59__獅子王の困惑
本当に、ほんっとーに お久しぶりでございます。
前話は 確か、リーゼロッテが毒蛇に襲われたと騒ぎが起き、無事を確認したラノイ達が 各所へ手配りをする場面まで書いた筈です。
そんな訳で、その続きです。
と或る官吏から ラノイへと視点が変わります。
では、どうぞ。
___視点:或る文官___
この国には、希まれぬ妃がいる。
国王の隣にいる事を希まれぬ妃だ。
銀髪に 蒼い瞳、どう見ても異国の娘。
素性も明かされない妃だ。
大方、出自も明かせぬ様な下賤の者なのだろう。
身分を理由に追い出してやりたい攸だが、困った事に 陛下が溺愛している。
それはもう 誰の睛にも晣らかな程に。
見眼ばかりが姚しいだけの妃など 孰れ飽きられるだろうが、その日が 今日-明日と云う見込みなどない。
あれ程の寵を掛けられているのだ、いつ 身籠もるとも知れない。
下賤の胎から次代の王が産まれるなど 万が一にもあってはならないし、身籠もれば 後宮から出なくなるだろう。
そうなってからでは、一介の官吏である私では 手出しも適わなくなる。
早々に排除するには 行動あるのみ、だ。
危険が伴うが、やらない訳にはいかなかった。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
先日、あの妃は 北の邨へ慰問に出掛けた。
〔荒れ地〕で魔法使い達の諍いがあり、それが北の国境に近かった事から起きた災害の見舞いが理由だ。
単独で などとほざいていた様だが、陛下が赦す筈がない。
尠くとも 10数人の護衛が用意されるだろう ––––––そう惟っていた。
まさか 護衛-1人と出掛けるとは惟わなかった。
この千載一遇のチャンスを見遁す策はない。
被災地訪問に合わせて 武官の仲間が手配していた襲撃者共は、7人。
手練れを揃え 慎重に行動する様に言い加えていた、と 仲間は言っていた。
だから 安心していたと云うのに、結果として 襲撃者共は妃の護衛に捕った。
依頼主の情報は与えていなかったから 吾々へ捕縛の手が及びはしなかったが、襲撃の失敗は 頓だ誤算だった。
よもや、たった 1人の護衛に敗けるとは。
数日後、何事もなかったかの様に王宮に戻って来た妃を、今度は 吾々とは別の連中が襲った。
これが、つい この間の事だ。
隣国の商人を妝った暗殺者を 王宮へ招き入れての襲撃だ。
叶えてくれるなら 他人を利用してでもと惟ったのだが、この襲撃も失敗に終わった。
連中は、陛下の手で 一網打尽になった。
《 全く、使えない奴等だ。》
取り調べが進んで晣らかになった事だが、あの連中は、妃を排除する為に 陛下達に毒を盛ると云う愚行に及んでいたらしい。
即効性の毒を湯に溶かし、それで淹れた茶を 妃に出させると云う手段で。
妃が淹れた茶を飲んで 陛下達が毒に侵されれば 妃が疑われるのは必至だ、と。
疑われた妃は、無実の言い分も聴き入れられずに 投獄される、と。
そして、後ろ盾など存在しない妃は、証拠だの証言だのの裏取りもされずに 処刑される、と。
そう考えての行動だったそうだ。
どう云う訳か 何事も起こらなかった様だが、全く 余計な事をしてくれた。
万が一 解毒薬を使われていたら、こちらが重ねてきた準備が無駄にされる攸だった。
そもそも、あの方の身内の媛を後宮へ入れ 地位を確立させた後に 陛下達を病死させる計画が、これ程 難航するとは惟わなかった。
難関となるのは 媛が陛下に見初められるまで ––––––そう考えていたのに。
企てていた計画が立ちゆかない焦りからか、つい、裏市場で見かけた毒蛇を購入してしまった。
一応、出所を追えない様に 何人かの手を経て購入し、同様に 多くの者の手を経て王宮に持ち込ませた。
辿られる事はないだろう。
だが、浅慮だったかもしれない。
《 いや、用心に用心を重ねたのだ。 大丈夫だ。》
己れの中の揺れを振り払うべく 強く云い聆かせた。
しかし、その傍から、不安が首を擡げる。
––––––本当に、大丈夫だろうか。
検疫官に手を囘し、侍従官に銭を掴ませた。
木箱を搬ばせたまでは良かったが、最後のは やりすぎだったのではないか。
休憩室の外で聴き耳を立てて、悲鳴がしたタイミングで『妃が毒蛇に咬まれた』と騒いだ あれは。
惟わず やってしまった行為だったが、必要だっただろうか。
やりすぎではなかっただろうか。
咬まれていたのなら、騒ぎは、放っておいても起きた筈だ。
何も、私が関わる必要などなかった。
