247:更なる進化『ヴェノミードラゴキュラ』 ◇
特異個体が進化したっていいじゃない。特に異質な個体と書いて『特異個体』なんですもん。
多分今までの特異個体の中では最強クラスです。前情報ないと相手にならん。
スミマセン。10日に二話連続投稿をしてしまいました。ミスです。『なんのこっちゃ?』と思う場面がありましたら、前の話に戻ってください。
『ギィィィ!!!!』
見た目で言えば迅竜に近い。手足による四足歩行と素早い動き、そして飛行能力を有しており、攻撃手段は超音波による行動阻害と、溶解液による攻撃。
デカくなった図体から繰り出される打撃攻撃も喰らえばひとたまりもないだろう。『ヴェノミードラゴキュラ』と戦闘開始してから既に2分。
搦手がない攻撃手段ではあるが、それゆえに厄介な相手だ。純粋に強いんだ。切ってもなかなか刃が通らず、衝撃を叩き込んでも耐えてみせる。
それが硬いからなのか、柔らかいからなのか、もしくは再生能力が高いのかはわからないが、とにかくこっちの攻撃が通っているのか全然わからんのだ。
仲間を食ったことでパワーアップしたというのはよくある展開ではあるがここまで強くなれるのは予想外である。
「ちっ、キリがねぇ」
幸い、向こうの攻撃もこちらには当たらず、超音波も『天死』による苦痛で十二分に押さえ込める範囲だ。回復アイテムの消費に関しても『UtS:天刻Lv2』のおかげでほとんど消費がない。
あとは弱点を見つけてそこを破壊、もしくは傷つけて一気に押しこめばこちらの勝利。押し込めず弱点もわからず、集中力が途切れてやられたらこちらの敗北。
「面白くなってきたじゃねぇか・・・クソコウモリ。どっちが勝つか我慢比べと行こうか!!」
『ギィィィ!!!!』
「艶やかに歌え!!『艶姫刀:クヴァレイドル』!!!」
――――◇――――
プラクロ総合掲示板 Part663
444:オブサーブ
既に情報出てるとは思うが今、テリオン渓谷のボスエリアに侵入不能状態が既に二時間経過してる。
445:乃英流
自分の力を過信し過ぎちゃったよね・・・油断大敵だった
446:レイン
あれだっけ? PK戦とアールのボス周回が重なってボスエリア拡張した上に強制ボス戦突入すたんだっけ?
447:緋月
ある意味MPKみたいなことだったけど、個人的には、初めての特異個体出現の現場に立ち会えたから満足はしてる
448:カレイさん
乃英流さん達を襲ったっていうPKって確か最近出来たPKクランですね。ボス前で待ち構えてPKしてくる連中ですね。
449:シロマサ
ちょっと悪質だなぁ・・・黒悪魔さん出番では?
450:カラシミソ
俺も探してんだけどなかなか出会えねぇんだよなそいつら
451:七芽
まぁPK自体は許されてる行為ではあるから否定はしないけど、それでもボス前PKはねぇ・・・
452:アストラル
噂によると別ゲーからの参戦プレイヤーらしいな。最近増販されたから新規も増えてるしそれもあるだろうな
453:イッセイ
PK・・・プレイヤーキルってことですよね?
454:ヤイチ
なぜホラーゲーからの参戦プレイヤーはいないんだろうか・・・
455:ライーダ
畑違いだからだろJK
456:エール
それはともかくあのめんどくさい蝙蝠を周回するとか何ともアールさんらしいですね。
457:レイレイ
アールってば前に全特異個体撃破するって言ってたからね。
458:レオーガル
マジでか。あのクラスのモンスター全撃破掲げるとか結構レベル高いんじゃねぇか?
459:ルーク
僕が通常個体倒すためにリーク姉ちゃんと修行してる時にそんなことになってるなんて・・・
460:山田
新規特異個体の名前ってなんでした?
