第二話 美食家のご注文-③
特殊な人。
それはつまり一般的な行動や姿からかけ離れている人だということを示すわけだけど、その人は俺が知らないだけで実は魔物の血を引いた半人半魔のような存在だったり、もしくは人間に擬態した魔物の可能性もあるってことで、でも師匠は毎年来るって言ってたから恐らく信頼は出来るような人物だから、特殊って言ったってそこまで変わった存在ではないかもしれないけど、それでも注意しておくに越したことはなくて、とはいえ以前に俺たちが出会ったような、友好型から急に豹変して襲い掛かってくる信用裏切り型の魔物の可能性も考慮しないといけないから、常に魔法は起動できるように用心して……。
「……? お主、何をそんな難しい顔をしておるんじゃ……? ほれ、ついたぞい?」
――――などと色々考えている内に、俺たちは割とすぐにいつもの見慣れた魔道具店へとたどり着いた。
……だけど、俺たちの目の前に現れたのはいつも見慣れた魔道具店ではなく……異変だった。
「……? あれ、って……?」
ふと視線を店の入り口の前に向けると、そこには、存在感、という言葉を体現するかのような巨体が立ち塞がっていた。
横幅だけでもかなりの大きさがあり、縦も含めたその大きさはまるで、以前俺が初めて納入した依頼品を彷彿とさせるほど。
そんな特殊な人が……って、いや待て、特殊な人!?
「っ、あっ!! あの人が例の人……、ん? えっ、あれ、人か????」
しかし、見れば見るほどその巨体は人というより魔獣に近く。
単に魔道具店を襲いに来た魔物なのではないか? と俺が訝しみながら魔法を唱えるか迷っていると、遅れて彼を見つけた師匠が、その巨体に向けて穏やかに声をかけた。
「おぉ、ホッグス殿! もう来てたのかね? 来るのは明日ではなかったかね?」
すると、その声に気づいた巨体の男が、こちらへゆっくりと振り返る。
やがて、師匠の顔を見るやぱっと顔を輝かせると、そのままの勢いでドタドタと駆け寄ってきて――って、うわぁあああ!?
「地面が揺れるぅ!!!?」
なんだあの大きさは!?
山がっ!? 山が迫ってくるぅううう!?
などと……彼が一歩踏みしめるごとに足元からガタガタと大地が揺れる状況に俺が驚いているが、しかしそれを意に介さぬ男性はそのまま師匠のもとへと到達し、息を弾ませながら口を開いた。
「はぁっ、はぁっ……っ! うんだ、ベクダーさん!!! おらんかど思っだど~~~!! どごいっどっだだが~~~???」
―――!?
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