表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CORE  作者: 北小松 耕作
3/12

第3話 再会

行くよ。

CORE

第三話「再会」

マックはすぐに答えなかった。

ジャックを最後に見たのは、七年前だった。中東の砂漠、作戦が崩壊した夜。敵に囲まれて動けなくなったジャックを、マックは一人で引きずり出した。膝に銃弾を受けながら。夜明けまで砂の中を這って、二人でなんとか生き延びた。

その後ジャックは国家の内通者になった。マックはそれを後で聞いた。何も言わなかった。人間、生き延びるためにできることをするしかない。

「生きてたか」

マックは言った。

「お前のおかげでな」ジャックはバーボンを一口飲んだ。「座ってた場所が、お前の隣だったのは偶然じゃない」

「知ってた」

「そうだろうな」

二人はしばらく黙って飲んだ。バーの奥でジャズが低く流れていた。客は他に二人だけ、それぞれ自分の世界に沈んでいた。

「サラのことは知ってる」

ジャックが静かに言った。マックはグラスを置いた。

「どこだ」

「今はまだ言えない。でも生きてる。俺が確認した」

「お前は向こう側の人間か」

「だった」ジャックは首を振った。「今は違う。マック、俺はずっと監視してた。お前じゃない、奴らをだ。この計画、最初から知ってた」

マックはジャックの目を見た。嘘をつく目じゃなかった。砂漠で死にかけていたあの夜も、この男は嘘をつかなかった。

「話せ」

ジャックは低い声で話し始めた。コアの金のこと。金本位制の計画のこと。ロシアとの競争のこと。そしてサラが監視対象になった理由。イワノフのこと。全部。

マックは一言も遮らなかった。

話が終わった。バーボンがいつの間にか空になっていた。

「俺一人じゃ無理だ」マックは言った。

「わかってる」ジャックは頷いた。「だから俺が集める。昔の仲間を。みんな同じだ。国家に使い捨てにされた連中ばかりだ」

「なぜそこまでする」

ジャックは少し笑った。自嘲するような笑いだった。

「七年前、お前は膝に弾を受けながら俺を引きずった。砂漠を一晩中。俺はずっとその借りを返せないまま生きてきた」ジャックはグラスを置いた。「今度は俺が、お前を救う番だ」

マックは何も言わなかった。

言葉より重いものが、その沈黙の中にあった。

「イワノフはどこにいる」マックはようやく口を開いた。

「俺が知ってる」

「仲間が揃ったら動く」

「ああ」ジャックが立ち上がった。「一週間くれ」

マックも立ち上がった。二人は握手した。七年分の重さがある手だった。

バーを出ると、夜の空気が冷たかった。マックは空を見上げた。雲の切れ間に、星が一つだけ見えた。

サラ。

必ず帰る。それだけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