第二話 美食家のご注文-⑩
「おめぇ、ルークんどごのパーデェだっだんだか!?」
「はい! ……って、まぁ……もう追い出されちゃいましたけどね」
―――あれから生の魔物を数体抱えたホッグスさんが再び店に来て、諸々の地獄が終わった後。
僕らは未だに熱が残る鉄の板を囲みながら談話していた。
ホッグス=ノミコン。
元王都守護隊の一人にして、今では『変食家』の異名を持つ美食家をしているという人物。
『変食家』という異名についてはその名が示す通り、"魔物食"にハマる以前から、普通ではない食材を使った料理を好んで食していたことに由来するものらしいけど……まさか、彼もルークさんと同じく、元王都守護隊だったとは、思いもしなかった。
「そうがぁ~……いやぁ、しっがしよぉ? あんの生真面目ルークが守護隊を辞めるっで聞いだ時ぁ、オデ、相当驚いたんだで!? ほんで話を聞いだら、冒険者やるっで言うっぢゅうもんでよ!!」
「へぇ~!! ホッグスさんはルークさんとは結構仲が良かったんですか?」
俺がホッグスさんに詰め寄ると、なぜか隣にいた師匠が湯呑を傾けながら、どこか楽しげに口を挟んだ。
「ほっほっほ、ルーク殿とホッグス殿は昔っからよく力比べをしとったぐらいじゃからのう? それはもう―――」
「……??? えっ……??? 師匠、なんで知ってるんですか?????」
……え、いや、本当になんで???
「っ……ほっ……ほっ……って、ホッグス殿が以前、そう言ってたのを聞いたんじゃよなぁ……。……のう?」
「え? いや、オデはそんなごど―――」
「――のぅ……? お主が、そう、言ったんじゃったよなァ……?」
「うぇ!?? あっ、あ~~~!! そうだべ!! いやぁ~いっげねぇ、オデもすっがり忘れっぼぐでよぉ!」
……?? なんでホッグスさんはそんなに慌ててるんだろう???
師匠も年だろうし、忘れ物の一つや二つはあるだろうに……。
――ってそれよりも!
「力比べ……って、ルークさんってどれぐらいすごかったんですか?」
「ん?? おめぇ、ルークんどごに居だのに知らんだか? ……あぁいや、ルークのこどだがらきっと言わんがったんだかなぁ……」
「……???」
俺が首を傾げると、ホッグスさんは腕を組みながら、顎に手を当てて、懐かしい思い出を思い出すように語りだした。
「ルークはよぉ……王都守護隊の中でも、隊長を除いて一位、二位を争うほどの実力者だでな? ……んだもんで、ルークが辞めるって言っだ時はみなして止めだんだよ。……なんにせよ、守護隊を辞めるほどに魅力的な何かがあったんだかなぁ……?」
その言葉に、俺はクッ、と喉に息が詰まったような感覚を覚えた。
(……? なんだろう、この感情は……?)
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