プログラム・８　-プログラム・エイト-

　『人格更生プログラム』――それは罪人の意識を仮想世界に繋ぎ、〝架空の人生〟を経験させ精神の更生を図る新しい刑法。

　禁固刑・懲役刑・死刑――あらゆる刑法が『人格更生プログラム』へとシフトチェンジした近未来。
　同じく、ＶＲ技術の進歩により人の記憶を抽出し過去を完全再現したＶＲ世界の生成が可能になり、その過去のＶＲ世界を駆使して犯罪捜査を行う〝記憶捜査官〟が誕生した。

　記憶の中に眠る揺るぎない真実を求め、記憶捜査官は時に被害者の記憶から、時に被疑者の記憶から再現した過去の仮想世界――記憶世界（メモリーワールド）へとダイブし、過去を再捜査する。

　この春に記憶捜査官として配属されたのは、毒舌で癖のある少女だった。
　彼女は記憶捜査官として類い希なる才能を発揮し、初日にしてたちまち事件を解決へと導いた。

　しかしある日、容疑者の記憶が一部損壊し記憶世界を再現できない奇妙な事件に突き当たる。その事件を捜査していく中で、彼女は自分に忘れている過去があることを知る。
　彼女は過去を取り戻すために、自らの記憶から抽出した仮想世界を創り出す。追い求める先にあったのは、〝この世界〟の秘密に繋がる鍵だった――