第95話 合否確認
私立の入試から、今日でちょうど1ヶ月が経過した。今日ようやく、私立と公立、両方の合否が発表された。
「じゃあ、見に行こうか」
私立と公立の合否は、別々に発表される。というより、別のところに貼り出される。
「どっちから行くっ!? 私は、自信ある私立からがいいけどっ!」
「⋯⋯じゃあ、私立からで」
栞凛はなぜか、異様にテンションがように見える。まぁ、テンションが高いのは、いつもだし、いいや。
「私の番号、あるといいなーっ!」
「⋯⋯あると、いいね」
そして少しすると、看板が見えてきた。
「あっ! あれじゃない!?」
「⋯⋯多分」
栞凛が指差す先には、掲示板のところに、でかでかと紙が貼ってあった。その周りには、人だかりが——できていなかった。
「あれ? 誰もいないけど、みんな、興味ないのかなー?」
「web上でも調べられるし、みんな家で調べてるんだろ」
「⋯⋯えっ!?」
栞凛の心からの驚きが出た、ような気がする。——多分、本当に知らなかったんだろうね。
「そうなの?」
「うん。先生言ってたじゃん」
「⋯⋯」
しばらく、無言の時間があった。
「⋯⋯聞いてないんだ」
「てへっ☆」
栞凛は頭をポンッと1発叩き、ウインクをして、舌まで出している。
「てへっ、って。まぁ、いいけど」
「じゃあ大輝くんはなんで来たの?」
「いや、webだとすぐに結果がわかっちゃうから、ドキドキしないし」
緊張感というものがない。みんな、せっかちすぎるんだよ、別に、結果は逃げないんだから⋯⋯結果からは、逃げるかもだけど。
「確かにっ! あっ! 私も最初からそう思ってたもん! 決して、けーっして、先生の話を聞いてなくて、知らなかったわけじゃ、ないんだからねーっ!」
「はいはい。とりあえず、番号探すよ」
僕はガラガラな掲示板へ近づいて、1つずつ自分番号ではないか、確認した。
「大輝くんっ! 見て! 私あったよ! これっ!」
「⋯⋯よかった、ね」
よかったよかった。合格してくれて。
栞凛は自分の番号を指さしながら飛び跳ねていた。
「あ、僕のもあった」
「ほんとっ!? やった! これで一緒に通えるねっ!」
でも、僕、星稜行く気がするけど、まぁいいや。
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やっぱり、公立の方もガラガラだった。
「さてっ! 次も見てみようっ!」
「⋯⋯番号、あるといいな。あってほしいな」
僕は自分の番号を探した。それと同時に、栞凛も探し始めた。
「⋯⋯あ、あった」
僕は自分の番号を見つけて、安堵していた。だけど、隣の栞凛は、顔面蒼白になっていた。
「⋯⋯嘘、だよね⋯⋯?」
「⋯⋯あっ、た?」
栞凛の番号も、あってほしい。僕だって、嘘であってほしい。
「ない、かも⋯⋯」
「待って、まだわかんないから。僕も探す」
栞凛から受験番号を聞いて、僕もその紙とにらめっこしてみた。
——でも、それでも、いくら探しても、栞凛の番号は、見つからない。
「⋯⋯ない」
「⋯⋯うん」
僕は、なぜか、落ち込んでいた。自分のことのように、なぜか、落ち込んでいた。
——僕の番号は、あった、そのはずなのに。なぜか、落ち込んでいた。
「帰ろっか」
「⋯⋯うん」
僕と栞凛は、重たい雰囲気を感じながらも、帰ることにした。
——今も、僕の鞄には、マカロンが居座っているというのに。これをあげれば、ちょっとは、マシになるよね。栞凛も、喜んでくれるよね⋯⋯きっと——。
僕は、受かった。受かってしまった。だからか、栞凛の気持ちがわからない。だけど、その気持ちを少しでも、和らげてあげたかった。




