243:始まりは唐突に
タイトルが思い浮かばなかったけど、お猛威かんだのがなんか物語の始まり的なやつでした。
もしかしたら変更するかもです。
「こちらが現在ある依頼になります」
「ありがとうございます・・・やっぱり装備作成系ばっかりだなぁ」
食べ歩きも終わり、機嫌が回復したリークと、恥ずかしそうにしていたルークと共に、いつも通りテリオンのギルドに顔を出し、職員の方に依頼書を見せてもらっている。
さすが生産職が集う街というだけあり依頼が全て制作系である。もしくはここから少し遠い場所にある装備作成に必要な素材確保系だ。
以前のような橋の修理とかも依頼の中にはあるのだが、必須技能の中に俺が持ち合わせていないものも多くあり、さすが本場だと思うくらいには高等技術が必要なものが多い。
「うーん・・・俺らじゃできそうなものは無さそうだな」
「そうですね。この町の時代人は自分たちでなんでもしてしまうだけでなく、私たち現地の者にもとても貢献してくれているので、町の外から来た方はいつもそういうんですよ。ありがたいんですけどね」
「すごい・・・討伐系の依頼がなんにもないや」
「時代人の方曰く『邪魔されると困る』と言って定期的に大討伐とか、近隣の調査とかを自発的にしていただいてますので」
なるほどな。大事な作業の途中で邪魔されたら誰だって嫌に決まっている。そうならないように普段からそういうことをしている訳か。プレイヤーにとっては邪魔されることがなくなる。NPCにとっては外的脅威から守ってもらえる。
町の仕組みがちゃんとできている証拠だ。いい傾向である。
「依頼はまた機会があれば受けさせてもらうよ」
「よろしくお願いします、またのご利用、心からお待ちしていますね」
――――◇――――
特産物である『レンスネクト鉱石』で作られた篭手を先ほどエロロの店で買い、既に『転移タグ(テリオン)』は作成した。なので用事は済んだといえば済んだのだが。
俺に個人的に送られた前回のゲルゲナート撃破報酬にて明かされたテリオンでの出会い。俺を導くとか書かれていたので、誰かわからないが、そのような人物を探したい。
本当は依頼を受けて色々とやりながら情報を探すつもりだったんだがそれも出来なくなったのでどうしたもんかと迷っている。
「やっぱり特異個体出現条件探すか?」
「私は構わないけど」
「僕やだ」
現在唯一対抗できないルークは俺の提案に難色を示す。流石にこればかりは慣れろとは言えない。俺だって慣れるのに相当時間がかかったわけだし。前作と現実での稽古とか苦痛経験の結果会得した忍耐強さの結果だし。
「じゃぁルークが対抗できるようにスキル取りに行こっか?」
「それなら全然いいよ!」
それが一番か。ルークが対策持って、参加してくれるなら色々試せることも増えるだろうし、修行相手としてみるのも十分だ。
「それじゃぁ私と二人で行こっか」
「え? 師匠も一緒じゃないの?」
「いてもいいんだけどぶっちゃけると割と作業感あるのと、人数少ないほうがスキル取れる確率も上がるんだよね。というわけでアール。ルークもっていくけどいい?」
「まぁいいんじゃないか。ついでに色々教えてやってくれ」
「任せて。じゃぁ行こうかルーク」
「ちょまっ!? 僕の意志ってないのぉぉぉ・・・・・」
目が訴えていたが『たすけて』という視線。リークの”作業”という言葉に戦慄したのがまるわかりだった。南無三ルーク。それを越えればきっとお前はまた一つ強くなってくるよ。
となるとだ。こっから久しぶりにソロでの活動となる。気持ちはボス周回なのでそれで行こうか。というわけでボスがいたエリアまでさっさと行こう。
――――◇――――
・テリオン渓谷エリアボス『ワンアイズドラキュラゴ』撃破。
・素材:『瞳蝙蝠の羽』『瞳蝙蝠の骨』『瞳蝙蝠の筋肉』を獲得
・称号『ワンアイズキラー』を獲得
・10000D獲得
――――◇――――
周回を始めてから早くも2時間。今ので丁度二十体を討伐したことらしく称号をもらった。それによるものなのか、手に入る賞金が二倍になったのである。
本来の攻略法はわかったのであとはゴリ押ししたり、色々試したりしながら討伐、エリア移動、討伐を繰り返していたのだがなかなか特異個体にはならない。
素材も恐らくレア素材である『瞳蝙蝠の眼球』を除き全て20個以上獲得した。戻って装備を何か試してみるのもありかも知れない。
あと10体ほど倒したらテリオンに戻るのもありかもしれないな。そう思いながらボスが再出現するまでエーテリア側のボス前の空間で焚き火をしながら腹ごなしをしていた。
そのまま焼くだけだと露店で出していた蛇の塩焼きとは味が全然違う。やっぱりハンマーか何かで叩くとか揉むとかしたほうがいいんだろうか。
「やっと付いたよレオ!! この先絶対ボスだぜ!!」
「わかったから少し落ち着けって。あと略すな」
「でもレオーガルってレオって略せるじゃん」
「そこ言葉そっくりそのまま返すぞオブ」
「誰がオブだ。俺はオブサーブだ。ボブみたいな略し方はすんじゃねぇ」
「喧嘩すんなって二人共」
