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CORE  作者: 北小松 耕作
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第6話 氷の大地


アイスランドは灰色だった。

レイキャビク郊外の小さな空港に降り立った時、空は低く垂れ込め、風が容赦なく吹き付けていた。遠くに火山の稜線が見えた。大地そのものが生きている場所だった。

「寒い」キムが言った。「なんでこんな場所なんだ」

「地殻が薄いからだ」イワノフが言った。「文句を言うな」

レンタルした四台の車に分かれて、目的地へ向かった。イワノフが事前に手配していた廃工場だった。かつて漁業用の機材を保管していた場所で、今は使われていない。港から離れた荒れ地の中に建っていた。

工場の中は広かった。イワノフの設計図通りに製造された掘削カプセルの部品が、すでに届いていた。キムが手配したルートで、国家にも気づかれずに運ばれていた。

カルロスが部品を一つずつ確認した。無口な男が珍しく口を開いた。

「よくできてる」

「当然だ」イワノフは胸を張った。「ワシが設計した」

「組み立てに三日かかる」

「二日でやれ」

カルロスはイワノフを見た。老人は目を逸らさなかった。カルロスは短くため息をついた。「わかった」

マックは工場の外に出た。風が顔を叩いた。遠くの丘の向こうに、光が見えた。車のヘッドライトだった。複数台、動いていない。

ジャックが隣に来た。

「ロシア側だ」ジャックは静かに言った。「十二キロ先で掘削準備を進めてる。キムの情報だと、あと十日で開始する」

「十日か」

「こっちは二日で組み立て、テストに一日、残り七日で到達しなければならない」

「イワノフの計算では?」

「理論上は可能だと」

「理論上か」マックはジャックの言葉を繰り返した。

二人は少し笑った。砂漠で死にかけた夜も、こんな風に笑った気がした。笑うしかない状況で笑う、それがこの仕事だった。

夜、全員が工場の片隅に集まって食事をした。キムが調達してきた缶詰と硬いパンだった。

「最悪だ」キムが缶詰を見て言った。

「贅沢を言うな」レイラが言った。「生きてるだけましだ」

「そういうセリフ、もう少し状況がやばくなってから言ってほしい」

「今でも十分やばい」

イワノフが缶詰を器用に開けながら、マックに言った。「サラさんはどんな人だ?」

マックは少し間を置いた。

「強い女だ」

「強い?」

「俺と十五年一緒にいた。それだけで強さがわかる」

イワノフは笑った。カルロスも口の端を上げた。レイラが静かに頷いた。キムだけが「それ褒めてんの?」と言った。

誰も答えなかった。でも場が少しだけ柔らかくなった。

マックは工場の天井を見上げた。鉄骨の向こうに、アイスランドの夜空があった。星が出ていた。

サラ。

もう少しだけ待っていてくれ。

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