室内からの悲鳴に『計画が旨くいった』と悟ったら、叫んでいた。
躬ら騒ぎを起こすつもりなどなかったと云うのに。
《 あの蛇の毒ならば、咬まれた直後であっても 解毒は間に合わないだろう。》
だから、毒蛇を仕込んだ事は いい。
今度こそ あの妃を排除出来たなら、多少の危ない橋も渉り甲斐があったと云うものだ。
そもそも、何人もの手を介して買い求めたのだ。
蛇から、私に辿り着く術はない。
だから、これについては 懸念もない。
問題は、私が 休憩室の近くにいた事を知られてしまった事だ。
そして、見てもいない毒蛇の存在を知っていたと悟られる言動をしてしまった事だ。
その決定的な証拠を残してしまった事だ。
近くを通った衛兵は 見知った顔ではなかったが、それでも 私の顔を睛にしている。
記憶力の良い者なら、あの一瞬で憶えていても可妙しくない。
その程度には、姿を見られた。
混乱の内に忘れてくれればいいが、もし、あの衛兵が 私に違和感を覚えていたら…………。
《 いや、考え佚ぎだろう。》
非常時の記憶など、宛てになるモノではない。
而も、あの衛兵も 休憩室へ入って事実確認をした訳ではない。
第一、すぐに陛下達へ報せに 政務室へと駆け去っているのだから、私の姿を睛にしていたとしても ほんの一瞬だ。 案ずる必要などないだろう。
騒ぎが拡まる前に 自室へ戻ったのだし、このまま素知らぬフリをしていればいい。
私は、一日中 自室にいた。
自室にて 読書に勤しむ休日を満喫していた。
食事と 気分転換の散歩の時-以外は、
ずっと自室に篭っていた。
王宮の喧騒など気付きもしなかった。
自室へ戻る道中 誰かに見られてはいないだろうから、これで押し通せる筈だ。
何も問題はない、私は関与していない。
何も問題はない、あの兵士-以外に 私の姿を見た者もいない。
何も問題はない、私は何も知らない。
だから、大丈夫だ。
《 後は、此処に急報が来るまで 本でも読んでいればいい。》
不在証明は、これで充分だ。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
___視点:ラッケンガルド国王 - ラノイ=アシュリオン=ラッケンガルド___
「最初に騒いだ官吏も 聴取すべきですね」
「!–––––––––確かに、情報が食い違っています」
「動転していた、では説明が付きませんね」
「故意に誤情報を流したとすれば、この後にも
何か起きる可能性が考えられます」
シズとエディンが 情報の齟齬から 今後の危険を先詠みしてる間に、僕は リリィに手を伸ばした。
左手で 腰を抱き寄せ、右手を 背に回す。
高位の魔法使いでありながら 体術も相当な膊のリリィだけど、そんな事が信じられないくらい 肩も腰も ほっそりしてる。
並みの女なんかより細いのに、並みの兵士なんか相手にならないくらい勍い。
こうして觝れても 筋肉質じゃないのに。
寧ろ、見た目より ずっと娜やかだ。
その上、女性らしい柔らかさはあって ––––––つまり、抱き心地がいい。 相当いい。
《 こうしたまま公務とか出来たら、多少 使えない連中の戯言だって 心穏やかにやり過ごせるんだろうなぁ。》
艶やかな銀髪の 滑らかな感触を愉しみながら、ちょっと明後日の方向に思考を飛ばす。
そんな間にも、シズとエディンの談し合いは進められてた。
「検疫官のほうは 衛兵達が追うでしょうが、
流石に これに気付けはしないでしょう」
「手配して参ります」
「陛下、私は 各所の動きを観察………
もとい、監察に邀います」
あぁ はいはい、好きにしていいよ。 って云うか、態々 言い直さなくていいよ。 判ってるから、もう今更だから。
こんな時でも シズはシズなんだから。
顔は真面目くさってるけど、隠しようもないくらい 睛がキラッキラしてる。
《 こっちは任せて、愉しんでおいで。》
最早、苦笑いもでない。
止める気? 無い 莫い。
今の僕には 無駄な事なんかしてる時間ないしね。
「私は、奥殿のほうを見廻ります」
エディン・シズ・クランツの順で 休憩室を迹にするのを横睛に見送りながら、僕は 腕の中へ視線を向ける。
可愛い可愛い奥さんを 甘やかに見詰める、優しい夫の体で。
なのに、睛が合った途端、リリィの軀が硬直した。
ビクって動きはしなかったけど、抱き締めてる腕に 晣らかな緊張が伝わってきた。
《 可妙しいな、悚がらせる要素なんてない筈なんだけど。》
もしかして、黒いオーラでも滲み出てるとか?