「「誰が始まりだ乃英流テメェ」」
声が聞こえたので首を向けると始めたばかり感が残る三人組がボスエリアに向けて歩いていた。俺がいる位置は丁度向こうから死角となっているので向こうからは見えていないようだけど。
ちなみに俺がいるのはボスエリアに続く道の岩壁にあった出っ張りである。ここだと通行人の邪魔をすることもなくのんびりできるからである。こういう時錬金術師って便利よね。この程度の出っ張りなら簡単に作れるんだから。
「・・・二人共止まれ。誰かこっちを見てる」
「・・・PKか? ボス前で待ち構えるとはなかなか悪質な奴だ」
「三人で勝てる相手だといいんだけどね」
オブサーブと呼ばれていたプレイヤーはどうやら鼻が利くらしい。俺が見ている奴に気づいたみたいだ。
三人が警戒していると、そいつらは観念したのか岩陰からぞろぞろと出てきた。数は6人。一人は狼型のモンスターを引き連れているから狩人の可能性が高い。
「なんだいお前ら。いい勘してんじゃないか。そのまま歩いてきてくれたらプチっとやってやったのにさぁ」
リーダー角は蛮族の族長のような装備の女だった。珍しいな。女性で素肌をあれだけ見せる装備をつけてるの。
「昔から悪意には敏感でね。おとなしく撤退するなら見逃してやるぞ?」
「言うじゃないか。こちとらPKだよ? そんなこと言われてはいわかりましたっていうと思うかい?」
「やっぱりそう言うよな。おいリーダー。どうするよ?」
「逃げる選択肢はない。それにせっかくの対人戦だ。ボス前のウォーミングアップにはちょうどいいんじゃない?」
「ほざいたな小僧!! お前たち行くよ!! 大物前の腹ごなしにしてやろうじゃないか!!」
俺の眼下でPVPが始まってしまった。しかも発言的にもしかしてこのPK集団俺のこと狙ってたのか? だとしたらあの三人組には申し訳ないことをしたかもなぁ。
レベル差はどうなのかわからないがなかなか全員いい動きをしている。PK側もいい連携だし、三人組も対人戦慣れした動きだ。しかも一人はウチの実家の道場でよく見る動きを取り入れて戦っている。実家の門下生なんだろうか? それとも天性の才能? 爺ちゃんが見たら道場に来いと絶対に声を掛けるんだろうな。
他の二人もなかなかいい動き。一人は荒々しくも綺麗な動き出し、もう一人も凄まじい回避力である。
五人組もそれに負けずと連携の取れた動きで対抗していく。躱された隙を埋めるように他の奴がカバーに入る。リーダー格の女は同じくリーダーと言われていた男とタイマンでの戦いである。皆いい動きだな。
「やっとボス部屋見えてきたァっ!!? 嘘でしょボス前でPVP!!?」
「獲物追加ァ! お前たちまとめて始末しな!!」
「しかも見境なし!!? あぁもう!! 私PVP嫌いなのに!!」
可哀想な事に新たにエリアを進んでいた女性ソロプレイヤーがPK集団の獲物に追加されてしまったようだ。オブサーブと呼ばれていた奴と戦っていた一人が、標的を移し替えて、そのソロプレイヤーへ向かっていく。
こう見ると二人で抑えていた奴が有利になると思ったんだが、そんなことはなく、タイマンになったことで、そいつの動きがより洗練されていくのが目に見えてわかる。どうやらそっちが専門らしい。
「なかなかやるじゃないアンタ!!」
「あぁもう!! ソロの時に限ってこうなるんだから最低よ!! サクラのアホ!! なんでドタキャンなんてすんのよコンチクショウ!!」
ヤケクソ気味に声を荒らげつつも冷静に向かってきたPKと戦っていく。剣に何かを纏わせて戦っているからどうやら魔法剣士のようだ。向かっていったPK・・・仮称『盗賊女A』とでもしておこうか。
盗賊女Aは狩人のようで一緒に戦う狼と共に魔法剣士に戦いを挑んでいく。あの狼結構いい関係築いているようでなかなかい場所取りとしている。他人同士の戦いを見るのも結構勉強になるな。
――――◇――――
特殊条件『ボスエリア前にて戦闘行為が一分以上経過』:確認
特殊条件『『AS:対音波Lv1』以上の所持者5名以上』:確認
特殊条件『魔法剣士が一人以上存在している』:確認
特殊条件『レベル50以上のプレイヤーがいる』:確認
特殊条件『従者に狼型モンスターが存在する』:確認
必須特殊条件『『称号:ワンアイズキラー』を入手している:確認
特殊条件を三個以上、必須特殊条件を満たしていることを確認しました。『ワンアイズドラキュラゴ』が進化しました。
海岸エリアボス特異個体『セブンアイズドラキュラゴ』出現
『セブンアイズドラキュラゴ』出現により、戦闘終了時まで、ボスエリア拡張、更にエリア外から新たに戦闘エリアに侵入出来なくなりました。
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唐突に始まるボス前からのボス戦。
こんな条件やり込みプレイヤーじゃないと達成できねーよって言うのはもはや言うまい。
社員B『さぁ現代のゲームに慣れ親しんだ者たちよ。やり込めぇ・・・』
社員C『やり込めぇ〜』
社員B&C『そして死ねぇェィ!!!』
今回自信満々な模様




