250:モンスターの知能
おや、セブンアイズドラゴキュラのようすが・・・
『ギィィ!!』
『『ギキィ!!!』』
「『セブンアイズドラゴキュラ』追加二体来ます!! 溶解液!!」
「物理防御展開最大!! 皆気を抜かないで!!」
「「「「「「「『アンチマターフィールド』!!」」」」」」」
「こちらも迎撃します。『ケイオスハーモニクス:γ』」
「「「『ケイオスハーモニクスΣ』!!」」」
雨のように降り注いだ溶解液は『アンチマターフィールド』と呼ばれていた魔術により全て防がれた。さらに責められていた一匹、新たに戦線に参加した二匹のウチの一匹が放つ超音波が襲いかかる。
「・・・あれ? 頭痛くなくなった・・・?」
だが不思議なことに先ほど戦っていた時に感じた頭痛がピタッと止まったのだ。
「・・・なるほどね。その手があるのか」
「??? リーク、どゆこと?」
「ルドールが使った『ケイオスハーモニクスγ』っていう魔術はモンスターが最も嫌う鳴き声を響かせるだけの魔術。残り三人の『Σ』は人間、つまりプレイヤーが魔術とかを使用する際に必要なMPを倍加させる魔術。どっちも不可視系で相手に影響を与える魔術。言うなら超音波みたいなものなんだよ」
「蛾と蝙蝠の関係に似てるかもね。蛾は蝙蝠の放つエコーにジャミングして蝙蝠をかく乱、もしくは錯乱させてやり過ごすのよ。それを応用したんでしょうね」
「よく知ってるじゃないのメス猫」
「ウチでもそれ利用して対象炙りだしたりしてるからね。でもその音波を一発で当てるのはルドール恐るべしって所だね」
「えっと・・・つまりあの人たちはあの蝙蝠の超音波攻撃を無効化したってこと?」
「「そういうこと」」
マジかよ。しかも一発でそれを成すとか天性の感覚ってやつじゃねぇのかそれは? だが超音波が封じられたと理解した『セブンアイズドラゴキュラ』は溶解液大量散布による範囲攻撃へと移行した。
「二班踏ん張りどころだ! ルドール、封殺はそのまま任せるよ。一班は魔法剣による中距離攻撃を主体に攻撃開始!」
溶解液すら彼らは防御してみせた。そして前衛部隊、一班と言われていた彼らも攻撃方法を物理攻撃から魔法攻撃へと変更し動き回る『セブンアイズドラゴキュラ』を着実に追い込んでいく。
これもしかして初回撃破いっちまうんじゃないか? きっとリークたちも、内心ルシオンたちだってそう思ってるはずだ。だが俺は戦闘前に言ったことがある。『絶対に慢心するな。消滅して初めて勝利なんだ』と。
「ルシオン!! 油断するな!! 来るぞ!!!」
『『ギギィィキィギィィイイイ!!!!』』
『ギキギィイイイイ!!!』
「いぎっ!!?」
「「うっ!!?」」
「やっぱりかっ」
優勢だったはずだ。俺もこれは押し切れると見た瞬間だった。『セブンアイズドラゴキュラ』は再び超音波攻撃を開始したのだ。
無力化したと思われた超音波攻撃だったが、俺たち含め全員が再び超音波により動きを止めた。二匹による超音波攻撃と一匹が継続している溶解液攻撃。
溶解液をモロに受けた前衛部隊がその猛威に蝕まれていく。あるものは装備をとかされ、あるものは肉体を溶かされていく。
「うぐっ・・・・ルドール・・・!」
「レジストは・・・維持・・・・!! 二人はΔを試しなさい・・!!」
「「はー・・・もにく・・がぁっ!!?」」
「っ!!? しまった・・・!!」
忘れることなかれ。ルシオン達の統率が取れているように、臨機応変に状況によって周囲と合わせて戦えるように、『セブンアイズドラゴキュラ』たちも状況によって戦い方を常に変化させていくのだ。
馬鹿の一つ覚えのように一種類だけの超音波だけで妨害するくらいなら二匹でやる必要はないのだ。奴らは声帯すら変化させて超音波を放つことが出来る。
可能性はあった。考えとしてそれはすぐに頭に浮かんでいたんだ。けど確信はなかった。だから戦闘時にみんなには言っておいた『まだ知らないパターンがある可能性はある』とな。
結果、超音波を無力化されたことで、『セブンアイズドラゴキュラ』達はそれに対応した超音波で対抗してきたのだ。
そして自分たちの攻撃を打ち破った防御部隊と、独立部隊を先に潰すために、あえて最初は前衛部隊に溶解液をあて、後方に隙を生み出させて一気に始末してきたのだ。
それこそ、先ほど俺が自分で言ったように『司令官』を潰してきたのだ。ルシオン達が一瞬、ほんの一瞬気を抜いたそこをつき、『セブンアイズドラゴキュラ』は戦線を瓦解に追い込む一撃を繰り出したのだ。