常人には見えなくても、リリィには視える 何かがあるとか?
それで、察知されちゃった?
僕が こうして抱き締めたのも、リリィを逃さない為だったって事に。
シズ達に混じって この部屋から出て往かない様に、僕の前から いなくならない様に、僕の睛の届かない処に往かない様に。
先手を打って 捕えたんだって事に。
「ぁ、あの、ラノイさ っ」
硬張った声が 僕の名前を言い終わる前に、リリィを抱き上げた。
横抱きにして ソファに邀い、擁えたまま 腰を下ろした。
僕の定位置、いつもの 1人掛けのソファだ。
そして、膝の上にリリィを降ろす。
横抱きの姿勢のまま 僕の膝の上で、僕に 背と腰を抱かれたままで、リリィは 硬直してる。
さっきよりも ずっと緊張してるのが判る。
だから、悚がらせない様に、殊更 雍かく笑い掛けてみた。
《 可妙しいなぁ。》
今度は 肩が揺れるくらいビクってされたんだけど。
ねぇ、本当に 何か出てるの? それとも、何か 僕の後ろに視えるの?
そう訊きたくなるくらい、リリィは硬直してる。
僕の腕の中で 細い軀を硬張らせて、蒼い瞳を 僅かに瞠らせた状態で、少しだけ 脅えを泛かべて。
《 何このカワイイ生き物。》
上目遣いに見上げられるとか やたら可愛いんだけど! 可愛すぎるんだけど! もう押し倒してもいいんじゃない? 赦されるんじゃない? 駄目だって判ってるけど怒る人もいない事だしちょっとくらいいいんじゃない? 3人掛けのソファに女官いるけど寝てるしいいんじゃない? 魔法で眠らせたなら暫く起きないしいないって事にして構わないんじゃない? いやいや駄目だ今はまだその時期じゃない落ち着け冷静になれ無謀な事したら永遠に手に入らなくなる。
《 落ち着け僕しっかりしろリリィが可愛いのなんか今更だいつもずっとカワイイんだから今じゃなくても大丈夫だまた今度また今度にしろ。》
僕は、暴走しそうになる欲望に 理性を総動員して言い聆かせる。
そんな間も『優しい夫の体』で微笑んだままだ。
内心のパニックは 表面化しなかった筈だ。
我が事ながら 器用だと惟う。
「リリィ、もう 僕と 2人きりだから」
いや、斜め横のソファに後宮の女官いるけど、いるって判ってるけど 譚は聴こえてない状態だから いないって事でね。
「だからね、ちゃんと教えて?」
そう問い掛けると、膝の上の美女の視線が 僕から離れる。
ゆっくりと横に逸れて、次第に下に向いてく。
《 もうやだ可愛い。》
リリィってば何でいちいちそんなに可愛いの⁈
質問しながら落ち着こうとしてたのに台無しじゃん!
これで手出ししちゃいけないなんて虐めだよ!
