191:公式任命Ⅰ
即フラグ回収
「おはよう励久」
「おはよう唯」
朝起きればさも当然のように俺と同じベットで寝ていた唯。昨日はあの後エーテリアに戻りそのままログアウトした。
その後は色々とやっている内に眠くなったので寝たはずだからそういうことはしていない。体も怠くないし寝ている間にってことはないみたいだ。とりあえず一安心。
「唯。いつ来たんだ?」
「三時前かな」
今の時間が7時だから夜中の2時くらいか。ってことは仕事の手伝いでもしてたのか。まぁその辺はどうでもいいや。
「朝飯何がいい?」
「ん〜たまに卵かけご飯の気分〜」
「じゃぁそれでいいか」
毎日食べても飽きないけど、たまに食うといつも以上に美味く感じるんだよな卵かけご飯。ちなみに俺のところの卵かけご飯は炊きたてのご飯にバターを溶かして米全体にバターをなじませてから卵を投入するスタイルだ。
北海道では卵をかけない状態で、そこに醤油をかけて食べるバターライスという名前で以前紹介されていたことがあった。
ネット界隈では『北海道にいるけどそんなの知らないよ?』という声があったが、北海道に居る知り合いに話を聞いてみると『いやぁびっくりしたわ。あれ北海道の地元飯なのね』と言っていたからその家庭によるんだと思う。
そんなことを知らずに俺の家では卵かけバター飯を食べていたのでちょっと不思議な気分だった。ちなみにバターライスめちゃくちゃ美味かった。俺個人の感想だけど。
そんな我が家の味もすっかりお気に入りとなっている唯も同じように我が家の味を食べるわけだ。
とりあえず俺も唯もお互い寝巻きとして使っているジャージから着替えていつもの格好に。ちなみに唯の着替えは俺のタンスに入っている。入れられていたとかではなく、最初から入れてあるんだ。どうせ来るだろうし。
ちなみに湊は毎回持ち込み持ち帰りしてもらっている。ある程度の線引きはしっかりしておかないとダメだし。
着替えを終えてそのまま部屋を出て台所に向かう。昨日寝る前に米を炊く準備はしていたから後は炊くだけだ。唯はもう少し時間がかかるみたいだ。女性の着替えってやっぱり時間がかかるんだよな。
鍋を火にかけて強火で一気に炊く。これも我が家スタイルなのだが、炊飯器ではなく鍋で米を炊くんだ。大体三十分くらいで炊けるので意外と楽なのだ。
あとは常備菜をいくつか出せばそれで朝食はいいだろう。確かまだ大根と人参のきんぴらときゅうりの酢の物が残ってたはずだしそれでいいや。あとは・・・昨日食べた残りの豚バラ肉が残ってたな。適当に焼くだけでいいか。あとは味噌汁っと・・・何かあったっけか。
「励久。お味噌汁なら私作るよ。ちょうど玉葱あったからそれでいいでしょ?」
着替えが終わったようで冷蔵庫を開けて味噌と玉ねぎを取り出していた唯。特に異論もなかったのでお願いしよう。
「〜♪」
雪平鍋に水を入れて火にかけ、タンタンタンとリズミカルな音を立てて玉ねぎを切っていく。何て言うか女性が料理してる姿って何度見てもいいよな。何て言うかそれだけで元気がもらえる。
――――◇――――
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでしたって、私お味噌汁しか作ってないけどね?」
朝食も終えてゆっくりとした時間を過ごす。何もしないで座っているのもたまにはいいものだ。唯は食べた食器をまとめてシンクへと持って行ってくれた。そのまま片付けてくれそうな勢いだったので止めないと。
流石にそこまでして貰うのは気が引けるし。
「シンクに置いておいてくれれば後でやるからいいぞ?」
「気にしないで。私がやりたいだけだから」
「なら俺も手伝うか」
「少ないから任せていいよ?それよりも今日の予定って何かある?」
そういう訳にはいかんだろうと思い唯の元へ行くと既にもう泡を流すだけになっていた。片付けの手際いいな相変わらず。洗ってもらった食器を片付けるためにキッチンタオルを手に取り、水切り台においていかれる食器を取り水気を拭き取っていき食器棚へと片付ける。
「今日はあれだ。エクスゼウスの偉い人に呼ばれてる」
「あ、もしかして前に話してた公式に五代目剣聖任命の話?」
「そ」
イベントの時に流れるように公式が認めてくれた五代目剣聖としての名。それに関する打ち合わせとして今日、エクスゼウス運営から会合の場を設けてもらっているわけだ。
そこまでしなくても構わないと言ったのだが、『それでは我々の気が収まりませんので是非』と言われてしまったので申し出を受けさせてもらうことになった。
ちなみに場所はちょっとお高い料理店。よくドラマとかであるような高級店とは違うけど、とても美味しい料理を出してくれることで有名なお店だ。
雰囲気的には『一日〇出録ハン〇ョウ』の18話『秋魚』で出てきたようなお店だ。なんで知ってるかって?前に唯とのデートの時に行こうって話になっていたはずなんだけど。
その話があれよこれよと進んでお互いの家族で親睦会みたいな感じで食事会になっていたんだよこれが。不思議なこともあるもんだ。
そんなお店で今日はちょっとした会合だ。会合って言っていいのかはわからないけどとにかく会合なのだ。
「ねぇ? 私も行ってもいい?」
「流石にダメだろ」
「だよねぇ・・・ちょっと問い合わせてみる」
「おい」
諦める気全然ないのかよ。というか普通行きたいって思わねぇだろうに。唯は片付けをそそくさと終わらせてすぐにどこかに電話をしていた。
止めるべきなんだろうけど何て言うか止める気が起きないんだよな。身内に甘いって言われるけどまさにその通りだから何も言えねぇや。
「はい・・わかりました。ありがとうございます・・・・・・一緒に来てもいいって許可もらった」
数分で電話を終えるとまさかの許可が下りていた。いいのかよそれで。
「一応聞くけど変な手回ししてねぇだろうな?」
「してないよ?直接問い合わせダイアルにかけただけだもん」
表示されたダイアルは確かにエクスゼウスの公式ダイアルだった。画面を見せてもらっていると、ちょうど俺の携帯に電話がかかってきた。画面に表示されたのは今日の話を纏めてくれている運営の主任さんである『綾崎さん』からの電話だった。
「はい。藤宮です」
『朝からごめんなさい。綾地です。藤宮くん今日の打ち合わせなんだけど、彼女さんの高山唯さんも同席してもらうことになったんだけど大丈夫かしら?』
「大丈夫ですけど・・・唯が何かご迷惑をかけませんでしたか?」
『別に何もないわよ? あ、もしかして今隣にいるのかしら?』
「えぇ」
『ならちょうどいいわね。実は前々から高山さんにも声を掛けようかって話が上がっていてね。結局藤宮くんだけだったんだけど、さっきその本人から連絡をもらえてどうせならお願いしようって話になってね』
一体どういうことだってばよ。まるで意味がわからんぞ。
ともかく、一緒に行って問題ないということが分かったのでいいとしよう。本当に何が起きたんだろう。
『それじゃぁ今日のお昼によろしくね』
「こちらこそよろしくお願いします。失礼します」
電話を切ると、唯が満面の笑みでそこにいた。それはもう、ものすごく笑顔だった。
「あのお店美味しいんだよね〜」
ただ飯食いに行くわけじゃないんだけどなぁ・・・まぁいいや。真面目にしてくれるなら俺としてはそれでも。
励久あるところに唯あり。鍵開けなど余裕でします。合鍵持ってる(作った)だけなんですけどね?




