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異世界人、高校生に  作者: 小説書こう


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2/10

ドッチボールすんの?

翌日


「来週のレクリエーションはドッジボールをやります」


担任の一言で教室がざわついた


「高校生になってドッジボールかよ……」


鋭二は呆れたように机へ突っ伏した


体育祭とか球技大会ならまだ分かる。

だがレクリエーションでドッジボール。

小学生じゃあるまいし。


「ドッジボールって何?」


隣からヴェルが興味津々に聞いてきた


「え、お前知らねえの?」


「聞いたことないな」


鋭二は簡単にルールを説明するとするとヴェルの目がみるみる輝いた。


「なるほど! ファイアーボールみたいに相手へ球を投げる競技なんだね!」


「全然違う」


「ファイアーボールの要領で投げればいいんでしょ?」


「だから違うって」


だがヴェルは完全にやる気だった


「楽しみだなあ」


――そしてレクリエーション当日

体育館にはクラス全員が集まっていた。

そして、試合開始の笛が鳴る。


開始直後に


「は?」


クラス中が固まった。

ヴェルの投げたボールが一直線に飛び、相手チーム三人の間を抜けて壁へ激突したのだ。

体育館に鈍い音が響く。


「おい今の何!?」


「速すぎだろ!!」


「プロ野球選手かよ!?」


ヴェルは首を傾げた。


「あれ? 捉えたつもりだったんだけど」


ヴェルはニヤける。その様子に鋭二は頭を抱えた。


(絶対抑えてねえだろ)


その後もヴェルは大暴れだった。

走るのも速い。避けるのも上手い。キャッチも完璧。まるでチートキャラだった。


「ヴェル! 後ろ!」


「任せて!」


軽々とキャッチしたヴェルが嬉しそうに笑う。その笑顔に、なぜか鋭二の胸が少しだけ高鳴った。


(……何だよ今の)


試合終盤。

鋭二は相手のボールを避けようとして足を滑らせた。


「あっ」


バランスを崩した身体が前へ倒れる。

目の前にいたのはヴェルだった。


「鋭二!?」


ドサッ!!


二人まとめて床へ転がる。気付けば鋭二はヴェルを押し倒す形になっていた。静まり返る体育館。


「…………」


「…………」


近い。


近すぎる。


赤い髪が頬に触れていた。

ヴェルの整った顔がすぐ目の前にある。


長い睫毛


透き通るようなひとみ。


少し開いた唇に鋭二の心臓が跳ねた。


「お、おい……」


ヴェルも珍しく固まっていた。互いの吐息がかかるほど近い。


数秒。いや、一瞬だったのかもしれない。


だが鋭二には妙に長く感じられた。


「鋭二」


「な、なんだよ」


「顔、赤い」


「うるせぇ!!」


慌てて飛び退く。

周囲から爆笑が起きた。


「おおー!!」


「青春してるー!!」


「イチャついてんじゃねえぞー!」


「違う!!」


鋭二が叫ぶ。しかしヴェルは床に座ったまま楽しそうに笑っていた。


「鋭二が無事でよかった」


その言葉に。


鋭二はさらに顔が熱くなるのを感じた。


(こいつ絶対天然だろ……)


天然じゃなかったら困る。


そう思うのに……


帰り道で隣を歩くヴェルの横顔が妙に気になって仕方なかった。

そしてヴェルもまた、鋭二が転んできた時のことを思い出していた。


胸の奥が少しだけ温かい。異世界にはなかった感覚だった。


「鋭二」


「ん?」


「また一緒に遊ぼうね」


そう言って笑うヴェルに。鋭二は少し照れながら答えた。


「……まあ、暇だったらな」


その返事を聞いたヴェルは嬉しそうに微笑む。


二人はまだ気付いていなかった。この感情が、ただの友情ではないことに。

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