第25話 素材買取
夕日に照らされた鑓水ダンジョンフィールド。
二郎はリュックを背負い直し、探索者協会のゲートへ向かって歩いていた。
『初探索としては十分な成果じゃ。』
「シリンダーも三本とも満タンだしな。」
リュックの中には今日一日の成果が詰まっている。
討伐数
・ショゴススライム 9匹
・ジャイアントローチ 5匹
戦利品
・万能細胞片×9
・外殻×5
・大顎×5
・前脚×10
・後脚×20
二郎はガンタワーが並ぶ巨大なゲートへ到着した。
自動改札へ腕輪型情報端末をかざす。
『ピッ』
「八木二郎様、退場を確認しました。」
重厚なゲートを抜けると、探索者協会買取センターが目の前にあった。
「せっかくだし、相場だけ見ていくか。」
『うむ。』
『売るのは後でも構わん。』
建物へ入ると、受付カウンターには探索者が数人並んでいた。
二郎の番になる。
「すみません。」
「素材の買取相場だけ教えてもらえますか?」
受付の女性職員が笑顔で頷く。
「もちろんです。」
「腕輪型情報端末でも確認できますよ。」
「最新相場は毎日更新されています。」
「ありがとうございます。」
二郎は腕輪型情報端末を操作し、買取情報を検索した。
まず表示されたのは万能細胞片だった。
万能細胞片
買取価格
一個 400円
「結構するんだな。」
『錬金薬や再生薬の材料じゃからの。』
『需要は高い。』
続いてジャイアントローチの素材を検索する。
ジャイアントローチ素材
外殻
大顎
脚
いずれも状態によって変動するが、
一素材あたり約50円前後
と表示されていた。
「なるほど。」
「協会だとこのくらいか。」
すると頭の中でダニッジが笑う。
『まだ売るでない。』
「どうして?」
『魚人街にも行くと言っておったじゃろう。』
『素材によっては向こうの方が高く買い取る。』
『特に加工用素材は専門店の方が値が付くことが多い。』
「確かに。」
「相場を比べてから売れば損しないな。」
『探索者は狩るだけでは半人前。』
『売るところまで考えて一人前じゃ。』
二郎は端末を閉じた。
「今日は売らずに持って帰ろう。」
「魚人街を見てから決める。」
受付の職員へ軽く頭を下げ、建物を後にする。
バス停へ向かうと、ちょうど八王子駅南口行きのバスが停車していた。
二郎は最後尾の席へ腰掛ける。
窓の外では巨大なゲートがゆっくり遠ざかっていく。
『初探索、無事終了じゃな。』
「うん。」
「思ったより稼げそうだ。」
二十分ほどでJR八王子駅南口へ到着する。
駐輪場で三輪電動自転車を受け取ると、リュックと素材袋を荷台へしっかり固定した。
「次は魚人街だ。」
『専門店の値段を見せてもらおうかの。』
夕暮れの八王子市街を走りながら、二郎は魚人街へ向けて自転車を走らせた。
初めての本格的な素材売却が、いよいよ始まろうとしていた。




