第二話 美食家のご注文-⑥
「ほっほっほ、お主は見るのは初めてかの? 実はこれは"珍味"というものでな? 魔物を調理して食べるという、"魔物食"なんじゃ!」
「ま、魔物食~~!?」
「そうじゃ。して、ここに居るホッグス殿は、大の魔物食好きの美食家でのぅ? ……こうして年に一回、新たな魔物食を探求するために、ワシらに調理魔道具の製作を依頼しに来ている、ということなんじゃよ」
魔物食好きの美食家……?
って、あぁそっか! だから、ベクターさんはこの人のことを"特殊な人"って言ってたのか!!
「うんだ! 魔物食っづうのは、おぐがふがぐてなぁ? まっ、とにがぐ食っでみればわがるだよ! ほで!」
そう言ってホッグスさんは、ヌメヌメした手で鉄板の上のヌメロウを鷲掴みにすると、最早どちらのヌメヌメかわからない液体を床に零しながら俺に差し出してきた。
「え、と……」
……しかし俺もまた成長する生き物だ。
かつてした失敗はせず、苦い経験を糧に、より良い結果を求めるその精神こそが、魔物に屈することなく人類がここまで繁栄してきた理由!
―――だから!
「あっ、俺、こっちのプニカスの方もらってもいいですか?」
そうして俺は、差し出されたヌメロウをすり抜け、鉄板においてあるプニカスを取ろうとして―――。
「あぁ! いげねぇ! この状態のプニカスは専用のタレをかげねぇとすぐ魔素化しちまうでよ!!!」
―――ホッグスがすぐさま近くにあった液体を、プニカスへとかける。
……当然、彼のもかかる。
専用のタレと、ヨ"ダレ"に塗れたプニカスは、どことなく恨めしそうな目でこちらを見上げているような気がしなくもない。
……ごめんて。
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