254:星術師の力
アールの今の状態ですが、某特撮ヒーロー秋桜に変身するムサシ隊員が終盤、カオスマンとの戦闘で傷つき、先生に検査してもらったところ『フルマラソンを休みなく走り続けた状態』と言われたあの状態です。外側の負傷はなくとも体内がぼろぼろな状態。
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時間は遡る。ちょうど『ゲルゲナート』出現前にアールたちがミスリアで食べ歩きをしていた頃。とある時刻、とある場所。
最後の試練を乗り越えて、新たなる時代を導く星の担い手が誕生していた。
「おめでとうございます。時代人リーク。いいえ、こう呼ぶべきでしょう。新たなる星術師。『星術師:練魔』へと至った者リーク」
「ありがとうございます。ミールさん」
「お礼をいうのは私の方です。この試練を貴女はたった一人で突破して見せてくれました。彼と協力することだって選べたにも関わらず」
彼というのはもはや言わずもがなアールのことである。現在いる時代人の中で『星術師』になり得る資格を有しているのはアールのみなのだから。
だが、『星術師』の継承者である彼女、ミールの言葉通り、リークはアールが条件の一つである『星の魔術回路』を極めるのを待ってから訪れるという選択肢もあったのだ。
「それじゃぁアールと同じ場所には立てませんから。私は一緒にいたいんじゃなくて、同じ位置に立っていたいんです。彼は私よりもまだ先にいますから」
「・・・愛する人のそばに居るだけではまだ足りない。そういうことですか」
「はい。そばに居るだけなら誰だってできます。でも私はそれだけじゃ物足りないんです」
「ふふ、彼は愛されてますね」
「本当にそうですよ。私だけじゃなくて他にも同じくらい思ってる人が大勢いるんです。だから誰にも負けたくないんです」
「その覚悟の結果が『星術師』という形に変わったわけですか」
「でもまだ足りません。もっと強く。もっと多く。少しでもアールの近くに行くために私はできることを惜しむつもりはないですから」
「貴女の想いが彼と共にあることを、正しく星の意思を伝える『星術師』として歩み続けてくれることを私は切に願います」
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エクストラジョブ:星術師『練魔』
太古よりその魂を受け継ぐ人々によって守られてきたジョブ。
試練を乗り越えた先に、星の錬金術師の力と星術師の力を備え持つ人の姿。星と共に歩を進め、その思いと願いを地上に知らせていく星の代弁者。
習得条件
『星を生み出すものの試練』『星の力を司る者への試練』をクリア。
◇専用スキル(星術師『練魔』)◇
・星術回路開放
星術の発動が可能になる。星術師の基本スキル。『星術回路開放』発動後、戦闘終了時まで『EXジョブ』専用スキル以外の専用スキルが発動できない。
・星術『水天星』:対象とする相手のHPに影響を与える星術。
・星術『火天星』:対象のステータスに影響を与える星術。
・星術『天地星』:対象とする範囲に影響を与える星術
・星術『???』:未開放
・星術『???』:未開放
―――開放条件:『星の錬金術師』確認。専用スキル開放―――
星術『水天星:アルバリオス』
・対象のHPが1割以下の時、HPを0に、もしくは最大値まで回復する星術。対象が『瀕死状態』で肉体が一部でも残っている場合、蘇生する。
星術『火天星:アウストラリス』
・対象のステータス値上限が100以上の場合、総合ステータス数値を0に、もしくは1000+する星術。
星術『天地星:レグルス』
・対象範囲に生命が3以上存在する場合。すべての生命がリンクし、すべてのステータスを共有する。ステータス値はリンクした生命がそれぞれ持つ最も高い数値を参照とする。ただしHPは1000となり、誰か一人でも0になると全員0となる。
◇専用スキル(星の錬金術師)◇
・錬金術:ベースとなるモノを一つ選択する。
①:対象を含む二つ以上のアイテムを使用して別のアイテムへと作り変える
②:対象としたアイテムに別のアイテムの力を与える。
③:アイテムを使用して対象となるものを強化する(一定時間)
・再構築:壊れた物を再生する(大きさによりMP消費量変化。アイテム不要)
・分解:ベースとなるモノを一つ選択する。その物体を破壊してひとつ前の状態に戻す
・星錬
『星』と名のつくアイテムを使用して様々なアイテムや装備を制作する。また触れたモノに別の物に作り変える(アイテム不要)。
生物の場合は相手に特殊状態もしくは異常状態を付与
・星錬破壊
触れたモノを破壊する。生物の場合は大きなダメージを与え、ステータスに悪影響を与える(いずれかのステータス値が2つ激減する)
