閑話③ 至近距離の間接キス ~リンカ視点~
レストランでのリンカの行動…それは終わったかに見えたが…?
セイドウの宿屋の一室。
窓の外はすっかり帳が下り、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。
テーブルの上には、宿屋のルームサービスの特製ケーキが置かれていた。
それを食べるため、アロンが椅子に腰を下ろした瞬間……
私は音もなくその膝の上へと滑り込んだ。
「……リンカ、お前。なにをやってるんだ?」
「椅子を持ってくるのが面倒だったんだ。ここに座るのが一番効率がいい……文句があるか?」
「いや、別にないが……お前がそう言うなら、まあいいだろう」
呆気なく許可が出る……相変わらず、私の行動原理を疑わない男だ。
レストランではあの女────ミカのせいで台無しになったが、今は二人きり。
私は右手でフォークを手に取った。
「ほれ、口を開けろ……あーん」
左腕をアロンの首に回し、バランスを取るという名目でしっかりと引き寄せる。
身体を捻ってアロンの方を向く際、わざとらしく、それでいて自然に、自慢の胸をアロンに押し付けた。
「……ん、あーん」
アロンは疑いもせず、差し出されたケーキを一口で食べた。
「どうだ?」
「あぁ、中々美味いな」
返ってきたのは、純粋なケーキの感想だけ。
あれだけ密着し、体温を感じさせているというのに、こいつの脳内はどうなっているんだ。
やはり、これくらいでは動じないか…
少しだけムッとした私は、次の作戦に移ることにした。
「……今度は、お前が食べさせてくれ……ほら」
私はそう告げると、アロンの目の前でゆっくりと口を開いた。
ただ待つのではない…紅を差したかのような舌先を、艶めかしく、誘うように動かしてみせる。
「お前のフォークはどうした?」
「……あいにく、一本しか持ってきていないんだ。私はこれで構わないぞ」
そう言ってアロンにフォークを預け、私はアロンの正面に向き直った。両腕をその首に回し、逃げ場を塞ぐようにがっちりとホールドする。
だが、アロンは相変わらずの無表情でケーキを一口サイズに切り分け、私の口元へと運んできた。
「ほら、食え」
「いただこう」
私はケーキを受け取ると同時に、確信犯的にそのフォークを舌先で艶めかしく舐めとった。
金属の冷たさと、アロンが先ほどまで使っていたという背徳感。
じっと熱い視線を送り、アロンの反応を待つ……
流石の変物でも、今の行為の意味くらいは理解するはずだ。
「リンカ……お前……」
重々しく開かれたアロンの口。私は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、その言葉を待った。
「……ふふふ。なんだ?」
やっと、その気になったか────?
「フォークを舐める行為は『卑しい』『品がない』とされる典型的なNG行動だから、辞めておいた方がいいぞ? マナーとして」
……絶句。
顔が引きつるのが自分でも分かった。
羞恥よりも先に、この男の情緒の欠落っぷりに、一周回って眩暈すら覚える。
ああ、そうだった…これがアロンという男だった…
私が内心で毒づいた、その直後。
「いや、よくよく考えたら、この態勢でマナーもクソもないな……なら、俺も一度やってみるか」
「……は? 何言って――」
言葉が続く前に、アロンは自分の口にケーキを運んだ、そして………
私と同じように、いや、それ以上に無造作に。
私の唾液が残っているはずの、そのフォークを。
アロンは、ゆっくりと舐めとった。
「……ん。……うん、悪くないな」
「な、……なな……お、お、お、お前っ!!!」
さっき自分がやった行為…
しかし、それをこの至近距離で、あんなに淡々と、当たり前のように返されるなんて。
一気に顔から火が出た…心臓がうるさすぎて、もうこの場に留まっていられない。
私は弾かれたようにアロンの膝から飛び降りると、そのままベッドへダイブした。
「もう寝る! 話しかけるな!」
布団を頭から被り、猛烈に熱い顔を隠す。
暗闇の中で、自分の鼓動だけが、さっきの金属の触感と共に激しく響き続けていた。
リンカさんに聞く、『教えて?リンカさんコーナー』!!!
このコーナーではリンカさんが疑問質問になんでも答えてくれるぞ!!
リンカ「まかせろ」
ではさっそく1つ目の疑問『ぶっちゃけアロンさんのことどう思ってる?』
リンカ「好きだが?勿論LOVEの意味でだ」
ほうほう!!2つ目の疑問『それは付き合いたいってこと?』
リンカ「?それ以外の意味が?」
なるほどなるほど!!!では3つ目『付き合ったら具体的に何したいの?』
リンカ「何したいか…中々難しい質問だな…キスとヤることは当たり前として…うーん?」
あ、当たり前なんですね…それ以外は?デートしたい!とか?
リンカ「デートとかは今もやってるぞ…私とアロンは基本的に四六時中離れないからな」
は、離れないって…?
リンカ「おい勘違いするなよ?流石にトイレの中までは数回だけだ」
ご、ごめんなさい!(数回…?)え?じゃあ…お風呂は?
リンカ「風呂か…週に5回は一緒に入ってるな」
ね、寝るときは?
リンカ「同じベッドで寝てるに決まってるだろう?」
……ほんとに付き合ってないんですか?
リンカ「なんだその目は…これくらい普通だ」
…ということで、第一回『教えて?リンカさんコーナー』は終わりです。
リンカ「おい、何で急に締めた?」
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