219:仕切り直し
状況は有利。ここからどうなる。
感想いただけると糧になるので是非お願いします。
『オ゛ォォォオ゛オ゛オ゛オ゛ォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!』
「っ!! そ・・・う・・・員っ!!! 一時下がれぇぇ!!!!!」
何度目かの巨大な咆哮。先程までと違う何かを感じて、私は体にまとわり付く恐怖を殴りつけて、押し込めるプレイヤーに下がるように指示を出した。
そうして私自身も後退して距離を開けていく。指示に従ってくれたプレイヤーが私のいる位置まで全速力で下がってくる。
けどやっぱりいるのが、指示を聞かずに戦い続けるプレイヤー。大体野良だったり、ソロだったり、最近始めてワールドシナリオボスのことを知らない連中だったりするんだけど。
「意外と少ない・・・まぁ相手のパワーアップ要員にされる可能性考えたらマシか」
「リーク貴方ナチュラルにエゲツナイですよね」
攻め時と引き際をわきまえない阿呆は死ぬし、下手すれば余計な被害を増やす原因にもなる。けど、それも戦略に組み込んでおけば良いだけだし、うまく使えば相手の次の出方を見る人柱にもなる。
まぁエールの言うとおり、非情な事をしている自覚はあるけどね。必要な犠牲ってやつよ。
「でも少ないのはちょっと意外かも。特にレイエルが逃げてきたのがね」
「いやだって、天下のリーク大軍師様が退けって言うんですよ? 逃げないと人柱確定でしょこれ? 俺ちゃん人柱なんて二度とゴメンですしおすし」
「軍師言うな。結構あれ気にしてるんだから」
「笑顔で神風特攻してこいって言った人間が何言ってるのよ。倒したとき笑顔だったじゃない」
「ですですぅ」
アルメリアもエロロも失礼ね。ただちょっと『これ持ってボスの中に入ってこい』て言っただけじゃない。入っただけなら死なない可能性だって十分あるでしょうが。
まぁその後持たせた術式を開放して体内から聖なる炎で焼き殺すから逃げないと死ぬけど。空飛ぶアンデット船を落とすにはそれくらいしないとダメだったじゃない。
お陰で私はしばらくの間、何かのソシャゲで人柱射出装置みたいなこと言われているキャラと同類みたいなこと言われてたけど。
それはさておき、人柱連中が『ゲルゲナート』の咆哮が続く中、攻撃を続けていく。真化ジョブ持ちによる抑えがなくなったのも関わらず、『ゲルゲナート』は腕による防御も反撃も行っていない。
「リーク君!! 無敵状態だと考えるのだがどうかな!?」
「十中八九そうでしょうね。第二形態登場の前フリか・・・一応今のうちに確認するけど、『真化ジョブ』持ち、手を挙げなさい。」
挙手したのは八人。
ニコニーコ、†黒悪魔†、エール、真之介、雷華、ミラファ、シモン、シロマサか。あとはレイレイも持っているとか言ってたから九人ジャスト。
「どうせシロマサは防御系でしょ? それ以外で攻撃系以外の真化ジョブは?」
「いやひどくない? 一応攻撃出来るぜ? 反撃だけど」
「なら最前線の壁役決定よ。死んだら戦線崩壊するから死んでも生き延びなさい」
「むちゃくちゃすぎでさぁ」
「それとミラファ。貴方さっきどうして言わなかったの?」
「ごめんなさいリークさん。私は対人専用の真化ジョブみたいでモンスターには効果があるとは思わなかったんです。ごめんなさい」
そういうことね。まぁそういう理由なら仕方ないか。でもここから先はそうも言ってられない気がするから聞けることはしっかり聞いておかないと。
「わかった。ちなみに何するの?」
「対人特化の真化ジョブ『義賊:仁』という能力で人体に与えるダメージを自在に操れるんです。殺すことも生かすこともなんでもできます。」
「ふむ・・・・よし。聞きなさいミラファ」
「ひゃっ!? り・・・リークさん!?」
「あれはアンタにとっての”人”よ。認識を変えればいけるわ」
――――むちゃくちゃだ!?