鬼か⁉︎ 悪魔なのか⁈ どっちでもリリィなら可愛いだけだけど! 逆に見てみたいくらいだけど‼︎
あぁ本当にもうこんなに好きになるなんてちょっと前までの自分じゃ想像も出来なかった事なのに。
《 人生って、何があるか判らないものなんだなぁ。》
暴走気味の部分 - 8割、理性的な部分 - 0.5割。
残った部分で、ちょっと感慨深そうに そんな事を呟いてみてる。
軽い現実逃避-状態の その部分を、0.5割な部分が叱咤して現実に引き戻し、何とか思考の中心を 有るべき方向へ向けさせる。
《 まずは、さっきの疑念の解消と リリィの匿し事を追求するのが先だ。》
そう、僕の中には 疑念があった。
魔法使いは、生き物と意思の疎通が出来る。
高位であっても出来ない魔法使いもいるそうだけど、リリィは そうじゃない。
そもそも、生命を掌る妖精だ。
あの毒蛇とは『簡単な意思の疎通が可能』なんて程度じゃない筈だ、と 惟う。
最初に引っ掛かったのは、リリィの言い方だ。
「此処へ至るまでに 数人の手を
経ている様です。
この蛇も、箱に入れられてからの事は
判らないそうで」
『箱に入ってからの事は判らない』
つまり、数人の手を経てる間の事 ––––––毒蛇を購入した者から 箱に入れた者に至るまでの数人なら判るって事だ、と 惟う。
そう考えると、あの言葉も捉え方が変わる。
「わたしの力不足で 裏にいる者にまで
届かず、申し訳ございません」
『裏のいる者』は 毒蛇を購入した者と別、って解釈になる。
加えて、毒蛇に係った数人の中にもいない、って意訳になる。
僕の仮説が 綜て正しかったとすると、見過ごせない事が出てくる。
___ その情報を 態と匿した。
これ、いい予感はしないよね。
だから、どんなにリリィが可愛くても、その所為で 僕の理性が丸毎 吹っ飛びそうでも、今回は追及の手を緩める事は出来ないんだ。
「リリィ?」
催促すると、今度は 睛が游ぎ出した。
《 あ"〜〜っもう落ち着かなきゃいけないのにどうしてこう何もかもカワイイんだ!! 》
こんなカワイイのに 誰かのモノになってなかったなんて、奇蹟だよね。
魔法使いでも そうじゃない人でも、絶対 放っとかなかった筈なのに。
リリィが勍い魔法使いで良かった。
敵になった者には容赦しない魔法使いで良かった。
普段から姿を詭っててくれて良かった。
諸々 警戒心が強い女で良かった。
只管に優しいだけの女じゃなくて良かった。
何か 1っでも違ってたら、僕と出会う前に 誰かがリリィに觝れてた。
僕と出会う前に、誰かのモノになってた。
ほんの少しでも違ってたら、きっと ––––––。
《 でも、今 こうして腕にしてるのは 僕だ。》
だから、落ち着け。 もう 手放さないんだから大丈夫だ。
ゆっくり、ゆっくり攻略してくんだ。
リリィが 僕の腕の中に堕ちてくる様に、堕ちるしかない様に。
その攻略だって 予定より早く 進んでるんだから、此処で焦っちゃ駄目だ。
此処から先は、撰り慎重にならなきゃ。
逃さない様に、逃げられない様に、逃げられなくなる様に。
《 ゆっくり、ゆっくり。 冷静に、絶対に そうと悟らせない様に。》
僕は 荒ぶる心を落ち着けながら、それでも 我慢出来なくて、リリィの頬へ手を伸ばした。
右手の指先で、リリィの左頬に觝れる。
ひんやりした肌の 滑らかな感触が気持ちいい。
目尻に近い部分から 顎まで、指先で ゆっくりと撫でる。
たった それだけの事で、心が躍る。
落ち着こうとしてる時にやる事じゃないって自分でも惟うけど、触りたかったんだ。
「リリィ」
自然と、笑みが深まった。
こうしているのが嬉しいのと 我慢が辣いのと、で。
見詰めてるだけで倖せとか 向かい合ってるだけで理性が焦げ付きそうとか、もっと触りたいとか もっともっと別の場所にも触りたいとか ––––––もう いろいろ盈れてくる。
《 あぁ カワイイ、あぁ 辣いぃ。》
今、たぶん、他人には見せられない顔してるんだろうな。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
最近 理性を酷使してる所為か、欲望が刺激される環境下にある所為か、毎日 カワイイを抱き枕にしてる所為か。
今日は、思考の脱線が酷い。
訊かなきゃいけない事があるって云うのに、ちゃんと判ってるのに、どうしても思考が それに集中出来無い。 してくれない。
《 我慢って苦手なのにぃぃ。》
脳内で ぎゃあぎゃあ騒ぎながら、僕は リリィに返答を催促する。
「リリィ、いろいろ教えて、くれないかな? ちゃんと、誤魔化さないで、僕には 談してほしいんだ」
言葉に 戒縛の仂が乘らない様に って気を付けてたら、何か 途切れ途切れになった。
でも、使いたくない時に発動してほしくないんだよね。
僕の仂は、どうやら かなり強いらしい。
だからか、簡単に言葉に乘る。
意図してる時だけじゃない、言い方を間違えただけで 勝手に乘る。
一般人に対しても有効だけど、魔法使いには 特に効く。
あんな ちょっとの仂で、リリィが あれだけ厭がってたくらいだ。
本当に この仂が悚いんだ。
無理矢理なんてしたくない、しなくていい場面で使いたくなんてない。
でも、どうやったら『絶対 乘らないか』って云うのが、僕には まだ判らない。
『命令』は 絶対に駄目だ。
『言え』とか『談せ』とかには 必ず乘る。
『逃げるな』だの『動くな』だのが覿面に効いたんだから間違いない。
問い掛けとか お願いになってるのには 乘らない筈。 たぶん 乘らないと惟う。
だから、こうして訊いてるんだけど。
《 ちょっと乖らされた顔とか、睛が游いでて 動揺してるの丸判りなのとか、何か言おうとして躇ってる口許とか。》
もう! もうもうもうもう!
