253:『剣星』VS『ヴェノミードラゴキュラ』 Ⅱ
どうなるでしょう?
現状
アール:致命傷
リーク:カスダメあり
レイレイ:無傷
マー坊:7割
ルーク:カスダメ多数
ごめんなさい。FEに夢中でこっち手付かずでした。誤字報告、感想皆さんありがとうございます。
「舌噛むんじゃねぇぞアール!!」
大地より現れた巨大で真っ赤な牙が『ヴェノミードラゴキュラ』を喰らうように突き刺さっていく中、俺の体はマー坊に首を捕まれ『ヴェノミードラゴキュラ』から引き剥がされるように遠ざかっていく。
「大地に吹き荒れろ祝福の風! 侵食する邪悪に癒しを!『リィンフォース』!! 祝福の風、我らに癒しを!『リィンフォース:キュア』!!」
「っっっ!!!」
マー坊に連れられてきたのはルークの隣、ルークはすぐさま手持ちのアイテムをぶつける様に使用して俺の溶け落ちた箇所を回復していく。付着したままの溶解液はレイレイのスキルにより浄化されていく。
ルークに関しては何を言っているのかわからないくらいに言葉をつなげて俺に浴びせてくるが、その目からは大粒の涙をポロポロと流していた。レイレイに関しても言いたいことよりも俺が何を望んでいるのか理解してくれたのか行動に移してくれている。
「おっまっいい加減にしろってマジで!! そういうのやるのは俺とかの役目だろうが馬鹿!!」
マー坊。それ自分で言うなって。まぁ実際言うと俺が誰かに『特攻してこい』っていうのが嫌なだけなんだけど。それなら俺がやるし。それに自分で考えをその場で変えて突っ込むのが一番勝率上がるから余計にな?
復元されていく手足の感覚を確かめるように動かしていく。比較的溶けていた部位が少なかった右手の復元が完了し、動いたその手で首筋のディアを撫ぜると、プルンと動いて反応を返してくれた。思考を読み解いたディアが俺の全身を再び覆い『双子星』装備を装着してくれる。
ついでに確認っと・・・うん。アナウンス通り『メタリアクト』装備が所持品から無くなってる。『双子星』装備のまま突っ込まなくて本当に良かった。装備破壊系の相手と戦うのは心臓に悪い。
せっかくの装備がなくなってしまい、そのせいで即死してニューゲームとか寝込むレベルで辛いから。というか寝込むからなマジで。
ディアが仲間になるアフターならこういう事出来るから安心できるけど、本編ストーリーだと戦闘中は当然、移動途中だってぱぱっと装備変更なんて出来るわけじゃないから、場面を予測して装備を変更しておく必要がある。
諦めも肝心ではあるけども、どうしても失いたくない装備がある場合は、ここぞという時以外は仕舞っておくのである。まぁそれで殺られたら身も蓋もないので基本は最高装備を付けるんだけど。
「蝙蝠風情がよくもやってくれたわねっ!!」
「ぶっ殺す!!」
女性陣二人が修羅の形相で『ヴェノミードラゴキュラ』へと攻撃を繰り出していく。対する『ヴェノミードラゴキュラ』も顔面への攻撃は怯むようで防御のために両腕で顔を隠しながら、溶解液発射で迎撃していく。
「やらせるかよ!!」
当然こちらにも降ってくるのだが、マー坊が方天戟を回転させ、風を起こす事で飛んでくる溶解液から俺たちを守ってくれている。
「『エンチャントオブテンペスト』『フレイムランサー』!!」
「『キラーピアーズ』×600!!」
リークは雨のように炎の槍を『ヴェノミードラゴキュラ』へと降り注いでいく、その間を縫うように何度も攻撃を繰り返すレイレイ。それでも尚『ヴェノミードラゴキュラ』は健在だ。
「ガキんちょコイツの回復任せるぞ!!」
「うん!!」
回復ポーションが効果を発揮しキラキラと光の粒子が集まり、溶けた身体の節々を復元していく。回復率51%って所だろうか。左腕は二の腕まで復元。溶け落ちた腹部の各部位もディアとポーションによって徐々に復元中。両足はまだだが、止血はディアがしてくれているので問題なし。
このペースで行けばあと60秒弱で身体としては復活だろう。それまで三人が『ヴェノミードラゴキュラ』の注意を引きつけてくれればいいのだが。
「まぁそう上手く行くなら訳ないわな」
『ギキィ!!』
最も驚異的な相手が現在手負いで動けない状況だと知ったら誰だってダメージ覚悟でそいつから潰すのは常識だ。身を屈めていたのはどうやら周囲の状況把握のためだったようだ。
随分とまぁいいようにやられてるとは思っていたけどそういう事だったのか。現在、俺の姿は先程までマー坊の体で隠れていたため、様子を伺えなかった状態だったんだろう。
