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バビロンの謎―七つの星門と失われた王国  作者: 虫松


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第2話 バビロン兵士

アントニウスたちは地下通路を進んでいた。


その時。


壁の向こうから聞こえてきた。


ガン……


ガン……


何か巨大なものが歩いている。


ナターシャが弓を構える。


「来る!」


壁が崩れた。


現れたのは人間だった。


しかし普通ではない。


全身を青銅で覆われ、


目は青白く光る。


槍を握ったまま歩いている。


その数。


百。


二百。


いや。


数千。


ナディアが震えた。


「まさか……。」


「バビロン兵士……!」


アントニウスが剣を抜く。


「生きているのか?」


「違います!」


「三千年前に死んだ兵士たちです!」


兵士たちは無言だった。


感情もない。


恐怖もない。


ただ一つの命令だけで動いている。


「大神官を守れ。」


ドォォン!!


一斉に槍を構えた。


古代の真実


激戦の中。


ナディアは古代文字を読み始める。


崩れた壁には巨大な壁画。


そこには驚くべき歴史が刻まれていた。


アントニウスが叫ぶ。


「何が書いてある!」


ナディアは息を呑む。


「バビロンは……」


「国じゃない。」


「兵器だった。」


全員が動きを止めた。


壁画には、


空から降りる七つの星の船。


巨大な人型兵器。


そして。


世界中の王たちが跪く姿。


「古代バビロニア人は。」


「世界を征服するため。」


「この巨神を造った。」


「でも。」


「制御できなかった。」


「だから七つに分けて封印した。」


アントニウスは青ざめる。


「その封印を……」


ナディアは静かに頷いた。


「私たちが解いている。」


ベルシャザルの願い


天空神殿。


ベルシャザルは一人、


巨神を見つめていた。


「私は支配したいのではない。」


「終わらせたいのだ。」


彼の脳裏には、


焼け落ちる故郷。


泣く妻。


倒れる息子。


血まみれの少女。


何百年経っても消えない記憶。


「人は争う。」


「国が違うから。」


「言葉が違うから。」


「信じる神が違うから。」


「だから。」


彼は巨神へ手を伸ばす。


「世界を一つにする。」


「巨神バビロンが目覚めれば。」


「誰も逆らえない。」


「誰も戦えない。」


「永遠の平和が訪れる。」


その瞳には涙が浮かんでいた。


彼は狂気だけで動いている男ではない。


家族を失った悲しみから、


「争いそのものを終わらせたい」と願い続けた男だった。


しかし、その願いは人々から自由を奪うものでもあった。


最後の警告


地下神殿の奥。


巨大な石碑が青く光る。


そこには古代文字で最後の警告が刻まれていた。


ナディアは震える声で読み上げる。


「七つの封印を集める者よ。」


「巨神は敵も味方も区別しない。」


「一つの意志を持つ世界だけを残し。」


「自由なる文明を滅ぼす。」


アントニウスは静かに剣を握る。


「俺たちは……」


「完全にベルシャザルの罠へ乗せられていた。」


その瞬間。


地下神殿全体に轟音が響く。


ドクン……


ドクン……


巨神バビロンの胸が、


ゆっくりと鼓動を始めた。


まだ眠っている。


だが確実に目覚めへ近づいている。


アントニウスは黄金の太陽の塔を見上げた。


「もう止めるしかない。」


「封印を集める前に。」


「ベルシャザルを。」


「巨神バビロンを。」


「この戦争を終わらせる。」


黄金の塔から、さらに強い光が天へ伸びる。


その光は世界中から魔力を吸い上げ始めていた。

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