183:海岸エリアボス『ローザクヴァレ』。通称『クラゲ道場』
覚えていますか?以前アールがイライラしてて瞬殺したボス『ローザクヴァレ』さんです。
さて、現状の把握と行こう。目指すボスは海岸エリアのボス。クラゲ道場の主である『ローザクヴァレ』さんである。パーティーの戦闘能力によってHPが上限なく上昇するめんどくさい能力を持ったボスである。
以前戦った時は俺のストレス発散のために秒殺しまくったけど、普通に戦うとそれなりにめんどくさい相手らしい。
普通ドラゴンでボールに出てくる超戦士みたいに高速移動して攻撃できるようなスキルは数少ない上に、道場目的ならそうするとスキルレベル上げには向かないのである。普通に考えるならだけど。
という訳で、今回は一般プレイヤーであるルークの実質ソロ攻略(おまけ付き)である。攻撃はルークのみ。俺らは基本観戦、そしてやられた場合のみ反撃である。それ以外の攻撃はするつもりは今の所ないのだ。
一応ルークの現状の集大成を見る場面なので。
「おーい愚弟〜、助けて欲しかったらすぐに言えよ〜」
「ルークきゅんのガチ戦闘!! 最高かよ!!!」
「ルーク!! がんばれー!!」
「アールさんの弟子の実力、見せていただきますね」
ギャラリーが増えとる。現状結構な数のプレイヤーがボスエリアに入り込んでいる訳で。そうなるとどうなるかというとボスのHPがとんでもないことになるのである。普通にHP10万とかあってもおかしくないと思う。メンバーがメンバーだし。
ギャラリーその1。どこから聞きつけたのか煽る気マックスでありつつも、弟の成長を見届けに来た『チーザー紫』と『ミー』。
ギャラリーその2。ルーク教を名乗る怪しい宗教の教祖こと『ライーダ』とその信者であると思われる面々。『ヤイチ』に『ぞうもつまる』『サクラ』
ギャラリーその3。リアルでの知り合いだと言っていた『弥生』とその兄弟らしい『朱雀』
ギャラリーその4。戦闘狂であり、最近ジョブ『狩人』じゃないにも関わらずモンスターを従者化したちょっとした噂の人『カトレア』とその従者『オーク族のオリヴァー』
ギャラリーその5。『電卓騎士団』より『アルトりす』と『オルガン』。ちょうど街で遭遇してそのまま流れでついてきた感じだ。
ギャラリーその6。『ラッキーストライク』より『エロロ』と『アルメリア』。戦闘時の錬金術師の戦いを見られるかもと言ってついてきた。アルメリアは保護者だという。
俺たち『剣星』は俺こと『アール』に『リーク』『レイレイ』『俺はマー坊』『ルーク』に加えてNPC『銀狐族のギン』『剣豪コヨミ』に『破滅の球体-ディア-』
ギルファーは相変わらず興味なしで今回は街で買い食いしている。
最近レイドボスに限らずゲーム全体に調整がかかり、人数制限が大幅に上昇したため、少なくとも一度に30人は参加できるようにアップデートが施された。
参加人数によって敵のステータスや能力、行動などに新たなモーションが追加されたようで一方的な戦いになることはないらしい。
なんでも俺が侍戦前に瞬殺した『恨血の木』が余りにも簡単に倒されすぎて、それを見ていた一部プレイヤーからクレームがあったらしい。その結果色々と修正がされたのだ。
その結果、逆に強くなりすぎてなかなかに強敵として全てのボスが、挑戦者に応じたレベルアップするという難易度の上がり方をしたため、どこのボスも現在それなりに人気が出ていた。
もちろんレアドロップも新規で追加、更に特殊条件で入手できる素材や武器のことも公式で発表されてレイドボスと同じくらい各所のボスが人気となっている。
ちなみに一番人気なのはまさかの『恨血の木』らしい。スキルレベル上げの効率と素材ドロップが中々に良調整されたらしく初心者から上級者にまで大人気だ。
しかも戦闘に関しても普通に強いので初心者にとってはここから始まる戦いの基礎を試す試験場。上級者にとっては更なる技術を磨くための基礎試験場として今一番有力視されている。『恨血の木』なのに大人気すぎて最近では『喜血の木』と呼ばれるようになったとか。
