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バビロンの謎―七つの星門と失われた王国  作者: 虫松


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第14話 金星の塔、作戦実行

アントニウスは二人へ小声で言う。


「俺が正面へ行く。」


「ナターシャ。」


「お前は遠距離から撃ち続けろ。」


「分かった。」


「ナディア。」


「塔の魔力を乱せ。」


「接近する一瞬だけでいい。」


ナディアは頷く。


「任せて。」


アフラは余裕の笑みを浮かべる。


「相談は終わりました?」


「では終幕です。」


再び光の槍が降る。


アントニウスは真正面へ走った。


「無駄です!」


槍。


爆発。


光線。


すべてが彼へ集中する。


しかし、それこそが狙いだった。


接近戦


ナターシャが叫ぶ。


「今!」


矢が連続で放たれる。


ヒュン!


ヒュン!


ヒュン!


アフラは空中でそれを撃ち落とす。


「邪魔です。」


その一瞬。


ナディアが古代語を唱えた。


黒い粘土板が輝く。


紅紫色の魔法陣が一瞬だけ消えた。


「今よ!」


アントニウスは爆煙の中から飛び出す。


「なっ!」


アフラの表情が初めて崩れる。


彼女は慌てて後退する。


しかし遅い。


アントニウスは一気に懐へ飛び込んだ。


「近い……!」


アフラは杖を振るう。


しかし剣術は素人同然。


アントニウスは簡単に受け流した。


「やはりだ。」


「お前は近距離戦ができない。」


「違う!」


「私は神官!」


「戦う必要など!」


ガキィィィン!!


剣が杖を弾き飛ばす。


アフラは床へ転がった。


「ベルシャザルは、お前を前線へ出さなかった。」


「理由はこれか。」


「広範囲攻撃。」


「空中攻撃。」


「遠距離では最強。」


「だが接近されれば終わり。」


アフラは後ずさる。


恐怖が瞳へ浮かぶ。


「来ないで……。」


その姿は、


人の心を操る神官ではなく、


一人の弱い女性だった。


神官の過去


アントニウスは剣を止めた。


「なぜベルシャザルへ従う。」


アフラは震えながら答える。


「戦争で……」


「家族を失いました。」


「愛する人を……」


「だからベルシャザル様は言った。」


『愛を強くすれば、誰も裏切らない。』


『恐怖を少しだけ増やせば、誰も戦わない。』


「私は……」


「信じたかった。」


アントニウスは静かに言う。


「それは愛じゃない。」


「支配だ。」


ナディアも前へ出る。


「本当の愛は。」


「選ぶ自由があるからこそ、生まれるもの。」


アフラの瞳から涙が落ちる。


「私は……」


「間違って……いたの?」


金星の封印


その瞬間。


塔全体が揺れ始めた。


ベルシャザルの声が響く。


「アフラ。」


「役目は終わりだ。」


アフラが顔を上げる。


「大神官様?」


彼女の胸に刻まれた契約印が赤く輝いた。


「まさか……!」


「ベルシャザル様!」


「私はまだ!」


ドォォォォン!!


契約印が暴走する。


アントニウスは咄嗟に彼女を抱えて飛び退いた。


爆発。


神殿が崩れる。


アフラは瀕死となりながら、震える手で紅紫色の結晶を差し出した。


「……これが。」


「金星の封印。」


「お願い……。」


「ベルシャザルを……止めて。」


アントニウスは静かに受け取る。


アフラは微笑んだ。


「初めて……」


「誰かが……」


「私を助けようとしてくれた。」


彼女の身体は光となり、


静かに消えていった。


三つ目の封印が解かれる。


月。


水星。


金星。


その瞬間。


バビロン中央で、


黄金に輝く巨大な塔がゆっくりと目覚めた。


ナディアが震える。


「あれは……」


「太陽の塔。」


アントニウスは黄金の塔を見つめる。


「次はいよいよ。」


「ベルシャザルの計画の核心だ。」


遠く離れた天空神殿で、


ベルシャザルは静かに微笑んでいた。


「よく来た。」


「ガイウス・アントニウス。」


「君は確実に、私の計画へ近づいている。」


そして黄金の塔から、太陽のような光が世界を照らし始めた。



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