「外野は黙らっしゃい。ミラファ、よく聞きなさい。あれは人よ」
「いやいや流石にそれだけでは変わらないですよ」
潜在的思考が邪魔してるみたいね。仕方ない。ちょっと教育してみましょうか。
「え? リークさんちょっと何をっ!?」
「私の目をよく見て。大丈夫よ。何も怖くないわ」
顔をガシッと抑えてミラファの目を捉える。恐怖している感情の中に驚きとかそういう感情が見え隠れしている。
ミラファの呼吸に私の呼吸を合わせていく。ゆっくりと筋肉の動きも同化するように合わせていく。
「力を抜きなさい。貴女は私のことを信じて返事をして欲しいの」
「は・・・はいぃ・・・」
目から恐怖とか怯えとか驚きとかの感情が消えて安らぎや安心、リラックスしたような目に変わってきた。私が積み上げてきた信頼度がなせる業よ。人間関係っていうのはこういうために築き上げるのよ。
「ゴプッ・・・!! ご・・・ご褒美・・・・過剰・・・!!」
「美女たちの見つめ合い・・・・くっ!! ここが戦場でないのなら・・!!!」
「あれは既にアールさんの彼女なんだ・・・・!!! くっそイケボ美声の美人すぎだろ・・・!!!」
「ちっく・・しょう・・・!!!」
「女の私がドキドキしてる・・・!!?」
「お・・・お姉さま・・・!!」
周りの連中煩い。うまく洗脳かからないでしょうが。まぁミラファの目がトロンとし始めたから、この程度の雑音ならいいでしょう。
「いいミラファ。あれはモンスターじゃないのよ?」
「えぇ・・・じゃぁ・・・あれはぁ・・・?」
「あれはちょっと大きな人よ? 勘違いしてはいけないわ」
「ひ・・・ひとなんですか?」
「そうよ。あれは人なの。周囲の人にはそう見えてないかもしれないけど、あれはちょっと大きな人間よ」
「あれは・・・人間・・・人間・・・」
目に輝きが戻ってきたわね。ミラファの顔からゆっくりと手を離し、首を撫で、肩から腕へとゆっくりと下がっていき、手を取る。少しだけ優しく手を包み込んだあとで手を離す。
「ミラファ。あれは何?」
「あれはちょっと大きい”人”です。私の真化ジョブも通用するはずです!!」
「よし。催眠かかった」
「簡単すぎないσ(´┰`=)?」
「日本の催眠術は強力だからな。簡単にどんな命令でも聞かせられるだろ」
「流石姉にエロゲ見つかってさらし者にされたアレク!! 言う事が違うねぇ!!」
「根暗キサマァァ!!!」
「他に不安が有る奴いる?」
多少面倒だけどこのあと使い物にならないくらいならこの程度ならやってもいい。心からめんどくさいけど。
「はいはい!! 俺不安ですぼォッッ!!?」
「野郎は痛みで気合入れろ」
名前も知らない野郎がいい笑顔で迫ってきたので股にぶら下がる貧相なブツを蹴り上げた。感触が気持ち悪いけど、黙るなら我慢しよう。
「「「「「っ!!?」」」」」
男の急所を全力で蹴り上げてやったから、見ていた男連中は顔を青ざめて内股になっている。目の前に沈んだ野郎はピクピク震えている。
「痛みは現実並みにあるんじゃない? さぁ気合入れて欲しい奴は?」
「「「「「気合充分です!! サー!! 」」」」」
男連中が全員敬礼で返事をした。女子組も下心丸出しだった潰れている奴に対してはゴミを見る目で、ほかの男にはある種の哀れみと同情。
『オォォォォオオオオオォォオオオ!!!!!!!』
「そろそろ動くわね。おいゴミ虫。いつまでも悶えてないで起きろ」
「ゲポッ!!?」
「ご・・・ご褒美・・・!!!」
よろよろと立ち上がった野郎は子供のように泣き出しそうな表情だった。あとさっきから誰よ。Mの気質あるおバカは。
「気合は入ったかしら?」
「め・・・目覚めそう・・・これが・・・ご褒美・・・美女からのご褒美・・・!!!」
「・・・キモイから視界に入るなゴミクズが」
「ハイィィ!! ありがとうございます!!!」
そそくさとキモい笑顔になって野郎は私の視界から消えた。気合の入れなおしは出来たし、回復する時間も充分取れた。
ここから二回戦よ。
リークミラファの微百合(?)要素有り。本気出すとイケボとか出せますリークさん。スタイルいいので王子ムーブもかなり余裕でできます。
どこかの姉はそれよりも更にすごいです。本職なので。普段は姐さんって感じしかしませんが。




