245:セブンアイズドラゴキュラとの戦い
多分ダメージ的には50%くらい削れてます。今回全員生存で初見クリアいけるっしょ(参戦プレイヤー謎の自信。
ちなみにアールの超音波対策
『毒の苦しみで超音波の苦痛を上書きすればいい。慣れた痛みの方が我慢できるし』
多分アール以外にこんなことをやろうとする人はない。だって対策スキル取ったほうが安全なのです。
この程度じゃまだ倒せないか。叫び声は苦痛に満ちているが死ぬ様子はない。痛みによるものからか四方八方に羽ばたきながら溶解液を撒き散らしている。
射線さえわかれば回避は可能なので最低限の動きで回避していく。この機を逃さないために追い打ちをかけに行きたいが、いかんせん奴の付近は溶解液による壁が厚く、その速度もあり迂闊には近寄れない。
ここは気持ちを抑えて落ち着くまで静観するのがいいだろう。しっかし本当に初代御三家水ポ○モンのハイドロポンプ並みに撒き散らしてんな。
『ヨヨヨ』
「ん・・・あぁもうダメそうだな」
装備していた『光結晶の篭手』だが、目玉に突っ込んだので溶解液に触れてしまった。皮膚にダメージはまだないのだが、ゆっくりと溶け始めている。
光結晶の対溶解液能力がここまで高いとは思ってなかったが、それでもこれ以上つけているのは危ないか。
左手篭手を外し地面に落とすと、そのまま光の粒子となって溶けてしまった。なんだかんだ愛着が沸いていたので少し悲しい。
代わりに先ほどエロロの所で購入した『ヘヴィガントレット』に付け替える。プレイヤーメイドのオリジナル製品ではないので若干腕に合わない感じはあるが、今はこれで我慢しよう。
左右非対称の防具が装備出来るのもエクストラモードの特権である。左右の重量が多少違うが、速度重視と威力重視でそれぞれを見れば問題ないだろう。
「アールさん!!」
溶解液を回避しつつ様子を伺う中、近くに寄ってきたのはノエルと呼ばれていたプレイヤーだった。でもノエルっていう感じのイントネーションじゃなかったよな。どういう字で書くんだろうか。英語か? それとも当て字?
「油断すんなよ。まだ終わりじゃねぇぞ」
「はい!! いやえっとそうじゃなくて。俺らも戦闘参加しても大丈夫ですかね?」
「好きにしたらいいんじゃないか。俺はお前たちに対する命令権があるわけじゃない。さっきのはまぁあれだ。提案だしな」
正直相手が相手なので死なないでくれればどう動いてもいいというのが本音だ。もし仮に『セブンアイズドラゴキュラ』の実力がこの程度なら俺だって彼らに攻略法を教えて殺らせるのもいいと思っている。
それをしないのは相手のことを全然知らないのでどんな相手なのかも、どの様な行動パターンなのかも、あくまで予想・想像の範囲を超えないからだ。
「けどひとつだけ言っておく。あの溶解液を生半可な装備で受ければ一瞬で死ぬぞ?」
「了解しました!!」
そう言ってノエルと呼ばれた青年(仮)は未だ悶え苦しんでいる『セブンアイズドラゴキュラ』へと向かっていった。怖いものなしかよ。
それに続くように他の面々も溶解液を回避しながら突撃していく。若いって素晴らしい事だ。
それぞれが回避しながら奴の懐に入り込んだ。そして己が持つ武器とスキルを駆使して攻撃を放っていく。それがトリガーだったのか、はたまた時間が過ぎたのかはわからないが、それは起こった。
『『ギュリィィィ!!!!』』
「なっ!!?」
「バッ!!? こんなのあr」
直後、奴を中心に4m程の広さを大量の溶解液が上から降り注いだ。4m圏内の範囲攻撃では、恐らく、レベル50以下で手に入るスキルでは回避は間に合わなかったらしく、溶解液に飲み込まれ、跡形もなく溶けてしまった。
残っていたのは突っ込まなかった緋月とオブサーブの二名だけだ。残った二人も目の前で起きた出来事に驚くしかないようだ。声を失い受け入れたくないかのように立ち尽くしている。
『『『ギュリィィ!!!』』』
そりゃ『セブンアイズドラゴキュラ』が追加で二匹も出てきたらビビるに決まってるよな。俺だって内心ビビってる。
