第一話 狩人のご注文-④
「――――――そうだっ!!!! これならアレの要領で……いける!!!!!!!!」
★☆★
一夜明け、俺はお客さんに昨夜思いついた案について説明するために、彼を店に呼んだ。
「うわぁ!? さすが経験者は考えるのもお早いっ!!! それで、どのような魔道具なんでしょうか!?」
まだ魔道具が完成したわけでもないのにも関わらず、興奮した様子でそう話す狩人を見ながら、俺は昨夜思いついた魔道具を説明する。
「お客さんの要望の魔道具ですが……雷魔法によって槌を動かし、箱の中の骨を一気にすり潰して骨粉にする、というものでどうでしょうか?」
「すり潰して……骨粉に?」
「ほう……?」
そうして俺が提案すると、ベクターさんとお客さんが同時に唸った。
俺が提案したものは―――半自動的に骨を粉砕する、雷の魔道具だ。
かつての自分の経験と、先日に見た豆を潰す魔道具を掛け合わせ、突起一つで鉢に入れた骨を一気に磨り潰すことが出来るというもの。
これならば、力も必要なく、簡単に大量の骨を処理できる……!
やがて、ベクターさんが口を開き、狩人も続く。
「ウム……確かに発想は悪くはないのじゃが……これでは生まれた骨粉はどうするのじゃ? これを消すのなら別の魔道具が必要ではないかのう?」
「確かに……。森が骨粉まみれになるのはちょっと……」
それは、当然の疑問だろう。
だけど、それに対する答えを俺は―――すでに持っている。
「えぇ、ですので、その骨粉は―――森の肥料にするんです」
「「……肥料……?」」
俺の答えに二人の声が揃うが、すぐに狩人はその理由に気が付いてハッと顔を上げた。
「っ、そういえば、骨はすり潰せば肥料の代わりになるとどこかで聞いたことがあります……! 試したことはありませんが……まさか、店員さんはそこまで考えて!?」
「……はい。以前、同じようなことをした際、少し遅れてですが、周囲の森が元気になったと報せを受けたことがあります。……これならば、大量の骨を処理しつつ、時間はかかりますが、森の成長にも貢献できると思うんですが……」
そう言って俺は不安そうな表情のままベクターさんの顔を見る。
初めての依頼に対する、自らの案。
ベクターさんのような熟達の魔道具師から見て、幼稚なものに見えないだろうか?
そんな不安を抱えた俺の視線に対し……しかし彼は口元を吊り上げ、狩人のお客さんに視線を向けるよう示す。
「……お主の客は誰じゃ? ワシか?」
「……!」
その言葉に俺はハッとして、再びお客さんの顔を見て……深い息を吐いた。
そして、一拍置いたのち……俺は、彼に。
お客さんに向かって問いかける。
「……こちらでどうでしょうか?」
彼はそう聞かれるや、すぐに顔を上げる。
その顔には――――。
「もちろん!! これでお願いします!!!!」
その笑顔に、俺もまた、笑顔を浮かべた。
「―――はい!!!!」
――――それからは、あっという間に時が過ぎていった。
お客さんから許可を得た俺は、すぐに設計図を製図する。
そうして完成した設計図は……ベクターさん御用達の魔道具製作職人の元に送られていった。
魔道具を本人で作る場所もあるらしいが、どうやらベクターさんはお抱えの職人に誇りを持っているようで、彼に必ず作らせるようにしているのだという。
……製作も少し楽しみだったが……それは仕方ない。
かくして、職人に設計図が渡った後は特に俺もやることはなく、新規のお客さんも来ることはなかったのだが、設計図を描く練習や、新規の魔道具を知ることなど学ぶことは多く……。
気が付けば、ついにその日が訪れていた――――。
更新は"不定期"【AM1時】更新予定ですが、プロローグ、第一話終了までは"毎日"投稿いたしますので、ぜひ、気になった方は読んでみてください!




