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242:山岳都市テリオン

新しい街についたのでいつものやります。



「と、いうわけであのクソコウモリは初の第二形態実装ボスだったわけだよ」



「なんか師匠と居たらゲームの常識が分かんなくなってきたよ・・・」



「俺といるじゃなくて『エクスゼウス』製のゲームしてるとだな」



流石に他のゲームじゃこんなことはないだろう。基本的にボスに対して攻略できないだのそういう公式へのメッセージは飛ばさないだろうし。



剣聖物語でもイージーモードなら苦戦することなくサクサク進めるけど、ノーマルになると普通に苦戦する場面は攻略法知らないと序盤でも割とあるし。



その攻略法だが、実は街で聞き込みをすると知ることが出来たりする。些細な街角会話の中に答えが隠れているのでNPCとの会話もかなり重要なのだ。



「そう言えばリーク、あいつを特異個体に変化させる方法ってもうわかってるのか?」



「ううん、そもそもあのコウモリって結構ヘイト高いから皆特異個体探してないみたい。少なくとも私の情報網にはかかってないね。メス猫なら何か知ってるかもだけど」



「そっか・・・暫くあそこで篭るのもありだな」



「この師匠何言ってんだ」



「アハハ・・・モノ好きだねアール」



『クヴァレイドルクイーン』のときも頑張れば俺一人で達成できる条件ではあったし、『恨血の木』の特異個体出現条件も簡単なのを二つ上げると『根っこを全部切る』『恨血の木に『状態異常』を付与する』という条件だったらしいのでソロでも可能なものだ。



となるといろいろ試してみるのもありだろう。眼球のみを傷つけるとか、羽を切り落とすとか、状態異常もいろいろ試せそうだ。他にもモンスター撃破数も関わりそうだし、あるいはサブシナリオでの変化も十分ありえる。



「よし、今度周回するか」



「するかバカァ!!」



そんなルーク魂の叫びを聞きながら、俺たちはテリオンへと足を進めるのであった。





――――◇――――





山岳都市テリオン。

鉱山が多くあり、そこから取れる鉱石はプレイヤー装備にすると、末永く使える装備になるらしく重宝している。住んでいるNPCの作り出す装備も上から下まで幅広い。



そのため、その高い技術を学ぼうと多くの生産職プレイヤーもここに在住しており、『テリオンで成功することは一流の装備生産者の証』とも言われている。初心者はNPCに弟子入りしたり、知り合いの上位プレイヤーに弟子入りしてスキルを学ぶ。



生産職はただスキルでモノを作るのではなく、実際に装備制作をするように作業するため奥が深い。エクストラ以外だと難しいリズムゲームに似ていると前にアルメリアが言っていた。



「いらっしゃいですぅ!! あ!! 皆さんおひさーですぅ!」



「いらっしゃいアール。この前の宴会以来かしら?」



以前から交流があったエロロ率いる『ラッキーストライク』のギルドホームであり、テリオンの一等地に構えているプレイヤーメイド装備の専門店『幸運の方舟』に顔を出していた。



店に入るとクランマスターとサブマスターであるエロロとアルメリアが揃って出迎えてくれた。休憩中なのか、二人でお茶を飲んでいたみたいだ。



「やっとテリオンまで来たんでな。顔見せに来たぜ。これお土産。エーテリア新名物予定にしてる海波林檎のタルトだ」



もう結構昔のようにも思えてしまうが、ガンテツさんの奥さんであるガランさんが作ってくれたアップルパイ。そのレシピを再現する中、たまたま出来たのがこのタルトである。



気分転換にリークが作ってくれたんだがこれがまた美味かったので、試しに店に来た客に出してみた所、評判が良くてタルトだけ食べに来る奴が殺到した。



なので最近ギルドにやってきたミスリア出身のギルド職員。以前俺たちが依頼を受けたあのエルフにレシピを教えて代わりにギルドで販売してもらっている。



収入の三割をもらうということで販売しているのだがこれが大ヒット。ちょっとしたブームになっている。



――――◇――――

アイテム:海波リンゴのタルト

効果:HP回復(中) 状態異常回復

・エーテリアの海岸で取れる変わったリンゴを使ったタルト。食べると幸せな気持ちになれる。

――――◇――――



アイテムとしてもそこそこ優秀な上に味もいいのでプレイヤーにも人気となっている。



「タルトですか! いいですね! アルメリアさん今食べましょう!」



「その前にお客さんなんだからちゃんと相手しましょうよ・・ごめんなさいねアール」



「気にしないでいいさ。店の中見ててもいいか?」



「どうぞご自由に。何かあれば聞いてちょうだい。まぁ言う前に見てる子もいるけどね」



「師匠この剣かっこいいよ!!?」



目を輝かせて展示されている剣を見ているルークがそこにいた。リークも最近錬金術師になったからなのか、職人の目になっていた。実際少し見ただけで俺やリークが作るものとは比べ物にならない品物なのはわかる。



装備に付与されている効果もかなり優秀なものが多く、値段以上の効果が期待できそうな物ばかりだ。まぁどれも五桁するものが多いんだけど。



最近ボス戦が続いていたから金銭感覚がおかしいけど、戦闘で10000D稼ぐのだって結構大変なんだぜ?