そんなことしてたら運営の連中ならレアボスエネミーとか言ってマジで『恨血の木』の亜種として『喜血の木』とかつくりそうじゃないか。
そんな話は後にしてだ。流石にこれだけの人数がいるのでソロで戦わせるのは良心が痛む。時間をかければ勝てるだろうが、ルークの実力的にそこまで長い戦闘は無理だろう。
嫌そうな顔でチーザーを見ているルークの隣に立つ。同じくして俺の考えを汲み取ったようでリークとマー坊、レイレイも同じく体を伸ばしながら参戦する。
「アール師匠?」
「言う必要あるか?」
「―――っ!! 大丈夫!!」
メインはルークだが、今回は支援と援護ということで戦闘に加わろう。実際、目の前に浮遊しているボス『ローザクヴァレ』を見ても怖気付かず、チーザーにイヤミ的な視線を向ける余裕があるので、こうならなくても問題なかっただろうし。
「ルーク前衛、マー坊は攻撃するなら反撃だけに留めとけ。レイレイは遊撃。リークは支援だけで、俺も支援しかしないからそんな感じで。ギンとコヨミもそんな感じで」
「「「「「(OK/了解)」」」」」
「思ったよりも適当だっ!!?」
戦いなんて言ってしまえばその場の臨機応変だ。これくらい大まかに決めておけば後は状況次第で動ければいい。いちいち細かい指示がないと戦えないならそいつはまだまだだからな。
優秀な指揮官ならそれも含めて指揮するのだが、俺は生憎指揮官ではないんでな。根っからの戦士タイプだからそういうのはセンスないんだ。
後ろではギャラリーから声援のような何かが送られてくる。言っとくけど見世物じゃないんだぞ?
とか言っても聞く耳を持つようには思えないので言う事もないだろう。ここからが本番である。現状ゆらりゆらりと宙を舞うボス『ローザクヴァレ』はじっとこちらの動きを見ている。
仕掛けてきてからカウンターを狙っているのか、はたまたまだこちらを敵性個体として認識していないのかのどちらかである。
「「「「「「それじゃぁ(ルーク/ガキんちょ)逝ってこい」」」」」」
「送り出し方が不穏すぎないッ!!?」
文句を言いつつも突撃していくルーク。それを確認して、ローザクヴァレもこちらを敵認識したみたいで動き出した。ヒラヒラした触手をルークに向けて動かしていく。速度は遅いが数が多い。
「『星読み』により来たれ『流星』よ、『星読み』により舞い降りろ『彗星』」
「清廉なる闇の焔、光に宿りてその力を示せ『ソウルシュヴァルツ』」
「我らに精霊の加護を授けたまえ『フェアリーミラクル』」
「戦神の力をその身に与えん『武神降雷』」
「妖弧の緋じゃ、受け取れ『緋色紅葉』」
「剣の光です。頑張って『剣心放光』」
――――ルーク視点での現在付与バフ――――
アールからのバフ
・防御力&魔力&素早さ&幸運値上昇(120秒)
・特殊状態『全反撃』(一回)
・特殊状態『受ダメージ量激減』(60秒)
・特殊状態『ソウルスピリッツ』
※『ソウルスピリッツ』:自分に掛かっている『特殊状態』が効果時間を過ぎても永続して発動する。
リークからのバフ
・特殊状態『ソウルシュヴァルツ』(60秒)
※『ソウルシュヴァルツ』:攻撃ヒット時に自分の攻撃力が上昇
レイレイからのバフ
・特殊状態『フェアリーミラクル』(10秒)
※『フェアリーミラクル』:攻撃ヒット時に自身のHP上限を超えての回復することがある(上限値+100%)
俺はマー坊からのバフ
・特殊状態『武神降雷』
※『武神降雷』:自分のHPが60%以下になるまで永続して攻撃力上昇(上限値+500)
ギンからのバフ
・特殊状態『緋色紅葉』(30秒)
※『緋色紅葉』:自身の攻撃に『属性(炎)(風)』を付与する。
コヨミからのバフ
・特殊状態『剣心放光』(30秒)
※『剣心放光』:武器『剣』と付く装備を使用している場合、与えるダメージが上昇し、『属性:光』を付与する。
――――◇―――――
「やりすぎだよ!!?」
「「「「「「よそ見しないで逝ってこい」」」」」」