もしフェイクなどで俺が動けないフリをしていた場合、いたいしっぺ返しを受ける。そのため確証を得るまで防御に回っていたのだ。
だがマー坊が攻めに転じたため、俺の姿がはっきりと見えたわけだ。両足を失っている今しか攻め時はないと踏んだんだろう。屈めていた身を起こし、俺に向けかって這いずるように突進してきた。
右手は動く、ちょい無理するが逃げれそうだな。
「アール、ルークも。その場から絶対に動かないで」
「・・・了解。信じるぜリーク」
リークから待機の指示。迷いなく言い切った言葉と態度を信じ、俺は身構えずに、自然体で回復するのを待つ。『ヴェノミードラゴキュラ』との距離が徐々に縮まり残り5m。4・・・3・・・2・・・1・・・
「『相転移』!!」
『キギィ!?』
「ほう?」
「すっごっ!!?」
俺たちの距離が零になる瞬間。俺たち二人と『ヴェノミードラゴキュラ』の位置が入れ替わった。それはまるで俺たちが透明になり、『ヴェノミードラゴキュラ』が通り過ぎていったかのようだった。
『ギキィ!!』
「そこジャストよクソ蝙蝠」
再突撃をしようと方向転換を始めた『ヴェノミードラゴキュラ』が勢いを殺し始めた瞬間、地面から空へ向かって一筋の雷が登っていった。雷は『ヴェノミードラゴキュラ』の身体を突き抜ける、雷に貫かれた『ヴェノミードラゴキュラ』はその場で全身を痙攣させて身動きを封じられた。
「3秒くらいしか持たないと思うから殺りなさいゴリラ!! 女狐!!」
レイレイによるトラップで、『ヴェノミードラゴキュラ』は身動きを封じられた。レイレイはその時間を約3秒と見て残る二人に言葉を投げつける。
「『武神迅雷』『武神業激陣』!! ゥラァァ!!!!」
「壊滅を生み出す禁断の刃、赤き血潮で染め上げたその刃を持って魂を滅せ!『ブラッドホールメガブレイド』!!」
初めに、リークの魔術が『ヴェノミードラゴキュラ』を襲った。周囲に浮かび上がった10にも及ぶ巨大な剣が『ヴェノミードラゴキュラ』の四肢を貫き、胴体を地面に縫い付けるように突き刺さっていく。
同時にトラップの効力が切れたようで、痙攣していた体が再び動き出す。突き刺さった刃を物ともせずに動こうとした所に、強化を終えたマー坊が襲いかかる。
まるで拳で殴るかのように、軽々と方天戟を振るい、『ヴェノミードラゴキュラ』の顔面を殴打していく。刃ではなく面を当てるようにしているため切断されることはないが、切断されないため溶解液による反撃もない。
無理やり突き刺さっていた剣から片腕を引き抜いた『ヴェノミードラゴキュラ』がマー坊に対し攻撃を始めるが、マー坊は先程までの『ヴェノミードラゴキュラ』同様ひるむことなく、むしろダメージを負うごとに速度が増している。
「オラオラオラオラどした蝙蝠!! 俺はまだまだやれるぞぉおお!!」
『ギギィ!!!』
我慢比べのように殴り合う二人には、それぞれの相手以外見えていない。やられたらやり返す。またやられたらまたやり返す。単純だが究極とも言うべき殴り合いの応戦だ。
「アール。今のうちに一気に全快まで持ってくからもう少し我慢して・・・『ハイエリクシア』」
生まれた隙を見て、リークが俺たちのもとに駆け寄ってきた。溶解部から目を逸らさずに両手で傷に触れて魔術を発動。アイテムを使用して徐々に集まって身体を復元していた光の粒子が、魔術によるブーストで復元速度をさらに早めていく。
だが回復しているのは体だけで、俺自身、正直これ以上動けるとは思えない。時間さえあれば行けるだろうが連戦による疲労と、想像以上のダメージで身体にガタが来ている。
「アール。正直に答えて。回復終えたら戦えそう?」
そんな俺のことを知ってかリークがそういった。嘘をついて誤魔化す理由などないので素直に答える。
「正直厳しい。体が元通りでも素直に動かせる気がしないな」
「やっぱりね・・・よし、覚悟決めた。メス猫! ゴリラのサポート間に合ってんの!?」
「五割キープ! でも少しずつ押されてる!!」
「132秒持たせろ! 何とかする!!」
「上等!!」
「ゥルルラァァ!!!!!」
『ギィィイイイイイ!!!!!』
殴り合いが続くマー坊と『ヴェノミードラゴキュラ』。その後方でアイテムや補助魔法などで援護を続けるレイレイからの返答を受けて、リークの眼の色が変わった。
「ソラより舞い降りるは天ノ星! 愛する者の為、その力を解放せよ! 『星術回路起動』!!」
身体としての復活は出来てもその脳指令に答えられない状態に陥ったアール。
リークは覚悟を決めてその力を解放する。
次回、星術師リーク。