そこからは言うまでもなかった。溶かされた人員の補充をしようとすれば音波を変えて行動阻害し、後衛を襲い、ついでと言わんばかりに前衛部隊を次々と溶かしていく。
ルドールと呼ばれていたプレイヤーも粘ったが、高速で迫ってきた一匹の『セブンアイズドラゴキュラ』にゼロ距離で溶解液を浴びせられて瞬く間に溶かされた。
ルシオンも必死に戦線を立て直そうと動き、残存するメンバーの支援と魔術による妨害をするのだが、ことごとく超音波により封じられ、彼を庇ったプレイヤーもろとも溶かされてしまった。
残るは俺たち『剣星』メンバー五人のみ。『セブンアイズドラゴキュラ』はルシオンたちが全滅したのを確認したあと、21の眼球をこちらにギョロリと向けた。
小馬鹿にしているのか、はたまた余裕のつもりなのか超音波を放つことなく、こちらを嘲笑うかのようにその場で浮遊しながら奇妙な声を上げ続ける。
「さてと・・・攻略手段は見えた。精神を殺しに来ないなら超音波は私が止めるよ」
「溶解液に関してだけどアール。確かあの眼球以外に当たれば自爆ダメージ入るんだよね?」
「あぁ。入るよ」
「オーケイ。ならアタシが一匹押さえ込むよ」
「アール。眼球ぶち抜く時に溶解液で自分が溶ける可能性は?」
「ある。だけど中央以外からぶち抜けばある程度だけど溶解液の被害は少ないよ」
「なら一匹は俺が受け持つ。アール。一匹即効で仕留められるか?」
「誰に言ってやがる。『ヴェノ』もいるんだ。一分で片付けてやるよ」
「えっと・・・師匠たちあれに勝てるの? いや師匠が勝ったのは知ってるけど」
「んなもん知らん」
「やってみないとわかんないしね」
「まぁクヴァレイドルクイーンを知ってるからね。それに比べれば行けるんじゃない?」
正直リークたちが本当に実行できるのかはまだわからない。だけど、眼を見ればわかる。冗談とか気合を上げるために強がっているわけじゃないと。だったらそれを信じるのが俺がリークたちに答えられる唯一の返答だ。
「ルークは俺についてこい。死ぬかもしれないがそれも修行だ」
「・・・・うん。わかった。僕だって『剣星』のメンバーなんだ。やってやる!」
ルークもこの雰囲気に飲まれるように、だが自分の意志ではっきりとついてくると答えた。そこに恐怖は存在せず、先ほど見せた強者へ向かう者の眼だ。
「『剣星』クランマスター。五代目剣聖アール。我が敵を断つ」
「同じく『剣星』サブマスター。俺はマー坊。ぶっ壊すぜ!!」
「『剣星』所属リーク。全て滅ぼすよ」
「同じく『剣星』レイレイ。全て奪い尽くしてやるから覚悟しなよ」
「『剣星』所属! 五代目剣聖が一番弟子ルーク!! 全力で切ってやる!!!」
久しぶりかもしれないな。名乗りを上げて敵に向かっていくの。やっぱりこういうのは気持ちの切り替えとモチベーションが上がるってもんだ。
そしてだ。お約束がある。ヒーローは名乗りを上げたとき、絶対に負けないんだぜ? 覚悟しな『セブンアイズドラゴキュラ』そしてその先にいる『ヴェノミードラゴキュラ』。お前らをもう一度倒す。
社員B『初見で一般プレイヤーに攻略されるような思考回路をもたせた覚えはねぇ!』
社員C『モンスターだって学習するんです! 特異個体なら学習能力だってパないのです!』
主任ZZ(他職場見学中)『Xさんの所って個性強いですね』
主任X『まぁね。でも皆優秀よ?』
社員P『情報込だったとしてもあそこまで行ったのは普通に賞賛すべきでは?』
社員M『それはそう思うけどね。寧ろそれくらいやって欲しかったっていうのはある』
社員F『わかる。スゲェ分かる。要求値高いんだけどすごく同感』
社員A『それよりもさ? 藤宮くんのクランフルメンバー残ってるんだけど?』
社員D『それな。リークちゃんに攻略法見せちゃったのまずいんじゃない?』
社員G『何かあったっけ?』
社員K『あの子『魔術女帝』でブラッドホール系の魔術全部使えるよ?』
社員B&C『・・・あっやっべっ』
ーーー名乗り後ーーー
主任X『名乗りとか最高かよ・・・いいえ、至高なのよね(トリップ中)』
主任ZZ『あぁ・・・・素敵な響き・・・・・・!!』
社員(X部下一同)『(ZZさんの部下も俺らと似てるんだろうなぁとか思いつつトリップ中)』
結論。X部門もZZ部門も変態集団の集まり!! 以上!




