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249:間髪入れずに

驚異の連戦を終えてクタクタなアール。

彼のもとにはいつものメンバーと久しぶりに見る顔の人物がやってきたようです。



やってきたのはルークとリーク。レイレイにマー坊のクランメンバーに、先ほど巻き込んだ乃英流一同。あとルシオンたちだった。



寝転ぶ俺を見て勝利したと知った彼らからいつもどおり質問攻めの嵐であった。出現条件の確認に攻撃パターンに行動パターン。攻略手段に気がついたことなどなど。



前回『イドル』と『クレイ』を倒した際に聞かれたようなことを今回もまた聞かれることになった。隠す理由もないので答えられる範囲で全て答えていく。



レイレイは即座に情報をまとめていくし、ルシオンも攻略法を考え始めた。ルークは装備に追加された『ヴェノ』を興味津々でツンツンしてる。たまに噛み付こうとするので若干びっくりしつつも面白がっている。



「なるほど。称号の有無にエリア外での戦闘とは盲点だったね。確かにそういう条件も充分にありえたことだ。こちらの考察力不足だね」



「仕方ねぇんじゃねぇか? 皆言ってたがここのボスめんどくさいんだろ?」



「弱点に攻撃一撃入れないとこっちの攻撃が全く通らないからね。目の奥にある弱点即見つけて抉りとったアールが本当に異例だし」



『ワンアイズドラキュラゴ』の弱点。目の口の奥にある『眼臓』と呼ばれる部位に一撃入れなければそれ以外の攻撃を全て無効化するらしい。一撃入れたあとも超音波がうるさくて戦いたくないのだという。



しかもスキルによる完全無効化が出来ないらしく、スキルを着けていてもうるさいモスキート音が戦闘中延々と続いているらしい。



まぁ『セブンアイズドラゴキュラ』はスキル貫通して動き阻害してくるし、その後進化した『ヴェノミードラゴキュラ』は弱点なかったけどな。



スキルレベルが高ければ話は違うかもしれないけどそこは高レベルスキル所持者に試してもらうとしよう。無力化できないなら個人的には慣れた方が効率いいし。



「それでだアールくん。連戦で申し訳ないんだけどいいかな?」



「・・・言うと思ったよ。せめてアイテム補給だけさせてくれ」





――――◇――――

特殊条件『ボスエリア前にて戦闘行為が一分以上経過』:未達成

特殊条件『『AS:対音波Lv1』以上の所持者5名以上』:確認

特殊条件『魔法剣士が一人以上存在している』:確認

特殊条件『レベル50以上のプレイヤーがいる』:確認

特殊条件『従者に狼型モンスターが存在する』:未達成

必須特殊条件『『称号:ワンアイズキラー』を入手している:確認

特殊条件を三個以上、必須特殊条件を満たしていることを確認しました。『ワンアイズドラキュラゴ』が進化しました。

海岸エリアボス特異個体『セブンアイズドラゴキュラ』出現

『セブンアイズドラゴキュラ』出現により、戦闘終了時まで、ボスエリア拡張、更にエリア外から新たに戦闘エリアに侵入出来なくなりました。

――――◇――――





時間にして約30分後。再び出てきたクソコウモリ。挑む人数は上限いっぱいの30人での攻略である。



『ギィィィ!!!!』



「うおっ!!? 思ったより五月蝿いねこれ!!?」



当然だろ。俺ですら二匹でやられたら耐えられねぇんだぞ。けどスキルによる恩恵はそれなりにあるらしく一瞬耳をふさいだ後、参加者は皆すぐに手を耳から離し動き始めた。



「第1班は行動妨害、第二班はそのまま突っ込んでダメージを与えていこう。第三班はまた見えない残りの個体の索敵と警戒を頼むよ」



ルシオンのクラン『オルゴン騎士団』は、クランマスターであるルシオンが司令塔となり班に分けて戦闘を行うタイプのようだ。即席ではなくクランとしての動きの為、今まで見てきたどんな集団よりも統率がとれている。



ブルーインパルスの飛行を見ているように、あるいは体育大学の団体行動を見ているような動きは圧巻である。超音波による多少の鈍さはあるもののそれを補うように各員が動く。



