第7章 米の決断と挟の試練
翌日、米は決意を胸に、自宅の暖簾をくぐり抜けた後、蓮の店「グローバル・フード・カフェ」に足を運んでいた。
「……挟くんには悪いけど、これも私の夢だから」
胸の奥で小さな緊張と期待が交錯する。
店内は白とウッドを基調にした洗練された空間。スタッフの動きはスムーズで、挨拶ひとつにも気を配っている。
蓮が迎えに現れ、にこやかに微笑む。
「さぁ、米。まずは基本の接客と盛り付けを覚えてもらうぞ」
初日は緊張で手が震え、箸やおにぎりの型が思うように扱えない。
「大丈夫か?」
蓮の優しい声が耳に届くが、米の胸の奥には、挟への思いがちらついていた。
*
一方、挟は店の厨房で悶々としていた。
「米、俺から離れちゃうのか……」
父親のアドバイスも、今日は耳に入らない。
「俺はハンバーガーだけじゃ駄目なんだ。もっと、俺にしかできないことを見せなきゃ」
挟は自分の腕に火を入れる覚悟を決め、夜遅くまで新作ハンバーガーの試作に没頭した。
汗と煙にまみれながら、心の中で何度も米の笑顔を思い出す。
*
数日後、商店街では再び人々の注目が集まっていた。
蓮の店に立つ米の姿は堂々としており、接客もテキパキ。
それを遠くから見守る挟の目は、複雑な光を帯びる。
(……俺も、負けてられない)
試作した新作バーガーを手に、挟は決意する。
「俺は、米と一緒にこの街で夢を叶えるんだ」
そして挟は、米に直接会って自分の気持ちと成果を示すことを決意する。
だが、その道は簡単ではない――
蓮という強力なライバルが立ちはだかり、二人の間の距離は日に日に広がっているのだから。
夜空の商店街に、屋台の灯りが揺れる。
米と挟――幼なじみの二人の試練は、まだ始まったばかりだった。