俺は店の収入とか、基本リッチ戦の助っ人とかで大物狩りが多いから所持金はそこそこあるけど。



「おっ? もしかしてアールさんも私の作った装備欲しいんです?」



「ん〜・・・欲しくないといえば嘘なんだけどな」



現在『双子星』シリーズで身を固めているので、たまに他の装備が欲しいと思わなくもない。周りの奴らが装備変えたりしているのはよく見るしかっこいいと思うものもある。



けど、なんか体に馴染まないんだよな。これが一番しっくりハマるんだよ。おかげで『藍色ローブ姿=アール』が周りに伝わっている。



そのことを話すと、少し首をかしげた後、エロロが何か閃いたように目を輝かせた。



「じゃぁ特注で作るですぅ!! そうしたら着心地もバッチリ合うんじゃないですか?」



「気持ちはありがたいんだが・・・」



何度も言うが特注となるとその料金はプレイヤーの采配次第。しかも使う素材によっては六桁行くのも十二分にありえることだ。



無いわけではないのでいいんだが、それ以上に”コイツ”がそれを許すかどうかんだよなぁ・・・



「・・・」



瞳孔を開き恐ろしい目を向けたりはしていないのだが、苦虫を潰したように表情を歪めている。それに気がつかないエロロはもうキラキラした表情で特注装備制作を推してくる訳だ。



店内を見てもわかるが、エロロの制作する装備は高性能だ。現状リークが作る装備よりも次元が違うレベルで強いのは言うまでもない。表情から察するに俺の生存率は上がるが、他人、しかも女性が作った装備に身を固めるのが気に入らないといった感じなんだろう。



少し前なら気にしてなかったんだが、自分で制作できるようになったおかげでそういう所にも嫉妬してしまうようだ。



「素材によってはスキルの付与も出来るですぅ。あと特殊な加工をすればほかにも色々・・・」



「はいはいエロロ。少し落ち着きなさいな。気持ちはわかったけどいきなりそんなこと言われてもアールが困惑してるでしょ?」



「・・・はっ!!? 私としたことがやってしまいました!! ごめんなさいですぅ!」



ナイスアルメリア。正直助かった。



「まぁ機会があったらお願いするよ」



「はいですぅ!!」





――――◇――――





「・・・・・・」



「ねぇ師匠? リーク姉ちゃん機嫌悪くない?」



「ルーク。このくらいは機嫌悪いうちに入らねぇよ」



エロロの店を後にして、町の観光も兼ねていつもの食べ歩き。露店は少なめではあるが、どれも美味い。鉱山から取れた鉱石を加工して作られた鉄板で作られる絶品鉄板焼き料理に舌鼓をしている。



そんな中、リークは俺に腕を絡めて『私機嫌悪いです』オーラを漂わせながら歩いている。それでも買った食物を持つ俺に食べさせてくる所を第三者が見れば『イチャイチャしやがってこのリア充がっ!!タヒね!!』ということ間違いなしである。



付き合いが長くなってきたルークは、機嫌が悪そうなのを察してリークの反対側に陣取り、俺が持つ食物をパクパクと食べている。自分で買えとも思うがまぁ弟子だしいいだろう。



「む、これ美味しい。師匠これなんだっけ?」



「蛇の塩焼き。こっちがコカトリスのもつ串」



「・・・聞かなきゃよかった・・・でも食べちゃうのが悔しい・・・」



クセがあるのは、クセになる。一時期流行っていた食事系アニメでOLが言っていた。あの時食べていたのはカニ味噌だったっけ。



なぜ思い出したかというと、このコカトリスのもつ串。どことなくカニの風味と、カニ味噌のようなクセがあるのだ。食べていると熱燗飲みたくなってくる美味さである。



山岳都市だから食物には少々不安があったんだが、現地人は強かった。ゲテモノだろうと味が良ければ調理しだいで美味そうな見た目に大変身させてしまうのだから。見た目は完全に普通の串焼きだからな。



某鉄腕でアイドルユニットがやってる冠番組でも害獣をシェフがおいしく調理してるし、そこはプロの腕の見せどころってやつだろう。



「ん」



『ヨヨヨ!』



リーク側の肩にいるディアも、リークが食べさせているので美味そうに食べている。食べているというか吸収しているのが丸見えなのだが、美味そうな声で反応しているのでいいじゃないか。



「そこの仲睦まじいご家族御一行!! どうだい!! 出来たての卵揚げ!! 美味いよぉ!! どうだい?」



「家族じゃないやい!!」



「・・・ふふ・・・家族・・・妻・・・イィ・・・!!!」



「あはは・・・そんじゃ30個くれ」



「師匠も否定してよ!!?」



そう見られたんなら仕方ないじゃないか。諦めろルーク。ついでにリークの機嫌が急上昇して、人に見せたくない素晴らしい笑顔になっていたので、それを見せたくなかったので正直否定することに気を割けなかったのが本音である。



ちなみに卵揚げ、美味でした。


いつもの。つまり食べ歩き。

若干不機嫌でしたが屋台のおじさんの家族発言で気分上々↑↑


エロロ印の装備はクラン内に生産職がいないプレイヤーにとっては最高クラスの装備なので特注が後を絶たないレベルの超名店です。


エロロの保護者であるアルメリアの名前が轟いていた影響もありますがね。

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― 新着の感想 ―
[一言] エロロ謹製装備…………性能はどれくらいですか?
[気になる点] 常識が分かんなくなってきたかよ→常識が分かんなくなってきたよ 流石に他のゲームじゃこんなことはにだろう。→流石に他のゲームじゃこんなことはないだろう。 休憩中七日→休憩中なのか 顔店に…
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