第二話 美食家のご注文-⑤
目を開けると、魔道具店内の奥にあるいつもの小部屋に俺はいた。
どうして横になったのかの記憶は……もうない。
何と言おうが、ない。
……。
って、そんなことより!
「やっばい!! 普通に仕事中寝てんじゃん!? 早く起きないと―――!」
そうして俺は急いで立ち上がろうとして、ふと気づく。
「……ん? なんだこの匂い……?」
部屋の外から何やら不思議な匂いが漂っている。
まるで肉を焼いたような、それでいてどこか刺激的な香り……?
でも……この部屋の外って店内だよな????
なんで店内からこんな匂いが……???
俺はその匂いのもとを確かめるため、すぐさま立ち上がって小部屋の扉を開け、店内へと向かう。
すると―――。
「おや? ようやく目覚めたかの? ほれ、こっちに来てお主も食べてみるとよいぞ?」
「うんだ! お弟子ざんもぜっがぐの機会だべ! こっぢに来るべ!」
そこは、いつもの魔道具店の内装とは違い、壁の方に机が追いやられ、中央には今朝買ったであろう鉄の板が広がり、ベクターさんとホッグスさん……? の二人が、それを囲んでいるという異様な空間だった。
しかし、俺が何より驚いたのは―――。
「食べるって何を……って、え、えぇええええええっ!?!!?」
俺の視線が二人が囲む鉄の板に向いたとき、ソレは居た。
「こっ、これって、プニカスとヌメロウじゃないですか!?!? なんで魔物がこんなところにいるんですか!? っていうか、この状態、生きてるじゃないですか―――!?」
彼らが囲む中央の鉄の板。
その上を見てみると、そこにはなんと魔物であるプニカスとヌメロウが無残にも横たわっていたのだ。
魔物がこんな町中にいるというだけでも驚きなのに、さらに驚くべきなのはソレらの状態。
通常、魔物は生命が尽きた途端に魔素となって、周囲の空気へと溶け込むように肉体の全てが消えてしまう。
だから、彼らがいくら死んだふりをしようとも、その姿形が存在しているのならそれは生きているということであり。
……ゆえに、この鉄板の上にいるという時点でこいつらは生きているということを示しているのだ―――って、いや、これどういう状況!?
「ほっほっほ、お主は見るのは初めてかの? 実はこれは"珍味"というものでな? 魔物を調理して食べるという、"魔物食"なんじゃ!」
「ま、魔物食~~!?」
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