇――――
・特異個体『セブンアイズドラゴキュラ』及び特異個体『ヴェノミードラゴキュラ』撃破。
・生存者『アール』『リーク』『レイレイ』『俺はマー坊』『ルーク』
・生存者『従者:ディア』
・戦闘終了に伴い、封鎖していた戦闘エリア『テリオン渓谷エリア:ボスフィールド』を開放します。
――――◇――――
・『セブンアイズドラゴキュラ』『ヴェノミードラゴキュラ』を撃破しました。
・レベルアップ!:アールはレベル64になりました。
・特異個体登場討伐報酬:『腕装備『慧眼ノ眼装』』が『慧眼ノ眼装:双』に変化しました。
・賞金:120000Dを獲得
――――◇――――
腕装備:『慧眼ノ眼装:双』
防御力+524 特殊能力『慧眼』『超回復』
・すべてを捉える驚異な眼と回復力を持つ『セブンアイズドラゴキュラ』の進化個体『ヴェノミードラゴキュラ』がその力を認めた相手にのみ与える籠手。そしてこの籠手こそ絶対強者の証とも言える。
――――◇――――
・特殊能力『慧眼』
この装備は他の腕装備に重ねて装備できる。重ねて装備した装備は『非破壊装備』となり、破壊されなくなる。シリーズスキル発動条件の装備数を1少なくする。
――――◇――――
・特殊能力『超回復』
攻撃を受けるたびにHPを大回復する。さらに戦闘中4回まで、MPを全て消費することでステータスをを含め、HPを全回復できる。
――――◇――――
社員B&C『(死亡確定)』
主任X『いい戦いでした。ごちそうさまでした』
社員A『だれかーBとCをモーション部屋に突っ込んどいてー』
社員H『りょーかい。J手伝って』
社員J『いいよ。ジュース一本で手を打とう』
主任ZZ(他職場以下略)『(誰一人として死体蹴りに関して何も思わない・・・ウチの方がまだマシかなぁ・・・)』
尚ZZの部署もおまいうな場所らしい。ちなみにZZの部門の名称は数字記号を使用する部門。主に王国部門。あとはわかるな?




