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バビロンの謎―七つの星門と失われた王国  作者: 虫松


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第3話 ベルシャザルの罠

太陽の塔。


最上階。


アントニウスたちがたどり着いた時、そこには誰もいなかった。


巨大な黄金の祭壇。


七つの封印を収めるための台座。


そして祭壇中央には、一枚の水晶板だけが浮かんでいる。


突然、水晶が青白く輝いた。


ベルシャザルの姿が映し出される。


「ようこそ。」


「ガイウス・アントニウス。」


その声は静かだった。


怒りも憎しみもない。


まるで旧友へ語りかけるようだった。


アントニウスは剣を向ける。


「姿を現せ!」


ベルシャザルは微笑む。


「私はここにはいない。」


「だが、君たちは予定通りここへ来てくれた。」


ナディアの表情が変わる。


「まさか……。」


ベルシャザルは頷いた。


「君たちは私の敵ではない。」


「私の最後の鍵だ。」


七つの封印の真実


祭壇の周囲へ七つの光が浮かぶ。


月。


水星。


金星。


太陽。


火星。


木星。


土星。


ベルシャザルが静かに語る。


「君たちは封印を破壊したと思っている。」


「違う。」


「封印とは檻ではない。」


「接続装置だ。」


七つの光が一本の巨大な光の柱となる。


「塔は一つになる。」


「世界も一つになる。」


ナディアが叫ぶ。


「止めて!」


「それが七つの星門!」


ベルシャザルは穏やかに微笑んだ。


「そう。」


「三千年前、古代バビロニア人が完成させられなかった最後の奇跡。」


「七つの星門。」


世界がつながる


その瞬間。


世界各地で異変が起きる。


ローマ帝国。


元老院広場。


議論していた元老院議員たちの前へ、


空間そのものが裂ける。


青い巨大な門が出現した。


市民たちは悲鳴を上げる。


兵士が剣を抜く。


しかし門は攻撃しない。


静かに開くだけだった。


エジプト。


アレクサンドリア。


大図書館の上空。


青い門がゆっくりと姿を現す。


学者たちは空を見上げる。


「何だ……あれは。」


ギリシャ。


アテネ。


パルテノン神殿の前。


巨大な門が神殿より高くそびえる。


エルサレム。


神殿の丘。


祈る人々の前へ、


青い光が降り注ぐ。


ペルセポリス。


古代王宮跡。


崩れた柱の間から、


星門が立ち上がる。


さらに東。


インド。


そして、


ローマ人がまだ名も知らぬ遥か東方の国。


山脈の向こう。


深い森の彼方。


そこにも同じ青い門が現れた。


七つの門。


七つの都市。


七つの文明。


すべてが一本の光で結ばれていく。


バベルの塔


世界中の空が暗くなる。


雲が渦を巻き、


光が天へ集まる。


やがて、


誰も見たことのない巨大な幻影が姿を現した。


空へ届く塔。


天を貫く一本の柱。


伝説の……


バベルの塔。


世界中の人々が息を呑む。


ベルシャザルの声が、


門を通して全世界へ響く。


「見よ。」


「争いの終わる世界を。」


我らは一つ


最初に口を開いたのは、


ローマの一人の老人だった。


「……我らは一つ。」


次は、


アレクサンドリアの少女。


「我らは一つ。」


アテネの哲学者。


エルサレムの神官。


インドの商人。


東方の農民。


次々と、


同じ言葉を口にし始める。


「我らは一つ。」


「我らは一つ。」


「我らは一つ。」


ナディアは震えた。


「始まった……。」


水星の塔で封印したはずの集合意識。


それが七つの星門によって、


世界規模へ拡大を始めた。

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