舞い降りた二匹の『セブンアイズドラゴキュラ』は苦しむ一匹を介抱するように寄り添い、同時に背中につく目をこちら側に向けている。
三対三という構図ではあるが、実力差は考えるまでもない。こっちは一撃喰らえばお陀仏で、向こうへの有効な攻撃有段が恐らく目玉を全て潰すこと。残り合計は20個ある。
さらにこちらの残り二人はレベル50以下なのは先ほどの会話で把握している。逃げに徹してもらうとしても一対一の構図を三つ作られては逃げられるものも逃げられないだろう。
「残ってる二人。悪いがこっから俺の指示で動いてくれ」
「えぇ、この状況はあなたに従うのが一番生存率が高そうだものね」
「俺も異存はない」
「追加の二匹はこっちで何とかする。手負いの奴をなんとか引きつけておいてくれ」
「また無茶を言ってくれるじゃない」
「だがそれくらいならなんとかなると思う。あんた。任せていいんだな?」
「任せろ。だから任せるぞ」
「「了解」」
一匹引きつけておいてもらっている間に二匹を始末する。言葉では簡単だがなかなかしんどいな。だが勝ち筋はそれくらいしか今のところ思いつかん。
「超越剣聖流抜刀術『初月雀』二羽」
『『ギュィィィ!!!』』
こちらを見ていた二匹へと飛ぶ斬撃『初月雀』で斬り裂く。なかなか固く、やはり直接切る以外にはダメージは与えられないようだ。だが注意はこちらに向いたらしく二匹が羽ばたいてこちらにやってくる。
二匹から離れ、外周を回りながら緋月とオブサーブが手負いの一匹へ向けて駆け出していく。こちらに向かう二匹がそれに気づいたが、そちらに行かせるわけには行かない。
「『風瓶エリシオン』接続『血夜鴉』」
二匹まとめてなぎ払うように『艶姫刀:クヴァレイドル』を振るう。目には当てなかったがその身体に一線の傷をつけることは出来た。うち一匹の足を切り落とすことにも成功したので一匹のヘイトは完全にこちらに固定されるだろう。
『キィィィィ!!!!』
『ギィィィ!!!!』
体中にある眼、背中のを除き12の眼から溶解液が発射される。半月を描くように飛び上がり、先程までいた地点へと戻ってくる。
二匹の『セブンアイズドラゴキュラ』は上下左右に差を作り、俺を挟むように散開し溶解液による攻撃を開始した。
それを回避しつつ、向こう側に気を向ければ、二人も手負いの『セブンアイズドラゴキュラ』との戦闘を始めている。
『『『キィィィ!!!!』』』
アグァ!!? 三匹同時に超音波攻撃は流石に厳しいぞ。ディア頼む!!
『ヨッ!』
――――◇――――
『UtS:天刻』解除
『状態異常:天死』に再び犯されました
――――◇――――
再び体を襲う毒による苦しみ。だがこれでいくらか頭痛は紛らわせる。『風瓶エリシオン』を封じられたのは痛手ではあるが移動手段が尽きたわけではない。
『キィィ!!』
『『ギィィ!!』』
俺についていた二匹のうち、足をぶった切ったほうが超音波をやめて溶解液攻撃を再開。前転で初撃を回避しつつ、態勢を立て直し再び疾走。
七つの目から飛んでくる溶解液単体は問題じゃないが、この超音波と同時となると厄介だ。苦しくて視野が狭まりつつも、気配と空気の動きから攻撃を予測して回避。少々ツライがこのまま突っ込んで眼球をえぐり抜いてや・・・殺気っ!!?
『ギィィ!!』
「クソがっ!!」
俺の死角となる位置から発射された溶解液をなんとか回避。尚も続く溶解液攻撃を回避しながら、任せたふたりの様子を見るために視線を向けるのだが。
「最悪の展開じゃねぇか」
どうやら先ほど超音波から溶解液に変えたのは一匹ではなかったみたいだ。眼球が一つえぐり抜かれた『セブンアイズドラゴキュラ』も攻撃に出ていたようで二人がいたであろう場所には大きな溶解液の塊があるだけだった。
これで3対1の構図になったわけだ。しかも圧倒的にこちらが不利。上等だこら。やってやろうじゃねぇえか。
特異個体って条件満たせば何度も出てくる設定じゃないですか。だから一気に三体くらい出してもいいかなって思ったんです。
結果アールかなり追い詰められてますけどね。流石に分が悪い・・・