461:乃英流
あ、すみません言ってなかったですね。確か『セブンアイズドラゴキュラ』だったはずです。体のあちこちに目玉がついた巨大蝙蝠ですね。一応『AS:対音波』はつけてたんですけど普通に貫通してきました。
462:チーザー紫
スキル対策万全かよ。あの蝙蝠タダですらメンドくせえのに
463:緋月
攻撃手段はわかる範囲では超音波での足止めと、溶解液を目玉から発射することだったわ。速度は動いていればよけられない事はなかったけど、全力疾走しないとダメね
464:レオーガル
俺らも隙・・・というか剣聖が作った隙を突いて一気に攻めたんだけど気がついたら殺られてた。生きてたオブサーブから聞いたが溶解液で殺されたっぽい
465:クロサカ
盾装備とは相性最悪だ。魔法障壁系の防御も覚えないとダメかな?
466:ライトニング
回避盾なら余裕
467:彩華
でも超音波(仮)くらったら足止め喰らうんでしょ? その時に溶解液受けたら終わらない?
468:乃英流
それなんですけどね。二つの行動は同時に出来ないっぽいので瞬間的に動けるなら問題ないかと
469:ハク
なら余裕そうだな
470:オブサーブ
合計3体出てくるがな。しかもかなりの連携が取れるからクソ
471:ミー
は? それって詰みでは?二体超音波で一体溶解液なら確殺されますよねそれ?
472:緋月
実際残った私とオブサーブさん。あとアールさんの三人で臨時パーティー組んで挑んだけど私とオブサーブさんはまさにそれで瞬殺されたわ
473:ぞうもつまる
えぇ・・・じゃぁ今もしかしてアールさんVS特異個体×3の構図?
474:レイ
それを二時間て・・・おま二時間て・・・・マジっすかアールさん
475:天サジ
聞いた話超音波かなり辛いんでしょ? ディアと融合できるとは言え今回ばかりは流石にキツいんじゃない?
476:乃英流
月光真流も月光滅流も多分使えないでしょうね。あの流派ってミスると自爆しますし
477:アルメリア
桜華もほぼ封じられるでしょうね。桜奏呼吸って結構神経使う呼吸法だから私基準で悪いけど頭痛に苦しめられちゃほぼ無意味でしょうね。
478:コハク
ってことは何げにアールさん久しぶりに黒星濃厚説?
479:チーザー紫
ありえないことじゃねぇな。見たくはねぇけど
480:ライトニング
それでも二時間ソロで粘ってるのは流石としか言えない
481:リーク
再出現の条件は多分アールが全部覚えてるだろうし最悪クランメンバー総出で挑戦かな。
482:ミー
そのときは是非救援要請を出してください。興味があるので参加したいです。
483:カフェイン
僕も少し興味あるかな。前に話してたけどアフターストーリークラスのモンスターがどれくらいなのか興味があるね。
484:マーガリン
珍しいねカフェインさんが戦いに興味あるなんて
485:カフェイン
僕だってこのゲームの一プレイヤーだからね。たまにはそういう刺激が欲しい時もあるのさ
486:シロマサ
どっちにしても戦うなら何かしらの対策はしないとな。現状わかる範囲でもできる対策はありそうだし
487:弥生
痛覚遮断系のスキルとかバフは必須かもね
488:カレイさん
溶けない装備の用意も必要でしょうね。
489:乃英流
3体出るって分かりましたしどこから来るのかも探さないとですね
490:山田
今回出た奴は対策さえできればなんとか倒せそうな感じがしてきましたね
491:アルトりす
まぁこう言うと怒られるけど、その対策すら上からぶち破る能力持ってんだろうなぁ・・・クヴァレイドルクイーンみたいに
492:レイレイ
アイツ本当に倒せないよね。マジでムカつく
493:朱雀
できる限りの対策してギリギリ間に合わないからなぁ・・・あの魅了される声がどうしようもない
494:カトレア
完全に堕ちることはないんですが、動きがどうしても遅れますからね。触手にやられるのが毎回ですよね
495:アルメリア
『気を強く持って耐えろ』とは言われたけど簡単じゃないわよね。まぁいいところまでいけそうではあるけど
496:エロロ
アルメリアさんが適合し始めてきていい前兆なのですぅ!
497:オルガン
私たちも頑張らないとですね!!
498:リーク
アール大丈夫かな・・・?
