情報戦
どうもはじめまして春と桜です。
初めての作品なのであたかかく見守って頂けたらなと思っています。よろしくお願いします。
路地をいくつか抜けた先でスクナが足を止めた。
「ここだ」
「ええとこやねぇ」
椿は扉を押した。
薄暗い店内。カウンターの奥で男が煙をふかしている。
「……客か?」
「そう見えます?」
「金は?」
椿は袋を軽く揺らした。
「話は値段次第だ」
「高いお話だけでよろしいわ。安い情報はいらへんのよ」
男の目が細くなる。
「……何が知りたい」
椿は銀貨を一枚、指先で転がした。
「この街、えらい綺麗やね」
「……だから?」
「綺麗なもんほど、よう棘が隠れてるもんや言いません?」
銀貨を滑らせる。
「お貴族様はどんなふうに暮らしてはるのやろか」
「……上は腐ってる。下は黙るしかねぇ」
「どんなふうに腐ってはるの?」
「気に入らなきゃ処分。見せしめもやる」
「へぇ、人は売れる?」
椿はもう一枚、置いた。
「……売れる」
「人も、やろ?」
男の口角がわずかに上がる。
「獣人は商品だ。壊しても文句は出ねぇ」
「壊す前提なんやねぇ」
「使い潰すのが普通だ」
「他にもいてはるの?」
「……は?」
椿は小さく首を傾げる。
「獣人以外」
男は一拍置いて低く言った。
「亜人もいる。数は少ねぇが同じだ。値は上がる」
「なるほど」
椿は笑う。
「この街、人の形してたらだいたい売れるんやね」
男は返さない。
椿はさらに一枚弾く。
「獣は?」
「捕まえて売る。珍しいほど高い」
「珍しいって?」
「……知らねぇのか?」
椿は肩をすくめる。
「……はて、なんのことやろ」
男がじっと見る。
「……種類がある。幻獣、聖獣、神獣」
「ふぅん」
「価値が違う。幻獣はまだ見つかる。聖獣は王族のもの。神獣は……出たら国が動く」
「手に入れたら?」
「世界を取れるって、本気で思ってる連中がいる」
椿はくすりと笑った。
「夢が大きいこと」
男は笑わない。
「……笑い事じゃねぇ。狩りもやってる。獣も、獣人も、区別はねぇ」
スクナの指がわずかに動いたが、椿は視線を落とさない。
「よう出来た仕組みやね」
「そういう街だ」
「あまり、好きやないわ」
さらりと落とす。
男の目が細くなる。
「……あんた、何者だ」
「ただの通りすがりやよ」
「通りすがりがここまで聞くか?」
椿は最後の一枚を置いた。
「必要な分だけで事足りるとおもいません?」
「…深入りしすぎた」
椿は一歩だけ近づく。
「……で?」
男の視線が揺れる。
「この街で一番長く生きてはるの、どなたやろか」
「……誰から聞いた」
「誰からも」
椿は微笑む。
「……俺だ」
「当たりやね。ええ買い物やったわ」
椿は満足げに言い、背を向けた。
「また来ても、よろしいやろか?」
「……金があるならな」
椿は静かに微笑んで店を後にした。
————
「……信用するな」
「してへんよ、使えるもんは使うだけ」
椿が袋を揺らすと硬貨が軽く鳴った。
「……減り早いね」
小さく笑う。
「そろそろ、狩りに行こか」
書き溜めはありますが、暫くは様子を見ながら1日1話から2話を目安に投稿しようと思っています!
お待たせしました。しばらく戦闘シーンが続きます。
本日は連続投稿です!20時更新です。
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