事件です!ホタルがキャラ崩壊しました!
「疲れた~っていった!!」
どうも、谷崎ホタルです!今日は実況風でお伝えしていこうと思いマッスル!
現在地球の日本時刻1月14日午後9時半かな?正確な時計を持ち合わせていないため、体内時計表示です!
ちょっとリスナーの皆さん聞いてくださいよ!現在私、谷崎ホタルがどこにいると思いますか?
シンキングタイムは0.5秒!
はい、終了です!!正解は…
「もへじぃ~」
牛と羊の混合種と思われる謎の動物の飼育小屋です!私の頭には現在進行形でうしじの涎が垂れております!あ、名前は今この場でつけました!
「ってくっさいんだってば!!!」
本当に臭い。頭の上から磯の匂いがぷう~んってするんだよ?そりゃ臭いってば。
私は足元にあるなけなしの藁をつかんだ。一体全体、どうしてこんなことになっちゃったんだろう。お昼ぐらいまでは、順調だったのにな~。
どうか推しよ、私のことを見捨てずに助けてください。この地獄のような小屋から。
「もへじぃ~」
*
時を巻き戻して、およそ午前9時半のこと。
「ツァウバー学校⁉何それ!聞いたことないんだけど!」
怒り狂ってる私を目の前にしても一切表情を変えない日野桜。なんだこいつ、肝が据わってやがる。
「やっぱり?ちょっと特殊な学校なんだよね~」
「特殊ならなおさらでしょ!」
私は漫才でもしてるのか!なんでツッコミをしてるんだよ。
「ここは、本当にすこ~し変わった学校でね。あんまり、世の中にばれちゃいけないような学校なんだ~」
日野桜は学校があるだろう方向に向かって歩き出した。
あるだろう?そう、そうなのだ。柵を通り過ぎたからおそらくここは学校の敷地内のだろうけど。霧が立ち込めていてよく先が見えなくなってるんだ。
「ふ~ん。それじゃあ、尚更私って来ちゃダメなんじゃないの?」
「ねえ、お腹すいた!なんか持ってない?」
コイツ、話を急にすり替えやがったな。
「持ってるわけないじゃん。持ってきてって言われたものだけでキャパオーバーなんだから。」
人の苦労も知らずにっ!
どのくらい歩いたんだろう。とりあえず、五分くらいってことにしておこう。歩き続けたら、とにかく大きな学校が見えてきた。なんかいっぱい生徒がいたけども、部外者である私達に気を留めて訝しむ人は誰一人としていなかった。というか、怪しまれたのではなく深くお辞儀をされた。私はめちゃくちゃびっくりしたけども、私を巻き込んだ日野桜はどこ吹く風といった顔だった。
下駄箱を通った時には、さすがに私も日野桜に声をかけた。ここでスニーカーは脱いでいった方がいいんじゃないか。けども、日野桜は
「別にいいんだよ。あたしがいるからね。顔パスで通れちゃうの。」
よくわからない言語でしゃべってたと思う。多分。少なくとも私の頭はその言葉を解析できなかった。
そこからは、よくわからない日野桜の話を永遠に聞き続けていた。そうしてたどり着いたのは
「じゃじゃーん!校長室」
「いや、明らかに違うよね?図書室って書いてあるよ。」
日野桜曰く校長室に着いた。もう訳が分からん。とりあえずその部屋に入った。
扉を閉めた瞬間、よくわからないけど、グルんって回った。図書室だなって思ってたら、目の前に校長室が表れていた。私の足りない理解力を文章力で補うとこうなるのだろうか。日野桜は驚きもせず、普通に入口に近づき、普通にノック(・・・)も(・)せず(・・)に(・)扉を開けた。
「やほ~、じじい先生!」
じじい先生⁉な、なんてことを・・・。こ、校長先生なんだよね?あと、日野桜、あんたこの謎の学校に何も関係がないでしょうに・・・。何でそんな軽々しく・・・。
「お~、サクラ。元気のようじゃの~。」
こ、校長先生⁉あなた、そんな扱いでいいの⁉しかも、なんか仲がよさそう。日野桜が甘えだすし。
「し、失礼します。あの、日野桜に連れられて来t。」
「あ~、この子谷崎ホタルっていうの!じじい先生、人手不足って言ってたから連れてきたの!3日間しか働かないけど、こき使ってやって。」
おい。こき使ってやってか。はー。呆れて何も出てこないんだけど。
「ふにゃ?そんなこと、わしいってたっけ?」
ふにゃ?かわいいね。その可愛さが日野桜にあったらいいのに。
「言ってたよ!も~、ボケ始まってんの?」
もうちょっと優しくしてあげて、敬老の精神も持って。あ、あと友人を思いやる心も。
ふにゃふにゃ校長先生がしていると、急にしゃきっとした!きっと本領発揮なんだね!