星術師『練魔』特殊効果:スキルによるMP消費量が1/2になる。
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「アール私のために死んでもいいって思える?」
「ちょっ!? リーク姉ちゃん!!?」
「何を今更・・・当然だろ?」
「はぁっ!!? 師匠馬鹿すぎない!!?」
「うん。じゃぁちょっと心臓止めるね?」
「あいよ」
まるで『ちょっと本借りていく』みたいな感覚でリークは、俺の持っていた『艶姫刀:クヴァレイドル』を拝借し、俺の心臓めがけて真っ直ぐに貫いた。
貫いた刃に血が流れ、体が冷たくなっていくのが分かる。痛みなく突き刺さった『艶姫刀:クヴァレイドル』をリークはすぐさま抜き、倒れる俺の体を抱きしめる。
『瀕死状態』となり、体の感覚が消えていく中で、リークが俺の胸に手を当てて意識を集中させている。
「空に座する水光星。その威光を癒しに変えて愛する者を救え『星術:水天星アルバリオス』」
直後空が星空へと姿を変えた。俺たちの頭上には水瓶座が浮かび上がる。水瓶座を構成する星の光が俺とリークを囲むように落ちてきた。
地面に描かれた星座は光となっていく俺の体をつなぎ止める様に強く輝きを放った。輝きはやがて水に変わり、欠損した体を構成する肉体へと変化していく。それだけじゃない。溶解した全身に水が入り込み体に同化していく。
消えかけていた意識もはっきりと戻り、自覚できるほどの身体の不調が嘘の様になくなっている。それだけじゃない。下手をすると今までで一番調子がいいまであるほど絶好調である。
「調子はどうかな?」
「問題なく動ける。すごいな星術師の力ってやつは」
「制約はキツいけどどれも戦況を一瞬で変える術ばかりだし、蘇生スキルを持っているだけでも充分お釣りが来るレベルだよ」
蘇生スキル。このゲームに置いて蘇生という概念はほぼないといってもいい。アイテムで『HPが0になったとき回復する』などのアイテムや『HPが0になった時に発動する』などの復活スキルはあっても。『0の状態から回復する』というスキルは存在していない。
上記の『0になった時』というのは0ではなく正確には0.1などの限りなく0に近い状態からの回復なんだ。故に回復が可能なのだ。
『瀕死状態』が意味するのは0そのもの。あとは光の粒子となって泉送りにされるしかない。『瀕死状態』になってしまえば回復アイテムでは回復できないのは当然だし、スキルによる回復も不可能。やり直す以外手段はない。
故にプレイヤーは皆、必須スキルとして『AS:復活』を必ずつけているのだ。戦闘中一度とはいえ『瀕死状態』から復活出来るのはありがたいし、復活系アイテムの節約にもなる。
だが最近はその復活そのものを無効化してくる敵が増えている。特異個体やワールドシナリオボスなどが挙げられるだろう。故にここに来て『蘇生スキル』を持つことが何を意味するか。
「えゅ!? リークねえちゃすごすぎぃない!?」
「ルーク噛み過ぎよ。少し落ち着きなさい」
言わずともわかるだろう。パーティーの『蘇生スキル』持ちが生き残ってさえいれば全滅を免れるのだ。仮に回数制限があるとしても、復活スキル・復活アイテムを無力化してくる敵がいても、復活が可能になる。
ゾンビアタックなどのゲームバランスに影響を与えかねない戦法すら可能にする超絶スキルなのだ。『命は投げ捨てるもの』とか誰か言い出しそう。
ともあれ、俺の体も先ほどのボロボロから完全回復したウルトラマンモス健康体へと覚醒したのだ。これでまた戦える。
「リーク、そのスキルあんまり口外するなよ?」
「しないよ。このメンバーの時だけしか使うつもりないし」
ならば良し。これがきっかけでゲームバランス崩壊とか勘弁願いたい。ある意味もうバランス崩壊してるけど、ボスには対策立てて、慣れていけば勝てるはずだから良しとしよう。
「さてと・・イチャイチャできるのもあと4秒だしまた戦闘お願いねアール」
「イチャイチャてお前・・・心臓に刀ブチ込むイチャイチャがこの世に存在してたまるか」
「そうだね。だから・・・」
「ったく・・・ルークよそ見しとけよ」
「??? どゆこ・・・ぴゃ!?」
キスの味は、二人の血の味がした。優しくて柔らかくて、愛おしい血の味だった。一秒にも
満たない時間、血を絡ませて交わった一つの影が二つに戻る。
「いってらっしゃい。死んじゃダメだよ?」
「行ってくる。お前以外に殺されないように頑張るよ」
数ある作品あれど主人公を殺せるヒロインがいるのはきっと少ないはず。さらにヒロインに殺されることを是とする主人公ともなればもっと少ないと思う。
躊躇いなく刺殺しましたし、されましたよこの二人。しかもその後イチャイチャし出すし。




