第17話 俺が優秀なのだから、有能な仲間など不必要
ついに明らかになるアロン独特な感性…
その実態とは……?
言うならば、タイトル回収
「お前は優秀な人間か?」
「……はい?」
ミカの目が瞬く。
が、アロンは続ける。
「他人にはない素晴らしい力を持ってるとか、実力を隠してるとか、本当は強いとか……あるか、ないかを聞いてる」
「え……え?」
ミカの口が半開きのまま止まる。
頭の中がフリーズする。
何を聞かれているのか。
なぜそんなことを聞かれるのか。
まったく理解できない。
だが、アロンの顔は真剣そのものだった。
「要するにコイツは目立ちたがりなんだよ。自分より弱い奴を雇って悦に浸りたいって話だ」
リンカがスプーンを皿に置きながら、さらりと告げる。
「言いがかりはやめろ。俺はそんな低俗でクズな考えはしていない」
アロンが即座に反論するが、リンカは眉ひとつ動かさない。
「では、どんな考えだと言うんだ?」
「お前には何度も説明していると思うが?」
「悪いな。お前の発作は聞いていないんだ」
その一言に、アロンの肩がわずかに落ちる。
ダメージは受けた。だが、すぐに立ち直る。
「………では、お前が覚えるまで何度でも言ってやろう。君も心して聞くが良い」
アロンは姿勢を正し、ミカに向き直る。
その瞬間、リンカがミカの耳元に顔を寄せる。
「これからこいつの話す内容は、まぁ発作だ。聞き流せ」
ミカの目が大きく見開かれる。
アロンはそれに気付かない。
「自分が優秀すぎて怖いと思ったことはないか?」
アロンが真顔で問いかける。
「無いな。私より弱い奴など赤ん坊くらいだ」
リンカの即答に、アロンは一瞬だけ黙る。
「…………同時にこうも考えたことはないか?」
「……?」
「パーティーを組んでダンジョンに挑む連中に対して───『それはリーダーの実力か、仲間の実力か、よく分からない』と」
リンカは少しだけ考えたふりをして、すぐに答える。
「しかし……赤ん坊と比べれば、確かにお前の言う通りかもしれんな。私は優秀すぎて怖いと」
アロンは頷きながら、語りを続ける…リンカの言葉を無視して…
「そんな日々を送っていた時、ついにある考えに辿り着いたんだ」
「赤ん坊相手なら負ける気がしない」
アロンの語りに、容赦なく割って入るリンカ。
その言葉に、アロンの口が止まる…流石に集中ができないようだ。
「……悪い、少し話を中断する」
アロンはミカに軽く頭を下げると、視線をリンカへ向ける。
「さっきからその悲しい話をやめろ」
「なんだ?私は本当のことしか言ってないぞ」
「やめろ……俺が悲しくなる」
リンカは肩をすくめ、スプーンを皿に置いた。
「分かった。茶化して悪かった。もう何も言わんから、続きを話してやれ」
「あぁ」
リンカの言葉に背中を押されるように、アロンは話を再開した。
「……あー、どこまで話した?」
「“ある考えに辿り着いた”ところからだ」
「そうだ。俺は辿り着いたのだ……
『俺が優秀なのだから、有能な仲間など不必要』という考えに」
「は、はぁ……」
ミカの返事は、完全に思考が追いついていない音だった。
アロンは気にせず、語り続ける。
「優秀な仲間といても、俺が優秀とは思われない。無能、無個性、凡人、etc……そういった人材を採用し、勝利する事で俺自身が優秀である事実が絶対的なモノとなるのだ」
ミカはしばらくフリーズしていた。
目を瞬かせ、口を開けたまま固まっていたが、ようやく言葉が出る。
「え、えーと……つまり、アロンさんは優秀で強い人じゃなくて、弱い人を仲間にしたいってことですか?」
「まぁ……端的に言うと、そんな感じだ」
「は、はぁ…………」
ミカの返事は、もはや感想ではなく“確認”だった。
「だから言ったろ?コイツの話は聞き流して構わないんだ」
リンカは、アロンが語っている間に運ばれてきたデザートをスプーンで掬いながら、さらりとそう言った。
その口元には、ほんの少しだけ笑みが浮かんでいた。
「……で、どうなんだ?君は優秀なのか?」
アロンが静かに問いかける。
その声には、冗談のようでいて、どこか真剣な響きがあった。
「い、いえ!私はそんな、優秀とか強い力とか持ってません!」
ミカは慌てて首を振り、両手を軽く振って否定する。
その反応に、アロンは少しだけ目を細めた。
「ほーう……じゃあ、君が得意とする魔法は?」
その問いに、ミカは一瞬だけ戸惑う。
だが、すぐに表情を整え、口を開いた。
「私の得意魔法ですか……そうですね……」
言葉を選ぶように、少し間を置いてから続ける。
「私、実は占い師なんです。だから……『心理魔法』が得意ですね」
「ほう、心理魔法か。珍しいな」
アロンの声に、わずかな興味が混じる。
「少しやって見せてくれないか?」
「は、はい!」
ミカは立ち上がりかけたが、すぐに落ち着いて座り直す。
そして、視線をリンカに向ける。
リンカはスプーンを口元に運びながら、目だけでミカを見た。
「私になのか……」
少し呆れたように眉を上げるが、拒否はしない。
その態度は、試されることに慣れている者のそれだった。
ミカは深く息を吸い、目を閉じる。
指先をリンカに向け、静かに手をかざす。
空気が、わずかに張り詰めた。
数瞬の沈黙────
そして、ミカの口が動く。
「なるほど、なるほど……リンカさん。あなた、昼頃にアロンさんのチェロス食べてますね」
リンカの手が止まる。
そして、口元にわずかな笑みが浮かぶ。
「ほぉ……当たってるじゃないか」
アロンが目を丸くする。
「心を読み取ったか……流石は占い師ってところか」
リンカはスプーンを皿に戻しながら、ミカに向き直る。
「なかなか面白いじゃないか。どうする、仲間に入れるか?」
その問いはアロンに向けられたものだったが───リンカの目には、すでに答えが見えていた。
アロンは軽く笑い、ミカに視線を向ける。
「魔法で俺の考えを読んでみろ。それが答えだ」
「は、はい……」
ミカは再び目を閉じる。
今度は、アロンの心へと意識を向けた。
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