全員揃ってバフを放ったわけでルークの体から迸る光が湧き出ている状態である。ちなみに俺が使ったバフ効果だけは同じようにかかっているのでわかるのだが、この『ソウルスピリッツ』がめちゃくちゃ強い。
永続して受けるダメージ量が減っている上に、防御力と素早さと幸運値が上がっているんだ。これもうあと何回か『星読み』かけてやれば全ステータスに補正かかるし一人で十分だろう。というか既に『防御力』と『幸運値』には二重のバフかかったし負ける要素がなくなった。
他にも何か持っている剣から凄まじい何かが溢れ出ているし。迫る触手をなぎ払う毎にルークのHPが回復してるみたいに光ってるし、他にも何か”気”みたいなのをめちゃくちゃ光らせているし。
「ねぇアール? どうしてルークが『ソウルスピリッツ』状態になってるの?」
「俺の『流星』ガチャの結果。あれやっぱりヤバイの?」
レイレイが若干引き気味で訪ねてきたので答えてやると、隣のリークがげっそりしていた。マー坊に至ってはもはや呆れを超えて苦笑いだ。
やっぱりとんでもない効果だよなぁと思っていると、げっそりしていたリークがその疑問に答えてくれた。
「魔術女帝だけが使える私の全MPを払って使える最上級バフだよ・・・それをこんなあっさりと・・・」
「まぁガチャだし」
「これもうこれ以上の支援いらねぇな。俺らが掛けたバフって全部『特殊効果』扱いだから戦闘終了までもう解けないし、現状ゲーム内で最高の状態だぜあれ?これはもうヌルゲーだわ」
「だから私だって封印してたのにぃ・・・」
「・・・マジかぁ・・・」
良かったなルーク。今のお前はこの世界で最高級のバフに身を包んでいるそうだ。しかも揃いに揃って専用スキルみたいだしもうお前に勝てる相手は数える程度にしかいないだろう。
「のう師匠? つまりどういうことじゃ?」
「???」
「つまりだな?」
とりあえず訳がわかっていないギンとコヨミに説明してやるとリークと同じような反応をしてくれた。うんごめん。まさかこんなヌルゲー化するとは思ってなかったんだ。
ま・・・まぁ逆に考えればルークのソロが見られるってことだしな。うん。やっぱりゴメン。
そんな感じで悪いと思っていたわけだが、よく考えればだ。運営がこの状態を想像していないわけがなかったのだ。
「ッ!!」
「ガッ!!?」
一瞬空気が変わり、思考をフル回転させた瞬間、突如として『ローザクヴァレ』の動きが変化し、今までとは比べ物にならない速度で触手が動き、ルークを殴り飛ばした。
それに合わせて『十六夜天雷』から『風瓶エリシオン』で跳び、危なく岩盤に激突しそうだったルークを受け止めた。状態を見れば先程までかかっていた全てのバフが消滅しており、更に異常状態を示すアイコンが目に見えた。
それは今まで見たことがないアイコン。毒のようにも見えるが、毒じゃない。でもルークの顔色は一瞬ごとに悪くなっていく。呼吸が止まっていく、体が瞬間的に冷たくなっていく感覚が俺の手を通して伝わってきた。
「リーク!!」
「全能なる聖天使、世界の厄災を振り払え『エンジェリックフェザー』!!」
フィールド全てに光の羽が降り注ぐ。その羽に触れればルークを受け止めた時に負ったダメージが回復した。同時にルークの異常状態も消滅し、体の熱が戻ってくる。
「おいおいおいおい・・・・・・マジかよ・・・っ!!?」
マー坊の漏らした声の先にいたのはローザクヴァレ”だった”何かだ。巨大なクラゲは姿を変え、人間と同じような大きさになっていくと、無数の触手が重なり合い、”身体”を形成していき、腕と足へと変わる。笠の部分はそのまま頭部へと変わり、傘の下からは人間と同じ顔が現れた。
重なり合う触手がやがて交じり合うように、一つの部位へと変化していき、気が付けば先ほどの面影を頭部に残し、まるで髪のように長い触手を揺らめかせるドレスを着た女性の姿へと変身を遂げていた。
――――◇――――
特殊条件『一定数以上の特殊状態を付与したプレイヤーが存在する』:確認
特殊条件『特殊状態:ソウルスピリッツを付与したプレイヤーが存在する』:確認
