213:激突!ワールドボス『ゲルゲナート』戦 Ⅴ
去年頂いたキャラ案がようやくまとまったので『ある日々の物語』にて投稿しました。
よければご覧ください。
「オオオオオオオオォォ!!! レイレイくん!!!」
「遅い!!」
鬼の形相で走ってきたのはニコニーコ。ほかの連中の姿は遥か後ろ。それも何かと戦いながらこちらに向かってきている。
無視してくるよりも後の憂いを断ってくれるのはありがたい。でもなんでコイツだけ先行してこっち来てるのよ。
「アンタなんで一人なのよ!!?」
「皆で決めたことだ!! 私が先行して町に戻り可能な限り避難の時間を稼ぐ!! 向こうの指揮はアルメリアくんに引き継いできた!!」
「ならいい!! 向こうの人員に『真化ジョブ』持ちは何人いるの!!?」
「四人だ!! 私を含めれば5人だがな!!」
そうなると特攻持ちはアールとリーク含めれば10人。それと隠してた奴らは全員後で絞ってでも情報吐かせてやる。
「ニコニーコ アンタの『真化ジョブ』の性能は?」
「『真化ジョブ:守護魔闘士』だ! 守る人がいるならばより強く、より優しい力を貸してくれる!!!」
この場において相性は最高にいい訳ね。いい判断よ。守護魔闘士ね。このヒーローには最高の称号じゃない。
「レイレイくん!! 君は!?」
「拡散するんじゃないわよ? 『暗殺者:恋華』。空間把握に特化した奴よ。攻撃向きじゃないけどアシストは期待してなさい。あと『災厄』に関してだけど気づいているわよね?」
「うむ!! 生物の本能的恐怖を引きずり出す状態異常だね! なかなかに厄介なものだ!! だが私はその恐怖を乗り越えてここに来た!! そして後ろに続く彼らもその恐怖を乗り越えて今、みんなのためにモンスターと戦っている!!」
流石前線で戦うプレイヤーだけあるわね。あのレベルの恐怖は乗り越えたか。なら後から合流してくる連中も戦力で考えていいかもしれない。
現在避難は約7割完了している。人の多い方に向かうことを考えて足止めができる真化ジョブ持ちは既に各ルートに一人ずつ配置している。
うまい具合にこっちの三人は前衛職の真化ジョブだったから助かったわ。問題はどこまで通用するかってことだけどね。
「レイレイくん!! 私はどうしたらいいだろうか!! 君の指示に従おう!!」
「ここで待機よ! アナタの存在が街の人に勇気を与えるわ!! 出来るなら大声で避難の呼びかけと鼓舞してあげて!!」
「任せてくれ!! 正義の味方としての姿を皆に見せよう!!!」
これでまだ怯えている人たちに勇気を与えられるはず。アールもそうだけど、ニコニーコの人気と人間性は大陸では有名だ。
平和の為に戦う民衆の味方。平和を守る戦士。それがニコニーコという男。NPCにファンが居るほどの人気者で、ニコニーコが来たとき絶対に助かると信じられるくらいには人々から信頼されている。
お願いした通り、ニコニーコは避難している人たちに声を掛けてくれている。その声が勇気を呼び起こしてまた立ち上がらせてくれている。
常に恐怖が湧き上がる中で、信頼出来る人が近くに来たっていうのはやっぱり勇気をもらえる。私にとってのアールがそれだ。
今一人で戦っているアール。離れているであろう私たちですらこの恐怖心だったんだから、直接戦うアールの感じる恐怖はきっと並大抵のものじゃないはず。
それでも戦うと、足止めをすると言ってくれたアールの期待に応えられないなんて、死んでも嫌だったから。アールの信頼に応えるために。それが私の勇気につながるから。その勇気が私に希望をくれるんだ。
けど、同時に胸騒ぎがする。『災厄』の説明の最後の一文。まるで恐怖を乗り越える者がいること前提で書かれていた。
もしも。もしも最初から狙いが『災厄』の恐怖を乗り越える物をはじき出すための選別でしかないとしたら。
選別した結果。最高の贄となる存在が見つかったとしたら・・・巨人は一体”誰を”狙うのか。考えつく答えは簡単すぎる。
そう思ってしまうと恐怖が再び押し寄せてくる。アタシが食われるのも、死ぬのも構わない。でもアールが目の前でそうなってしまうのだけはダメ。
そうなったら例えゲームだろうと”私達”はきっと動けなくなる。
――――◇――――
ここはどこだろう?
俺は・・・誰だっけ?
目の前は真っ赤な何か。
自分の体だと思うモノからは何か管のような何かが真っ赤な壁に向かって伸びている。
痛くはない。でも何故だろう。このままじゃダメだと何かが言っている。
でも・・・動けないから・・・動かなくてもいいよね・・・
『――――』
体の中から聞こえる声が一体何を言っているのか、わからないけど。今はどうでもいいかも・・・
――――◇――――
『チッ!! どこにいるのだ!!!』
風よりも早く走る獣がいる。その速度は雷を超える。雷の速さで駆ける獣は何者かを探す。己の本能がそうしろと言っていたのだ。
全てのお願いを無視してでも必ず探しだせ。そう自分の中の何かが訴えかけていたから。
『クソがっ!! これで見つかられなかったら今度こそ焼き鳥にして食い殺してやる!!!』
探しているのは旧友。本人は決して認めないが旧友だ。同じ人間を主と認めた者。同じ時を歩んだ馬鹿者。
怒り狂った為迷惑をかけていたからぶっ飛ばしたこともある旧友を獣は探す。
獣は本能で恐怖を知っている。その恐怖は大切な主を失う恐怖。
それを回避するために、獣は雷のごとく速度で旧友を探す。心を動かすことが出来る翼を持つ友を・・・
――――◇――――
傍から見れば美しい美女に見える青年は翼竜に乗り空を飛んでいた。生まれ育った大陸を人生で初めて離れている。
目指す大陸では現在時代人なる亜人種が大量に生まれていると言われ、行くことすら禁じられていた大陸だ。
青年はこの禁じられた大陸移動を行っている。勿論許可などない。ただ強者と会うために青年は大陸を渡ろうとしている。
「ふっふふーん!! 楽しみだなぁ!! 伝説の『剣聖』を名乗っているのはどうかと思うけど強いみたいだしすごく楽しみだなぁ!!」
青年はウキウキしていた。自分の憧れを名乗ることに関しては苛立っているが、そこはほら。自分が打ちのめし、名乗ることを辞めさせればいいと思っている。
自分よりも万が一強ければ、なぜそんなに強いのか聞き出せばいい。どうせ本物はもうこの世にはいない。なれば未だ生きている亜人種の剣聖の教え子だろうとは目星は付けている。
「まぁ僕ほど強いとは思わないけどね!!」
自分の強さに絶対の自信を青年は持っている。少なくともある一点において、青年は現在最強の名を守り続けているのだ。
その剣は全てを引き裂く刃であり爪。いかなる物であろうとも引き裂けない物はない。故に青年は国からその名の一角を名乗ることを許されている。
出会う時は近い。
一言だけ。
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