「お~、きみが谷崎ホタルか。サクラから聞いておったぞ。」
「じじい先生、私今初めてホタルを紹介してるよ?」
えっえ?ちょっと、滑っちゃうんだけど。
「何はともかく、ツァウバー学校へようこそ!わしは、君を歓迎するぞ!まずは、寮についてだが・・・ありゃ?」
ちょっと、嫌な気がする。
「寮の部屋がいっぱいのようじゃな・・・」
「じじい先生・・・」
ほら、日野桜もしょげちゃってるじゃん。
「しょうがにゃい、きみはこの飼育小屋に泊まってもらおう。」
「はぁぁぁぁぁ⁉」
やば、声出しちゃった。
「お~、うれしそうじゃな。飼育小屋でたくさんのかわいい動物に癒されるんじゃよ。」
もしかして、校長先生感性バグってる?
「まずは、この学校に生い茂っている雑草を抜いてきてほしいの~。」
ということで、私は昼食抜きで労働時間約十二時間を終え、仕方なく飼育小屋に向かった。マジで疲れた。雑草抜きくらい学校でなんとかしてほしい。流石に地べたで眠るのだけは避けたかったから、藁を集めたけども、ちょっぴりだし、痛い。そして、現在に至るのである。
ゴロンと寝転がった私にとてつもない疲労感が襲ってくる。本当に疲れた。そういえば、日野桜はどこに行ったんだよ。私が雑草抜きをしようと思って校長室から出た時に別れちゃったからな~。
何にも情報がない。
まずいったいここはどこなのか。
どんな学校で、なぜ世の中にバレてはいけないのか。
日野桜はここの校長先生と面識があるようだけども、何者なのか。謎にここの生徒にお辞儀をされるが、それは日野桜がいる時のみ。
あいつは、一体何なんだ。何者なんだ。わからない。何もできない。
でも、これはチャンスなんじゃないか。私は、実は日野桜に興味があったもののあまり話せていなかった。
きのりんの事件の時だって、私は日野桜の言動に好奇心がくすぐられた。あの時日野桜が言っていたことは、初めて私と会話した時と似ている。
『あなた、ロクでもない死に方するね。』
『きのりんのお母さん、大丈夫?病気っぽいけど。』
『だって、もう少しで死んじゃいそうに見えたから。』
まるで未来が見えるような言い方。それも死に関するもの。どういうことなのか。
私はこの時、確かに日野桜への興味があったと思う。しかし、これは全く純粋に仲良くしたいという気持ちではなかった。
人の中身を覗き込みたい。
その人の内側にあるものを知りたい。
どうして日野桜がそんな行動をするのか知りたい。
そう、私は悪気はないのだが悪意が含んでいるように見える興味が彼女にあった。
だからこそ、この後に、私は彼女に罪深きことをしてしまったんだと思う。
とにもかくにも、私はこのまま寝落ちしてしまい、次の日の朝には全身から磯の匂いがぷんぷんと放たれながら、藁の痛みや地面の硬さにイラついていた。
私は、今日も人権がないような過酷な仕事をあの頼りなく見えるおじいちゃん先生に頼まれて行うのだろうか。
日野桜は一体どこで何を行っているのだろうか。
やっぱり、目の前には地獄しかない私に救世主が現れたのはこの日からだった。
「サクラに言われてきたコンパーニュ・セヴェールよ。さっさと起きて、仕度しなさい。さっそく捜査に取り掛かってもらうわよ。」
「え?」




