第93話 面接試験
ついに、公立受験の日がやってきた。
結局、栞凛との関係が修復しないまま、ここまで来てしまった。
「なんか最近、物足りないな。1人いないだけで、変わるんだな」
僕は1人でトボトボ、受験会場まで向かっていた。——でも、やっぱり、何かが足りない。
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「始め」
私立のときと同じような合図から、入試が始まった。
筆は、すらすら進んでいく。だけど、心の奥にはずっと、栞凛のことが生きている。
筆は進む。けど、関係は後戻り。僕は、これをどうすればいいんだろう。僕には、いつ解決できるんだろう。僕には、多分、どれだけ勉強しても、理解できないことだった。
「やめ」
同じよな終了の合図で終わった。
「ふぅ」
今日は、椅子に体重を預けた。
全員が出ていったら、僕も行こうかな。
「明日面接かー。だりぃー」
「うわー、緊張するなー」
そうか、面接か。
私立では、面接試験がない高校を選んだけど、公立はどの高校も、面接試験がある。めんどくさいなぁ。
声が少なくなっていき、最後には、僕だけが残った。
「今日は、ゆっくり帰ろうかな」
今日は、とりあえず家に向かって帰ることにした。
「栞凛の家は、行かないでいいか。まだ、機嫌が悪いだろうし」
僕は一直線に、家へ向かうことにした。
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次の日、面接試験が行われた。
学校で、うるさいぐらいに言われたことを意識して、試験に挑むかな。
刻一刻と時間が過ぎていき、気づけば、もう僕の番になっていた。
3回ノックして入る。声はできるだけ、大きく、お腹から。
「失礼します!」
僕にしては珍しく、声が出た。多分、聞こえたと思う。
椅子の前まで歩いていった。
「どうぞ、座ってください」
「失礼します」
ちゃんと、指示されてから座る、を徹底した。
「それでは、本校の志望理由を教えてください」
出たな、定番の質問。それは、ちゃんと用意してきた!
「御校では、色々な分野の学習をすることができ、まだ好きなものがない僕にとって、とても魅力を感じました」
なるべく、簡潔に、ただ、情報はきっちりと。それも、大きな声で。
「あなたの中学校での1番の思い出は、なんですか?」
僕はそれを聞かれたとき、ドキッとした。
もちろん、定番の質問だから、用意はしている。だけど、ど忘れしてしまった。やばい、なんにも覚えてない。
僕は頭をフル回転させて、思い出を探した。——けど、1つしか出てこない。仕方ない、これを言うか⋯⋯。
「中学校では初めて、友達と自信をもって呼べる人ができました。その友達は、すごく明るくて、クラスの人気者でした。その友達は、僕にも優しく話しかけてくれました。僕が教室で1人のときも、積極的に話しかけに来てくれました」
友達——栞凛だ。もう、友達ですら、なくなるのかもしれないけど。
「ただ、その友達と喧嘩してしまって。その友達とは、未だに和解できていません。それをどうすれば良いかなと思い、最近では、人工知能や両親などに聞いて、どうにか仲直りしようとしています」
僕が今、即興で思いついた文にしては、かなりはっきりできたと思う。
その他にも、色々聞かれて、面談は終了した。
「失礼しました」
と、扉を閉めて、僕はそこを後にした。
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全員の面談も終わり、ようやく帰るときが来た。
入り口の付近には、なぜか男子が集まっていた。
——そんなの、僕には関係ない、はずだった。