可愛いったらないんだけど! ないんだけどぉ‼︎
これ何もしちゃいけないの⁉︎ 絶対 駄目なの⁈
額は⁈ 瞼は⁉︎ 顳顬は⁈ 頬とか首筋とか耳朶とかは⁉︎
唇は我慢するから その辺とかならいい⁈ ちょこっとなら赦される⁉︎
囓らないから! 絶対ちょっとだけにするから!
《 イヤイヤイヤダメダメダメダメ!》
さっき駄目だって言い聆かせたばっかじゃん!
しっかり囲い込んでからって判ってるじゃん!
ゆっくり攻略するんだって 脳みそに敲き込んどかないと危ないくらいリリィが可愛くても、駄目なものは駄目なんだって 確認も再確認も再々確認もしたじゃん‼︎
何度も何度もしたじゃん!!!
《 落ち着いてまずは譚をして訊きたい事とか訊かなきゃいけない事とかあるんだからそっちに集中して出来ればこんな可愛いリリィをじっくり堪能したいとか考えないでなるべく邪念とか雑念とか妄想とか願望とかは何処かにやっちゃって。》
あぁ、何で脳みそを冷やす魔法はないんだろう。
減速系の魔法なら使えるのに、睡眠の魔法だって リリィにも効くくらいなのに。
いっその事、自分自身に戒縛の仂とか効く様になってくれないかな。 そんな方法ないかな。
やろうと惟えば出来るかな。 出来たりしないかな。 修行したら出来る様になったりしないかな。
《 絶対に! 今! 自分に使うのに!》
そんな事をつらつら考えてる僕には 全く気付かなかったんだろう。
リリィが、繊細く声を出した。
「 –––––––––––––………… 」
言葉にもならない、ぎりぎり 音として認識出来る細い声だったけど、僕が リリィの声を聴き逃すなんてない。
まぁ、頭の中は まだ『可愛いどうしようこれで我慢とか死にそう』とか考えてたけど、それでも 何とか意識を集中させる。
「ぁ の そ れ は そ の」
「うん?」
訊き返しながら、僕は リリィに顔を寄せた。
リリィの右頬に 僕の右頬が觝れるくらいに。
だって、可愛すぎて見てらんなかったんだ。 見てると僕が危険だったんだ。
誤魔化そうとしてるのか ちゃんと談そうとしてくれてるのか判らなくなっちゃうけど、襲い掛からない様にと惟って。
だけど、これ駄目だったかも。
緩く抱き締めてるだけだけど、耳許にリリィの声がして、ふんわりいい匂いとかもして。
《 わぁぁぁ逆効果だった⁈ これ余計危険なんだけど!? 》
お願いだからもう早く全部談して! 忿らないから! やりたい事とか可能な限り協力するから! 降参するからもう勘弁して!!
いやー、この先が書けなくてですねー。
ラノイの暴走と云うか 脱線? が酷くて、譚がちっとも進まなくてですねー。
リーゼロッテに自白させるまでエロ攻撃がやまない展開になったりとですねー、削除の嵐でしてねー。
もうやだ我儘自分勝手自己中な国王とか書きづらい制御デキナイこの続きとか再来年になりそうでコワイ。
HA HAHA HAHAHA A-HA HA HA!




