表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CORE  作者: 北小松 耕作
4/12

第4話 集結


一週間後、ジャックが指定した場所は港の倉庫だった。

錆びた扉を開けると、すでに人影があった。マックは入り口で立ち止まって、一人ずつ確認した。

カルロスが壁にもたれて腕を組んでいた。マックより二つ年上、南米出身の爆発物処理の専門家。かつて同じ現場で何度も汗を流した男だ。五年前、国家に無実の罪を着せられて現場を追われた。それ以来会っていなかった。目が合うと、カルロスは顎をしゃくった。それだけだった。昔から口より体で話す男だった。

「久しぶりだな」マックは言った。

「ああ」カルロスは答えた。「サラの話は聞いた」

それ以上は何も言わなかった。それで十分だった。

奥の木箱に腰かけていたのはレイラだった。短く切った黒髪、鋭い目。元特殊部隊、ジャックの古い仲間だ。三年前の極秘作戦で部隊を全員失った。生き残ったのは彼女だけだった。その後、国家は作戦そのものをなかったことにした。

「ハント」レイラは言った。「あなたの話はジャックから聞いた。一つだけ確認させて」

「何だ」

「これは感情で動く作戦じゃない。妻を取り戻したいのはわかる。でも感情が判断を狂わせた瞬間、全員死ぬ。それを理解してる?」

マックはレイラの目を見た。冷たい目じゃなかった。仲間を全員失った人間の目だった。

「理解してる」

レイラは頷いた。それで終わりだった。

隅っこでノートパソコンを開いていた若者が顔を上げた。キム。二十代半ば、アジア系、皮肉屋の顔をしている。国家のシステムに侵入して陰謀を掴んだハッカーだ。その後追われる身になって、イワノフに匿われていた。

「で、これが例の掘削屋?」キムはマックを見て言った。「思ったより地味だな」

「お前が派手すぎるんだ」ジャックが言った。

「で、イワノフのじいさんはまだ来てないの?」

「来る」

その言葉が終わらないうちに、扉が開いた。

白髪の老人が入ってきた。背は低いが、目だけが異様に鋭かった。分厚いコートを着て、古い革のカバンを肩から提げている。ジョセフ・イワノフ。元ソ連の科学者。コアの研究を生涯続けてきた男。

老人はゆっくりと室内を見回して、マックを見つけた。

「やあ」イワノフは言った。ロシア訛りの英語だった。「久しぶりだな、マック」

「ああ」

「あの時の冗談、覚えてるか?」

「もっと掘れば金が出るぞ、だろ」

イワノフは白い歯を見せて笑った。

「冗談だと思っとったか?ワシはずっと本気だった」

老人はカバンをテーブルに置いた。中から分厚いファイルを取り出した。図面、数式、データが詰まっていた。ソ連時代から続けてきた研究の全てだった。

「行ける」イワノフは言った。「コアへ。ワシならわかる、道が」

五人がイワノフを囲んだ。

全員が国家に捨てられた人間だった。全員が傷を持っていた。それでも今夜、この錆びた倉庫に集まっていた。命令じゃない。義理と意地で。

マックは全員の顔を見渡した。

「一つだけ言う」マックは言った。「俺はサラを連れて帰る。それだけが目的だ。お前たちにはそれぞれの理由がある。それでいい。誰かの命令で動く必要はない」

沈黙があった。

カルロスが最初に頷いた。レイラが続いた。キムが肩をすくめた。「まあ、乗りかかった船だし」

イワノフが革のカバンを持ち直した。「では、始めようか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