――――◇――――
「まだやるかこの野郎!!」
『ギィィ!!!!』
こっちのセリフだと言わんばかりに地面を殴りつけている『ヴェノミードラゴキュラ』。まだ持つが流石に元気すぎるだろうが。
多分向こうも似たようなことを思っているのは間違いない。時間は見てないからわからんが、既にいい時間戦ってるだろう。
「お前実は俺が知らないクロニクルモンスターとかじゃねぇだろうな?」
できる攻撃も奥義も基本叩き込んだがダメージを与えられた感覚がまるでない。与えられたと思ったら即座に回復されてたりと正直言うと気持ち的にめちゃくちゃ辛い。
『イッテオクガシナントハイエコレ以上ハヤイバガモタンゾ?』
『LaLa〜』
「悪い!!もう少し頑張ってくれ!!!」
『ギギィィ!!!!』
『シカタナイ主様ダナ』
『La〜』
クレイとイドルの悲鳴にも似た警告を聞きながら対峙する『ヴェノミードラゴキュラ』の攻撃を裁き、一太刀を確かに、そして確実に叩き込んでいく。その際付着するわずかな溶解液が武器と装備を少しずつ蝕んでいく。
『ギィィ!!』
雄叫びをあげて後方へ一度飛び、すぐさま両腕で地面を叩き割りながら迫ってくる『ヴェノミードラゴキュラ』に対して、『艶姫刀:クヴァレイドル』を鞘に収め、『白月』の構えで応戦。
叩きつけてきた腕を真正面から捉え受け止める。腕で止めるのではなく、身体をバネのように動かし、衝撃を吸収する。
衝撃を体中に分散させてその勢いすべてを殺す。もう見慣れたようで『ヴェノミードラゴキュラ』も驚く様子もなく、すぐさま溶解液による攻撃に移ろうとする。
「遅ぇ!!!『水無月写鏡』接続『夢傷月』!!!」
腕を掴んだ手をそのままに衝撃を込めた蹴りをその土手っ腹に叩き込む。吹き飛ばす衝撃と爆発する衝撃による二重攻撃。
溶解液を噴き出そうとしていた各部眼球と口から溶解液に混じって白い血が飛散する。それが付着する前に四ノ型『月渡』で距離を取る。
血と共に身体に触れた溶解液は『ヴェノミードラゴキュラ』の身体を溶かし、衝撃が内部にて爆裂して体のあちこちから血しぶきを上げるが、即座に溶けた肉体部の肉が膨張して傷を覆い隠し、何事もなかったかの様に傷を埋める。
外的損傷も内部損傷もこうして再生するのだ。再生回数に限度があると踏んでいるが20を超えてから再生回数を数えすのをやめた。狙える部位も全て狙ったがそれでも変化なし。
『ヨヨヨーヨ!』
「あいよ」
ディアに預けていたスタミナ的な体力回復用アイテムは既に切れる間際らしい。これ以上の長期戦になるのは不利になる。『ヴェノミードラゴキュラ』は体力だけなら間違いなくプラクロでの戦闘記録ではトップだ。
こっちも疲労で月光滅流の制御が少々怪しくなっているのだ。だから今は月光真流を主軸に戦いを組み上げている。全力投球の月光滅流よりも、ある程度スタミナを温存可能な月光真流の方がこういう場面では相性がいい。
ゆえに超越系統の奥義も、呼吸と集中力を使う桜華戦流、僅かなズレすら許されない天匠流は今使えない。持久戦となった時点で俺はそれらを使うことを止めていた。
少しでもスタミナを抑えるなら使う技は限定するのが一番いいからな。だが、それももう長くは持たない。
「ディア気張るぞ。ここが正念場だ」
『ヨヨ!!!』
「イドル、クレイ。頼むぞ。お前らがこの勝負の鍵だ」
『ソウイワレテハガンバラナケレバイケナイデハナイカ。モウスコシ頑張ッテヤル』
『La〜』
『ギィ!!』
雄叫びに合わせて今度はこちらから距離を詰めていく。相手もそれをさせまいと溶解液による弾幕を展開。神経を張り巡らせて、溶解液の斜線を視て最低限の動きでそれを回避。