特殊条件『ボス・ローザクヴァレに10人以上のプレイヤーが挑む』:確認
特殊条件『挑戦者全員のレベルが80を超えている』:未確認
特殊条件『『ジョブ:狩人』を持ち、従者レベル90を超えている』:確認
特殊条件を二個以上満たしていることを確認。『ローザクヴァレ』が進化しました。
海岸エリアボス特異個体『クヴァレイドルクイーン』出現
『クヴァレイドルクイーン』出現により、戦闘終了時まで、エリア外から新たに戦闘エリアに侵入出来なくなりました。
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ーーーー◇ーーーー
主任X『さて諸君。プレイヤーの有象無象から我々に対してクレームが来た』
エクスゼウス社員一同『・・・』
主任X『正直それはどうでもいい。言わせておけ。しかし他の健全なプレイヤーに対して、そして我々の剣聖アールくんに、藤宮励久くんの全てを『チート』の一言でまとめられているのが気に入らない』
エクスゼウス社員一同『・・・』
主任X『よってだ。一部の屑プレイヤーからの”要望に答えてあげよう”じゃないか? これより大幅アップデートを決行する。条件付きではあるが各地のボス”初期案の開放を許可”しようじゃないか。もちろんこのゲームを楽しんでくれている大勢のみんなの為のアップデートも並行してやるよ。楽しんでもらおうか。”勿論要望をくれた自称このゲームを誰より愛してくれている、プレイ時間100時間にも満たない素晴らしいプレイヤーたちの要望にも答えてあげよう”じゃないか』
エクスゼウス社員一同『異議なし!!! Fooooooo!!!!』
主任X『クレーマーどもに”本当のボス”というやつを、”真実”を教えてやろうじゃないか? ねぇみんな?』
エクスゼウス社員一同『やって殺るDEATH!!!!』
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という感じで”ボスが弱い”というクレームを珍しく、素直に受け止めて”言われた通り強くしてあげた結果”がこれです。
つまり、ボスの特異個体は初期案、つまり『リアルハードモード』をクリアできる、もしくは挑戦したことがある人にしか倒せないのです。このゲーム自体アール個人をターゲットにした完全身内用ゲームを一般用に修正したものだからこの程度の設定はゴロゴロしてる。
ちなみに、特殊状態は初期ジョブである『魔法使い』『呪文使い』『神官』がパーティーにいるなら、最低でも7個以上は付与可能。初心者にも優しいね( ^_ゝ^)
エクスゼウス社員Ⅰ『怒ってないよ? ただ地獄を顕現させてあげるだけ( ^_ゝ^)』
エクスゼウス社員Ⅱ『怒らないよ? ただ初期案使うだけ( ^_ゝ^)』
エクスゼウス社員Ⅲ『ムカついてないよ? ”本当の”自家発電をするだけだよ( ^_ゝ^)』
エクスゼウス社員Ⅳ『キレテナイッスヨ? 自分無能らしいんで特別にご指摘してくれたみなさんの為に”個別シナリオ”作ってあげるっすよ?( ^_ゝ^)』
エクスゼウス社員Ⅴ『自分無能なんで今まで”見逃していた”チート行為が無いか”見直して”みますかね。アカBANしてゲームを良くしないとね?』
エクスゼウス社員Ⅵ『ええそうですとも。誰ひとり怒っていませんよ? 自分達がまともじゃないのは知っていますので、今更その程度のことでは怒りませんとも』
総員『ただし、彼(アールくん/剣聖)を馬鹿にしたことだけは絶対に許さん。この世の地獄と悪夢を現実に見せてやるから楽しんで逝ってね!!!』
その数日後、ゲーム内外にて涙を流すプレイヤーがいたとかいないとか・・・話を聞くと皆なぜか”覚えていない”と口を揃えて言っている。
他にも、アンチスレ民が劇的におとなしくなっていたらしい。イッタイナニガアッタンダ?
けど平和になったんだからイイコトダヨネ!!!
ただ共通しているのは、アンチ過激書き込みがとんでもない勢いで低下したことであった。




