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1534年10月4週目。大友家での姫と当主のやりとり。父上が吹っ掛けたと思っていた停戦の1000万文、八郎商会は1週間で稼ぎますよwww

十月四週目。

豊後、大友の本拠では、姫君たちが遊学の支度を進めていた。

衣、文箱、筆、薬、護衛、女中、土産物。

それらが次々と運び込まれ、屋敷の一角は小さな旅支度の場になっていた。

大友義鑑は、その様子を見ながら言った。

「来年の六月までは停戦じゃ」

「急ぐことはない」

「ゆっくり見てこい」

姫君たちは並んで頭を下げる。

「はい、父上」

義鑑は続けた。

「佐土原で見たものなど、まだ一部であろう」

「しかも、あれは立ち上がりかけの市じゃ」

「立ち上がりきった肥後や薩摩では、また違うものが見えるはずじゃ」

「飯屋、湯浴み、寺社市、帳面、証文破り」

「民の顔がどう変わるか」

「商人がどう動くか」

「姫がどう扱われるか」

「全部見て、文を多く寄こせ」

姫君の一人が、静かに頷いた。

「はい」

「必ず、細かく書き送ります」

別の姫君が、ふと思い出したように口を開いた。

「父上」

「何じゃ」

「一つ、お聞きしてもよろしいですか」

義鑑は頷いた。

「申せ」

姫君は少しだけ笑みを浮かべた。

「父上が吹っかけたと思っておられた、八郎殿への一千万文」

「あれは、よかったのでしょうか」

義鑑は眉を上げ、それから笑った。

「あれはよかった」

「一滴の血も流さず、戦費をかなり賄えた」

「あれだけ取れれば、十分じゃ」

「八郎殿も痛かったであろう」

姫君は、少し首を傾げた。

「それが」

「八郎商会は、あれを一週間ほどの利益で稼ぐらしいです」

義鑑の動きが止まった。

「は?」

重臣たちも顔を上げる。

姫君は落ち着いた声で続けた。

「父上が大きく吹っかけたと思っていた銭は」

「八郎殿にとっては、本当の意味では、はした金だったのかもしれません」

「少なくとも、払えない額ではなかったようです」

義鑑は、しばらく黙った。

それから、低く笑った。

「なんじゃ、それは」

「一千万文を、はした金か」

姫君は楽しげに言う。

「ですので、父上が八郎殿にひっくり返されないように」

「私たちも、楽しみながら学んでまいります」

義鑑は姫を見て、苦笑した。

「あいつも、なかなかのくせ者じゃな」

「佐土原で毒にやられたかと思えば、父にまで皮肉を言うようになった」

姫君は涼しい顔で頭を下げた。

「学びの成果です」

重臣の一人が苦笑する。

「行く前から、すでに八郎殿の影響を受けておりますな」

義鑑は腕を組み、地図の上に視線を落とした。

「しかし、それだけ稼ぐ八郎商会というのは、やはり侮れぬ」

「飯屋がうまいだけではない」

「仕組みを作るのがうまい」

「市を作り、湯を沸かし、借金を消し、商人を巻き込み、民の顔を変える」

「それで小さい国人衆を、戦の前から落としていく」

重臣が頷いた。

「我らは交易で稼ぎます」

「ですが、農民の借金まで面倒を見ることは、あまりいたしませぬ」

「八郎殿は、そこに手を入れております」

義鑑は小さく息を吐いた。

「だから強い」

「単に銭があるのではない」

「豊かになった者が、八郎につく」

「借金を消された農民は、簡単には裏切らぬ」

「湯を沸かしてもらい、飯を食わせてもらい、布団を買えるようになればなおさらじゃ」

姫君は静かに言った。

「敵にするより、味方にする方がよいと思います」

義鑑は頷いた。

「間違いなかろう」

「正面からぶつかれば、こちらも物量で押される」

「押されるだけでなく、互いに被害が大きい」

「八郎殿も、好んで大友を攻めたいわけではなさそうじゃ」

「取れるところを順に取る」

「大きな相手とは、縁と交易でつなぐ」

重臣が地図の北を指した。

「大内もおります」

「九州に残る大内の影響をどうするか」

「そこは、いずれ大友と八郎殿の利が重なるかもしれませぬ」

義鑑は目を細めた。

「そうじゃな」

「こちらは北から」

「八郎殿は南や西から」

「挟む形になれば、大内を九州から追い出す口実にもなる」

「四国もある」

「伊予、土佐、瀬戸内」

「敵に回すより、同盟して使う方がよい」

別の重臣が言った。

「しかし、戦も下手ではありませぬ」

「佐土原での受けは、なかなかでした」

義鑑は頷く。

「あれは凡庸な手とも言える」

「守りを固め、伏兵を置き、兵糧を焼く構えを取る」

「だが、それをすぐに用意できるのが怖い」

「しかも四歳児が、平然とそれを考える」

「攻めれば、面倒な相手じゃ」

姫君は文箱を手に取った。

「だからこそ、見てまいります」

「八郎殿だけではなく」

「兄君方」

「商人衆」

「島津の姫君方」

「民」

「市」

「全部を」

義鑑は満足そうに頷いた。

「よい」

「見て、聞いて、文を寄こせ」

「ただし、飲まれすぎるな」

姫君たちは顔を見合わせ、少し笑った。

「それは、少し難しいかもしれません」

義鑑は大きく笑った。

「もう危ういな」

「まあよい」

「毒を知るには、近づかねばならぬ」

「八郎殿の毒が、薬になるかどうか」

「それを見てこい」

姫君たちは深く頭を下げた。

「行ってまいります」

数日後、大友の姫君たちは、女中と護衛を伴い、豊後を発った。

向かう先は、八郎の本拠。

飯と湯と帳面と笑いが、人の心を変える場所である。

義鑑はその背を見送りながら、ぽつりと呟いた。

「一千万文で、こちらが試されたのかもしれぬな」

重臣が問う。

「試された、でございますか」

「うむ」

「こちらが銭を取ったと思っていた」

「だが八郎殿は、その銭で停戦を買い、こちらの姫を呼び、縁の種を撒いた」

義鑑は小さく笑った。

「やはり、敵にするには惜しい」

そう言って、義鑑は地図の日向と肥後を見つめた。

九州は、静かに形を変え始めていた。

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傷病で会社を休んで小説書いてお金稼ぐのってニッセイのルール的に大丈夫だと思いますか?
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