覚醒 「紅き焔 」
どうもはじめまして春と桜です。
初めての作品なのであたかかく見守って頂けたらなと思っています。よろしくお願いします。
背中の奥が焼けるように熱い。
紅い光が焔のように尻尾の形を結ぶ。
切られたはずの尾が揺らめきながら確かにそこにあった。
世界が遅く見える。
「悪くねぇ」
不敵に笑うその姿はゾッとするほど美しかった。
底知れない力が湧いてくるのを感じる。
スクナはゆっくりと敵に近づいた。
「は、速っ……くそッ、来るな!」
男が剣を振り下ろしてくるが先程までの鋭さを感じない。
剣筋が遅い。
地面を蹴って間合いを潰し、刃の内へ滑り込む。
折れた刃で軌道を外し、焔を拳に纏わせ叩き込んだ。男の体が爆ぜる。
「……ちっ、久しぶりで加減ミスったな」
スクナがゆっくりと振り返る。
その瞳には白い炎が灯っていた。
「くそッ!! 獣人風情が……人間様に逆らってんじゃねぇ!」
最後の敵が手を地面についた瞬間。
魔力の動きが「見えた」
足元が膨らみ土の槍がまとめて突き上がった。
数は多いが避けられないほどではない。
「魔法使いか。めんどくせぇ」
頬に冷たい粒が当たる、雨だ。
水を吸い込み土の動きが変わる。
男が舌打ちして距離を詰めてきた。
スクナはさらに踏み込んだ。
土が盛り上がるより先に懐へ入り鳩尾に拳を沈めた。顎に肘を叩き込み体が揺れる。
男はそれでも土から手を離さない。
地面に触れたまま歯を食いしばり耐えている。
「しつけぇな」
手首を掴み骨を強く握った。
「離せえぇぇ!」
「離すかよ」
スクナは男の腕を力強くひねった。魔法が途切れ土のうねりが止まる。
引き寄せて膝を叩き込む、体が落ち泥が跳ねた。
しかし男は諦めなかった。死に物狂いに地面を掻く。
雨でぬかるんだ土で足元が滑った。
「……ッッ‼︎」
体勢が崩れた瞬間に泥の塊が横から叩きつけられる。
避けきれない。
脇腹に当たり鈍い衝撃の後、血が一気に滲む。
「……っ、くそ」
歯を食いしばりながらも目を逸らさない。
滑る足場を押し返し一歩で詰めた。
折れた刃を逆手に持ち替えて手首へ叩き込む、骨が砕ける感触、腕が弾けるように外れ血が散る。
「――あぁッ!」
「大罪だぞ…!獣人が調子に乗るな!!」
スクナは聞く「耳」を持たない。
「 触るなぁ!!!汚ぇ……!」
必死な叫びだ。声が裏返っていた。
「伯爵様がお前なん…ッ!」
顎に拳を叩き込み男の体が浮く。
肩で押し倒して地面に叩きつけた。
雨が跳ね泥と血が混ざる。
「――ぁ゛……ッ!!」
終わらせる。
魔力で焔を纏わせた拳を顔面へ叩き込む。
血が弾けた。
男が静かになるのと同時に雨に濡れた焔がほどけていく。
脇腹からは絶え間なく血が滲み続けていた。
今はいい。それよりも
椿、コマ、それを見た瞬間力が抜けた。
膝が落ちそうになるのを踏みとどまる。
喉の奥で笑いが漏れ口の端が歪む。
忘れたい記憶が勝手に浮かんだ。
奪われ壊され続けた過去。
でも今は違う。
2人は生きている。
胸の奥がじわりと熱くなる、痛みとは違う、妙な感覚だった。
「…俺が守る」
震える足を無理やり動かし、再びコマを咥え椿を背負う。
数分もしないうちに血の匂いを嗅ぎつけた魔物が来るだろう。
歩みを止めたらもう自分は立っていられない。
雨が強くなり体温が奪われていくのを感じる。
それでもスクナは足を止めない。
守りたいものを守るために。
ついに覚醒ですね!本日活動報告にて、ちょこっと裏話更新します!
毎日20時更新です!
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