第83話 AIって便利
「ねぇ、年越しにできる恋愛運をアップさせる方法は!?」
私はそうやって、AIに聞いていた。最近、AIって便利だよね。なんでも教えてくれるんだもん。
『赤、またはピンクの下着を身につける』
だって。赤い下着、あったかなぁ?
私はクローゼットを開けようとした、けど、やめた。土砂崩れが起きちゃうから。
「ねぇママー! 赤い下着ないー?」
「急にどうしたの? 栞凛」
「ううん! なんとなく⋯⋯」
私がそう言っても、多分簡単には信じてもらえない。だけど、多分、AIが言う通りなんだろうね。
「まぁ、あるわよ。ちょっと大きいかもしれないけど、いいかしら?」
「全然いいよっ! そうすれば——ふふっ」
未来のことを想像していたら、思わず笑っていた。大輝くんが、面白そうなんだもん。
「これでいいかしら?」
ママは赤い下着を持ってきてくれた。——これ、ママつけてたのかな? まぁ、いいや。
「うん! ありがとっ!」
私はママから奪い取るように受け取ると、すぐに自分の部屋に戻った。
「えっと、他になんかない?」
これだけじゃ、絶対足りない! 甘ったれちゃいけないからっ!
その一心で、もう1回AIに質問してみた。
『2人で抱きしめ合って新年を迎える』
抱きしめ合う⋯⋯? どうしよう、できるかなぁ?
私は、大輝くんと抱きしめ合って新年を迎えるところを、想像してみた。
「恥ずかしいよぉ〜」
私の脳は勝手に大輝くんと抱きしめ合ってる姿の妄想をしていた。私の脳の制御が効いてないんだけど!?
「ちょっと、なんか、他のがいいな〜」
私は他の案がほしいなーって、AIに聞いてみた。
『その彼とは、今どういう関係ですか?』
どういう、関係⋯⋯? どういうって言われても、なぁ。私は、カレカノでありたいよ? もちろん。だけど、多分、大輝くんは許してくれないしなぁ。
「えっと、友達以上、恋人未満、みたいな? 私はカップルだと思ってるけどね?」
よしっ! 私はそうやってAIに言った。
『そうでしたか。なら、こちらの方法はどうでしょうか?』
私は下にスクロールして、『こちら』の内容を確認してみた。
『手をつなぎ、目をつぶりながら新年を迎え、彼と10秒以上目を合わせてみてください』
——え!? だ、大丈夫、かなぁ?
「できるか、不安なんだけど⋯⋯」
『そうですね、もし失敗してしまったら、以下のことでもよいかもしれません』
私は覚悟を決めて、下へスクロールした。⋯⋯覚悟って言っても、決めるものないけど。
『彼と手をつなぎながら、新年最初の朝日を浴びてみてください』
朝日、かぁ。起きられるかなぁ? ううん! 大輝くんのためなら、大丈夫! だと思いたい!
「ありがと。じゃあ、私頑張ってみるね」
『彼といい関係を築けるといいですね。応援しています! また何かあったらいつでも言ってくださいね!』
私はそのAIとのトーク履歴を、削除しなかった。このAIなら、わかってくれる、乙女の気持ちを。このAIは、いつまで、一緒にいるのかな⋯⋯?
私はスマホを握り直して、トーク画面を開いた。大輝との。
「今日、通話しない?」
私はそうやって送った。本当は、大輝くんと一緒にいたかった。だけど、受験だし、忙しいよねって、私はちょっと遠慮したの。新年は、まだあるんだし——。
『通話で、いいの?』
そうやって、返事が来た。いつもの大輝くんより、早い。返信が、早い気がする。
「わざわざ聞いてくる!? ってことは、一緒にいたいってことだよねっ!」
私は早速スマホを伏せて、支度を始めていた。




