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猫かぶり勇者の無自覚無双 〜『頼りない僕ですみません』と泣き落としつつ、裏で魔王軍をボコボコにする〜  作者: Iori-y-


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第21話:他国の女性勇者が思い上がって宣戦布告してきたので、全力で介護されておきます

「ルカ様、お粥が冷めてしまいますわ。ほら、あーん」

「あ、あーん……(モグモグ)」


最高神をハッキングして世界を救ってから1ヶ月。

僕の「1年間寝たきり(大嘘)」という第2防衛ラインは、神界の資産(国家予算の数百倍)を横流しした超最高級ベッドの上で、いよいよ完成の域に達していた。


僕の周りには、僕のよだれを拭くタイミングを虎視眈々と狙うエレノア様、僕の足を独自の聖騎士流マッサージで揉みほぐすセリア、そして僕の隣でクッキーを貪る元四天王ベアトリス。

さらに部屋の隅では、エプロン姿の元・最高神(幼女)が、涙目で床を雑巾がけしている。


(天国。ここが天国か。神をハッキングして本当に良かった。もう一生このベッドから出ないぞ)


そんな僕の「絶対不可侵ニート領域」が、大きな足音によって乱暴に破られた。


バァァァン!!!


「ここか! 魔王や神を『小細工』で倒したと噂の、卑怯極まるお荷物勇者の部屋は!」


部屋の扉を蹴り破って入ってきたのは、まばゆい黄金の聖剣を携えた、気の強そうな美少女だった。

露出度の高い白銀の軽装鎧を纏い、豊かな金髪をポニーテールに結わえている。背後には、彼女の息がかかった聖国のエリート騎士たちがズラリと並んでいた。


「私は隣国・ルミナス聖国の『正統なる光の勇者』、ソフィア・ローゼンベルク! ルカ・レインワース、貴様に宣戦布告を申し渡す!」


ソフィアとかいう女性勇者は、ベッドの上でパジャマ姿の僕を聖剣でビシッと指差した。


(うわぁ……なんか面倒くさそうな『自称・正統派』が来たよ。っていうか扉壊すなよ。元最高神の雑巾がけの仕事が増えるじゃん)


「……不躾ですわね、聖国の小娘が」

エレノア様の声音が、一瞬で絶対零度まで低下する。

セリアもマッサージの手を止め、鋭い眼光でソフィアを睨みつけた。


「我が聖騎士団(※辞職済み)の至宝たるルカ殿に、その汚い剣を向けるな。万死に値するぞ」


しかし、ソフィアはふんと鼻で笑った。

「お黙りなさい、帝国の女狐たち! 騙されませんよ! 巷では、この男が『視線だけで魔王軍を消した』だの『寝返りで神獣を滅ぼした』だの言われているようですが……すべて大嘘! 教会の調べで、この男が【一週間に10秒】、今や【1年間寝たきり】のただのポンコツであることは割れているのです!」


ソフィアは勝ち誇ったように胸を張る。


「要するに、ただの一発屋! もしくは、裏で何か強大な禁忌の魔道具をコソコソ使っているだけの詐欺師です! そんな男が『世界最強の勇者』などと持て囃されるのは、真面目に努力してきた私への冒涜! だから――」


ソフィアは不敵に微笑み、僕に向かって言い放った。


「3日後、帝都の決闘場にて私と戦いなさい! 逃げるなら、そのベッドごと貴様を聖剣で真っ二つにしてあげます!」


(決闘ぉ? 嫌に決まってるじゃん。僕いま『寝たきり』なの。3日後に元気にステージ立ってたら設定崩壊するでしょ? 明日からのニート生活どうしてくれんのさ)


立ち上がってワンパンで済ませる。それは簡単だ。

でも、それでは僕の第2防衛ライン(1年間寝たきり)が崩壊する。


(よし……今回も『徹底的な弱者(被害者)』として、ベッドの上から一切動かずに、こいつを社会的に、かつ物理的に分からせよう)


「う、あ……。ひ、ひぃっ……!」


僕はベッドの中で、わざとらしくガタガタと震えだし、エレノア様の服の裾をギュッと掴んだ。


「エ、エレノア様……怖いです……。聖国を代表する本物の勇者様の、その眩しすぎる聖剣の輝き(※僕からしたら蛍光灯以下)だけで……魔力を失った僕の身体は、消えちゃいそうです……っ。う、ううっ、僕なんかが生きていてすみません……っ!」


もちろん1ミリも響いていない。

しかし、僕の「迫真の涙目(偽)」を見た瞬間、部屋の中の空気が、ガチで物理的に凍りついた。


「ルカ様を……怯えさせた……?」

エレノア様の背後に、どす黒いハッキング魔力のオーラ(神界の残滓)が立ち昇る。


「ルカ殿の清らかな心を、その傲慢な言葉で傷つけるとは……絶対に許さん」

セリアの剣から、かつてないほどの殺気が爆発する。


「お前、ルカ様を泣かせたな? お前んとこの国、クッキーの輸入止めて滅ぼしてやる……!」

ベアトリスも魔王軍時代のガチの邪視を解放した。


さらに、部屋の隅で雑巾がけをしていた元・最高神(幼女)までもが、

「我がルカの、完璧なニートスケジュールを乱す不届き者が……。神界の裁き(物理)を下してやろうか……」

と、はたきを握りしめてソフィアを睨みつけている。


「な、なによその目は……っ! 怯えるフリをして女の後ろに隠れるなんて、どこまで卑怯な男なの! 3日後、絶対に逃がさないからね!」


ソフィアは、部屋を包むあまりの異常な殺気に少し顔を引きつらせながらも、捨て台詞を残してバタバタと去っていった。


(よし、完璧。ソフィアちゃん、君の思い上がり、3日後の決闘場で『寝たきりのまま』100万倍にして返してあげるからね。お楽しみに)


僕の合法ニート生活を脅かす「勘違い勇者ざまぁイベント」の幕が、ベッドの上で静かに上がった。


(第22話へ続く)

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