おっさん×幼女8:ほしいものがありまくる
「××ちゃん、クリスマス何が欲しい?」
「ままー私はお人形と大きなお家ね!」
「はいはい、××ちゃんは?」
「…………まだ」
「決まったら教えてね」
「ままーサンタさんにはねー色鉛筆の36色ー」
「あら、いいわね」
欲しい物……首を傾げる、別にないから、だって家と食べ物があるし……それでいいじゃない…。
「チャレーいい加減おきろ」
「んぅ……」
「もうそういうのいいってお前の仲間は全員殺したから」
「あーいつから?」
「最初から、お前懸賞金幾ら?」
馬車にいるチャレーに少し離れた所から声を掛ける、チャレーはごそごそ身を起こすがバンクは目的の大半を達成したのでさっさとケリをつけて行く、風呂に入ろうが服を着替えようが身体に染み付いた臭いはそう簡単に消せない。
「500万ロネだ」
「低いなー大した頭じゃないのか、まあいい、欲しい物も手に入ったし後で捕えられていた連中は街に送り届ける」
「ちっ、このあたりでお前を殺すつもりだったんだ。まさかこんな手練れだったとはな」
「だろうな、死臭がすごいんだよお前、演技は上手かったよ。次があればその血の臭いを消せるようにな。本物のチャレーは殺したんだろ。計画が狂ったからこのまま次の街へ行こうとしたんだな」
「そうだ、運の無い金の無い商人を演じてバレるとはな。俺の盗賊団は一瞬で壊滅か」
チャレーの頼りなさそうな表情と声音が変わる、剣呑な目つきの盗賊の頭目へと変わり馬車を降りてマントの下に隠していた剣を出す。
「街のギルドに金を渡して、この辺を拠点にして好き放題やってたから大して強くもないが頭は少々良かったって所か」
バンクは肩を竦めお粗末な芝居と本当のチャレーが死んだ事だけを確認し、隠し持っていたナイフを背中から出して音も無くチャレーだった男の眉間を貫いた。
「……っがぁ」
「じゃあな、欲しい物も手に入ったし金も稼いだ。この世の中良い奴なんていないよな、死体はギルドに回収させて俺はお前の命で飯を食っていい宿に泊まって、欲しい物を買って遊ぶよ。お前が今までしてきたようにな、ついでに馬車も」
バンクはチャレーの眉間からナイフを回収し血を払う、なんてことはない日常を続ける、さて捕まっていた人々を馬車に乗せて目的地へと向かう事にした。
「盗賊団を壊滅させたのか!」
「まあ、数もそういなかったし。ほら、捕まっていた人々だ、後は頼む」
次の街へ盗賊団の馬車を使い2手に分かれて捕まっていた人たちを連れて行く、その前にめぼしい物欲しい物は回収し後は捕まっていた人々にも渡せばアジトに金目物はほぼない。
この世界では盗賊や盗人を捕えた者が所有物を手にして良い事になっている、例外も勿論あるがそれ専門の《狩人》がいる位の治安は悪い。
この街の冒険者ギルドに捕まっていた人々と情報を渡し、ギルドが検分すれば懸賞金も貰える。
「流石は《絶断》だな、検分には時間が掛かる、暫く滞在するのか?」
「まあ、2、3日は。間に合わなければ後で冒険者証の中に金を入れてくれ」
「わ、分かった」
ギルドマスターの顔色は良くない、臭いも焦った様子だ、ギルドマスターこそがチャレーとして偽っていた頭と繋がっていたんだろう。
貰う物は貰った手に入った、さっさとこの街を引き上げた方が良いだろ。
「宿は紹介状を書こう、疲れているだろう良い宿を……」
「いや、宿はある。2、3日はいるから。馬車を頼む」
ギルドマスターを信用出来ない、宿をと言われたが辞退しギルドを出る。
外には捕らわれていた人々が安堵の顔で職員たちから食事や宿や家の事など聞かれている、当面の資金はあるだろうからもうバンクは関わるつもりは無い、この世界では身軽な方が良いんだ…。
「1泊、5,000ロネです。酒もありますよ」
「いや、飯を頼む」
「はい。食事は1,000ロネです」
街の中枢から少し離れた場所の頑丈そうな宿を選ぶ、中年の主人が愛想がいいのが気に入った。
不愛想より愛想は会った方が良い、食事を頼む、少しは温かい物が食べたい。
「部屋にお持ちしますよ、洗濯物も出しておけばやっときます」
「どうも」
礼と鍵を貰い言われた2階へ上がる、部屋はベッドとテーブルと椅子だけの簡素な物で床に背負子を床に置き椅子に座る。
「明日にでもあのギルドマスターが来そうだな、あの様子じゃあの盗賊団他にも仲間でもいたのか…それとも別な組織の下っ端か…」
あのギルドマスターの顔色は何かあるだろう、盗賊団とギルドがそういう関係なのも少なからずある、そりゃ皆少しでも金が欲しいのだ。
「馬車と金は手に入ったし面倒ごとは御免だ、服を買って良い物食べて…おかしも…アイテムボックスが手に入ったから……後は旅をしながら居場所を探すでも金はまあまあ稼ぐか…老後の貯えに……で、今は風呂入って飯を食べて…寝ときたいが……」
欠伸1つし夕食までの時間は手に入れたアイテムボックスの中を確認する、このアイテムボックスだけでも財産として成立するが遊ばせている訳でもないだろうとバンクはうきうきしていた…。