近づくほど厚く、狭くなっていく弾幕の間を縫って懐に飛び込んだ。『ヴェノミードラゴキュラ』の地面を掴む巨大な前足から、ギョロリと今まで確認できていなかった新たな眼球がこちらを捉えてきた。
戦闘中でも眼球を増やすことは可能らしい。ここに来て新しい情報とは憎らしい奴だ。情報ついでにもう一つ。『ヴェノミードラゴキュラ』になってから、眼球から溶解液を発射する際、瞳孔が開き目の奥から美しいクリムゾンカラーが顔を見せる。それから約0.8秒後に溶解液は発射される。
だから、それを見た瞬間にその目を潰せば溶解液は発射されず、奴の身体を溶かすことが可能ということだ。
「七ノ型改『初月:双月』!!」
両腕の眼球にシャドーボクシングの様に握った拳を放つ。そこに乗った衝撃が俺の身体を突き抜けて、眼球を潰していく。赤く染まり始めた眼球はグチャリと肉の音を出しながら潰れ、放たれるはずだった溶解液が自らの身体を再び傷つけていく。
「五ノ型『秋月』!!」
両前足が崩れたことで体勢を崩した『ヴェノミードラゴキュラ』の顔面にむけて、大きく上に振りかぶった『艶姫刀:クヴァレイドル』を構え、そのまま振り下ろし、顔面を一刀両断。
「二連!!『秋月』!!」
振り抜いた勢いを下から横へと流し、脊髄を軸にするようにその場で一回転。再び正面を向いた時に十文字斬りとなるようにもう一太刀叩き込む。血飛沫が飛び、俺の体に付着する。
そこには多少の溶解液も含まれていたようで、装備の一部を溶かしていく。もちろん『艶姫刀:クヴァレイドル』も例外ではなく、刃に付着した溶解液がその刃を潰す。
『『LAAAA!!!!』』
クレイとイドルが先ほどの俺の頼みに応えるように悲鳴のような歌声でそれに耐える。俺自身に降りかかった溶解液は、ディアが飲み込み、俺ごと溶解液を捕食する。同時にディアによる肉体の代用する処置で戦闘を続行する。
「月光真流奥義『水無月写鏡』!!」
『『LAAAA!!!!』』
十文字の中央めがけて深々と刃を突き立てる。腕が入る限り押し込んだ刃をそのまま弧を描くように上へと振り上げて体内から骨ごと断つ。
刃に付着する体液と溶解液が再び俺たちにその猛威を振るい、ついに『艶姫刀:クヴァレイドル』の刀身を中央から溶かし折った。
『ッ!!? スマン』
『LaLA!!』
「っ・・!!」
俺の体も既にディアによる肉の代わりでほぼ覆われている。手持ちのアイテムを引っ張り出す時間も与えてくれないため、ディアにあずけたアイテムが底を尽きた瞬間終わる。
『ギ・・ギィイィィィイイィ!!!!』
「ガッ!!?」
後方に下がった俺に対し、即座に再生した『ヴェノミードラゴキュラ』がなぎ払うように腕を振るった。『白月』にて受け止めようとしたが、ディアによる再生がギリギリ間に合わず、半分の威力を残し俺を岸壁へと叩きつけた。
――――◇――――
『AS:復活Lv2』発動。
――――◇――――
瀕死状態になった際、残りHPが20%に回復する『AS:復活Lv2』が発動し、いよいよ後がない状態となった。追い打ちをかけるように向かってくる『ヴェノミードラゴキュラ』の姿が見える。
だが体が動かない。どうやら骨をやられたみたいだ。ディアによる完全融合で乗り切るにしても、それによるダメージを回復するためにディアに預けていたアイテムが尽きたことは『AS:復活』が発動したことで理解した。
悔しいが・・・俺の負けか・・・。薄れる視界の中に、『ヴェノミードラゴキュラ』が突進してくる光景が見えた。
3対1の構図自体は約30分くらいでした。その後タイマンしていた時間がクソほど長い。
久しぶりに催促になりますが・・・感想いただけると嬉しいです。よろしくお願いします。