集団戦闘の基礎を極めた動きを見た気分になれる。



「相変わらず一糸乱れない動き・・・あれ相手にするのめんどくさいんだよね」



「言い方を変えると面白みのない戦闘とも言うけど」



リークとレイレイはそれぞれ思う所があるようで俺と一緒に端っこで見学中。同じくルークとマー坊もこうして見学中だ。



前回、『クヴァレイドルクイーン』でのこともあり、最初は生贄としてルシオン達が戦う様子を伺い、次に備えるとのこと。



あと、あの集団行動に混じりたくないらしい。それでも周囲への警戒と出現中の『セブンアイズドラゴキュラ』の観察はしっかりとしている。



ルークはなんとか通常個体に対抗できる『AS:対音波』をとってきたらしいが、流石に特異個体。貫通してくるようで俺の膝の上で頭を抱えている。



本人にはキツイからやめとけとは言ったんだが、『弟子として絶対行く!』と聞かなかったのだ。まぁ強敵相手に関心を抱くのは悪いことではないので許可したんだけどさ。



「マスター!! いました!! 五時の方向に一匹!! 二時の方向にもう一匹の姿を確認!! 擬態のつもりなのか岩肌にくっついています!!」



「よし! ありがとう! 第三班はそのまま擬態中の二匹を警戒して、第二班は現状のまま攻撃続行だ! 第一班は戦闘エリアに物理防御フィールドを常時展開!」



「ルシオン。急ですが私と数人独立隊として編成します。二匹目からの二重音波に対抗できるように試してみたいことが出来ましたので」



「また急だねドルードさん。いいよ君の直感は凄まじいからね」



「まぁダメと言われたら殴りましたけど。オーリン、メズゥ、レジスト。第二班より離脱し私の独立部隊に再編成します。付いてきなさい」



「「「はい!!」」」



四人ほど舞台から離れたが戦線は已然ルシオン達が支配している。一撃こそ小さいものの確実に、確かな一撃が『セブンアイズドラゴキュラ』へと命中していく。



突出した人員がいないのか、はたまた合わせているのかは未だ不明だが、彼らがトップ集団の一角なのだということはこの戦い方を見ていればわかる。



「ちなみにアールならアレと戦うならどう切り崩す?」



リークが指さしたのは『セブンアイズドラゴキュラ』ではなくルシオンたちの方であった。どうやってって言われたらそうだなぁ・・・



「実力不明だからな。各部隊の司令角もしくは実力者から叩く」



「・・・ふーん、ルシオン固定じゃないんだね?」



「あの動きは仮にルシオンが抜けたとしても変わらねぇよ。なら各部隊長クラスを討って戦意を削ぎに行く」



戦いをよく見れば彼らの中に数人、ルシオンからの指示に合わせて人員を動かしている奴が居る。その指示もバラバラだが全体で見れば一つの動きとして成立する動きとなっている。



司令塔であるルシオンを仮に潰したとしても、彼らは臆することなく、相手へと向かっていくだろう。残ったメンバーで班を作り、少しずつ着実に相手へとダメージを与えていく。



あくまで少し見た感想ではある。規則正しい行動に見えて応用力が十分ある部隊。気が付けば相手の思うように動かされていたなんてこともありそうな気がする。チーザーのクランとはまた違う脅威がある。



圧倒的な力で相手の戦意に影響を与えつつ、遠距離攻撃や竜との連動攻撃で相手を仕留めるチーザーのクランに対し、実力者と対峙するために個々の実力を最大限生かし、着実にダメージを与えていくルシオンのクランといった感じだろうか。



その事を話すとリークたちは首を頷かせた。どうやら同じ意見だったようで少しその話をしたあと、すぐに視線を『セブンアイズドラゴキュラ』へと向ける。



「アールが今言ったとおりだよ。私やゴリラ、アールみたいな突出した実力者がいない代わりに彼らは平均値がほか大勢よりも遥かに高いの。質が高い量っていうのが一番いいかな。それをまとめるルシオンの指揮能力と、サブマスターのドルードの天啓とでも言う勘の良さ。それが相まって彼らをまとめあげた上で個であり集であるクランになってる。正直あそこと戦うのは避けたいと思うよ」



リークが『セブンアイズドラゴキュラ』を徐々に押していく彼らを見ながらそういった。そこには驕り偽りは存在せず、本心からそう言っているのだと理解できる。



その言葉のとおり、彼らは残り二匹の『セブンアイズドラゴキュラ』をついに動かしたのだった。


ドラゴンによるゴリ押し殺法のチーザー紫が指揮する『真:龍武華激隊』

地道に尚且つネチネチとダメージを重ねるルシオン率いる『オルゴン騎士団』

ニコニーコの究極の力技で団結して戦うクランではないヒーロー同盟


プレイヤーとして実力を三分していた彼ら。弱いわけないじゃないですか。しかもネタが分かっていたら対策してくるんですよ。


あれこの件前にもやった気が・・・

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