第8章 挟の挑戦と再びの共闘
商店街の夜風が心地よく吹くある夕方。
蛮鶴挟は、意を決して米の働く「グローバル・フード・カフェ」の前に立っていた。
「……入るしかないな」
深呼吸して店の扉を押すと、米の笑顔がぱっと目に入る。
「挟くん! どうしたの?」
「……話がある」
挟はぎこちなくも真剣に告げた。
*
バックヤードで、二人きりになった瞬間。
挟は手に抱えた箱を差し出す。
「これ……新作ハンバーガーだ。全部俺が考えた」
米は驚いた顔で箱を覗き込む。中には、色鮮やかで工夫の詰まったハンバーガーが並んでいた。
「……すごい。挟くん、こんなに頑張ったんだ」
「……俺は、お前と一緒にやりたい。ライバルじゃなくて、もう一度共闘したいんだ」
挟の目は真っ直ぐで、迷いはなかった。
米はその目をじっと見つめる。
胸の中で、迷いや不安が揺れる。
だが、次の瞬間、微笑みを浮かべて言った。
「……わかった。じゃあ、一緒に頑張ろう」
*
二人は再び、力を合わせることになった。
米は蓮の店での経験を活かし、接客や盛り付けをさらに洗練させる。
挟は自分のハンバーガーを改良し、二人のアイデアを融合させて「和洋ハイブリッドバーガー」を完成させた。
商店街のイベント当日。
二人の屋台は、以前よりさらに人々の注目を集める。
「幼なじみコンビ、最強!」
「どっちも食べたくなる~!」
行列に対応しながら、二人は自然と笑顔で声を掛け合う。
「こっちの具、ちょっと追加する?」
「うん、そっちのソースも入れよう」
忙しさの中で息がぴったり合う感覚――
幼い頃、秘密基地で遊んでいたあの頃の感覚を、二人は久しぶりに思い出していた。
*
夜。
祭りの後片付けを終えた二人は、商店街の中央に立ち、提灯の灯りを眺めた。
「……やっぱり、一緒にやると楽しいな」
挟の言葉に、米は小さく頷く。
「うん。私もそう思う」
遠くで花火が上がり、夜空に大きな光の花を咲かせる。
幼なじみ二人の関係は、ライバルとしての緊張も、三角関係の不安も越えて、再び強くつながっていた。
そして、二人の笑顔には、新たな未来への期待が溢れていた。




