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いずれ最強の女、白い狛犬と獣人たちの味方をしていたら世界に喧嘩を売ることになりました  作者: 春と桜
第二章

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精霊に好まれし者

どうもはじめまして春と桜です。

初めての作品なのであたかかく見守って頂けたらなと思っています。よろしくお願いします。

「うち?」


「はい。訓練場へ」


椿は少しだけ首を傾げた。


「訓練って、もう始まるん?」


「この里では、食べる以上は働きます」


「厳しぃなぁ」


「当然です」


即答だった。


スクナが木剣を肩へ担ぐ。


「俺も行く」


「獣人は別です」


マフィが淡々と言った。


「あなたには戦士長が付きます」


「……は?」


「片腕であの動きなら、鍛える価値があるそうです」


スクナが眉をひそめる。


「勝手に決めんな」


「もう決まっています」


「おい」


「諦めてください」


真顔だった。


椿がくすっと笑う。


「マフィちゃん、案外強引やねぇ」


「効率を優先しているだけです」


「それを強引言うんよ」


マフィは軽く咳払いした。


「こちらです」



訓練場は森の奥にあった。


木々に囲まれた広い空間。

地面は踏み固められていて、無数の足跡が残っている。


弓の的。

木剣。

魔法の跡らしき焦げ。


ここが日常的に使われているのがすぐ分かった。


その中央に、里長が立っていた。


「おはようございます」


「おはようさん」


椿が軽く頭を下げる。


里長は静かに頷いた。


「体調は」


「だいぶ楽やよ」


「それは何よりです」


その時ふわり、と風が揺れてマフィの目がわずかに細くなった。


「……また」


「え?」


「精霊です」


椿の周囲で、小さな光が揺れていた。


火花みたいな赤。

淡い水色。

緑色の風。


様々な色が現れては消える。


「精霊?」


「今までまったく寄っていなかったのに、今日は集まり始めています」


椿は周囲を見回した。


確かに、小さな気配がある。

近くに来て、様子をうかがうみたいな軽い気配だった。


「……うち、なんもしとらへんのやけど」


「しかも、ここまで姿を見せるなんて」


椿が苦笑する。


精霊が、椿の感情に合わせるみたいに揺れていた。


「……っ」


「え、なに?」


「精霊が反応しています」


「そんな歓迎されるようなことした覚えないんやけど」


「普通は警戒されます」


里長の声は静かだった。


「ですが、あなたには自分から寄っていく」


「あなたの魔力に精霊が反応しているのかもしれません」


————



少し離れた場所では、乾いた音が森へ響いていた。


木剣がぶつかる重い音。


スクナが一歩踏み込む。

片腕とは思えない速さだった。

低く潜り込み、そのまま斜めに振り抜く。


「浅い」


戦士長の木剣が横から叩き込まれた。


「っ……!」


肩へ衝撃が走る。


スクナは舌打ちしながら距離を取った。


戦士長は銀髪を揺らしながら木剣を下ろす。


「お前は力任せだ」


「十分入っただろ」


「入っただけだ」


淡々と返る。


「お前は速い。反応も悪くない。だが、無駄が多すぎる」


スクナが眉をひそめる。


「無駄?」


「肩に力が入りすぎている。踏み込みも深い。だから次が遅れる」


「……ちっ」


「舌打ちしても改善はしない」


再び木剣が構えられる。


「来い」


スクナは地面を蹴った。



真正面からではない。半歩ずらして死角へ入る。低い姿勢のまま、一気に懐へ踏み込んだ。


だが戦士長は動かない。


木剣が上から落ちる。


スクナは咄嗟に受け流した。木が軋む音。衝撃が片腕へ走る。


その瞬間。

戦士長の足が動いた。


払われて重心が崩れる。


「っ!」


スクナの体が地面へ叩きつけられた。


土が舞う。


「……くそ」


「視野が狭い」


戦士長が見下ろす。


「お前は相手しか見ていない」


「戦ってんだから当然だろ」


「違う」


「地面、呼吸、癖、目線。全部を見ろ」


スクナは黙る。


戦士長は木剣を肩へ担いだ。


「獣人は感覚が鋭い種族だ。本来なら、もっと見えている」


その言葉に、スクナの目がわずかに細くなる。


「……耳も尾もねぇのにか」


空気が少し止まった。


遠くで見ていた若いエルフたちも、声を失う。


戦士長だけは表情を変えなかった。


「それでもだ」


静かな声だった。


「失ったなら、別の感覚を研げ」


スクナは何も返さない。


土を払い、ゆっくりと立ち上がる。



片腕で木剣を握り直した。


その目は、まだ死んでいなかった。


「……もう一度だ」


戦士長が小さく笑う。


「ようやくマシな目になったな」


次の瞬間。


再び木剣がぶつかる。


乾いた音が森へ響いた。




「ちゃんと面倒見てもろてるやん」


スクナが睨む。


「お前のせいで集中できねぇ」


「うちのせいにされても困るわぁ」


「実際そうだろ」


「照れてはる?」


「殺すぞ」


「こわぁ」


まったく怖がっていない。


その瞬間。


風が吹き荒れた。


スクナの髪が盛大に乱れる。


「……っぶ」


周囲の若いエルフたちが吹き出した。


マフィですら口元を押さえている。


椿が目をぱちぱちさせた。


「……あれ?」


里長が静かに言う。


「あなたの感情に精霊が引っ張られていますね」


「つまり?」


「あなた、今かなり楽しんでいます」


椿は少し考えてから、ふふっと笑った。




書き溜めはありますが、暫くは様子を見ながら1日1話から2話を目安に投稿しようと思っています!


明日も二回投稿です!朝9:00と夜20:00投稿です!


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