↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、逃げ場を封じられたのだが?〜  作者: 古治
文化祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/92

第80話 綺羅びやかな夜空

 もう冬休み。と言っても、たかが2週間。中3の冬休みなんて、どうせ勉強三昧なんだろうけど。


 そんなある日、僕のスマホが音を立てた。


『今日の夜、暇かな?』

 

 差出人は、もちろん栞凛だ。


「多分」


 僕はスマホにそうやって打ち込んだ。多分って、どういうことや。


『じゃあ暇だね』


 10秒もしない内に返事が返ってきた。栞凛、打つのはっや。


「かもしれない」

『駅前で、待ってるから』


 僕は、適当に返事をしていた。本当に、暇なのかわからない。だけど、忙しいとは言いたくない。嘘では、ないかもしれないけど。

 

「わかった」


 僕はそれだけ送ると、スマホをパタンと裏返しに置いた。

 ふと、机に目をやると、カレンダーが激しく主張をしてくる。


 そうか、今日——クリスマスか。

 そんなこと、すっかり忘れていた。



 ******



 5時を知らせるチャイムが鳴った。それは、駅だからか、いつもより大きかった。

 僕は予定よりかなり早く来ていた。なぜか、体が我慢してくれなかった。


「なんで、こんなに早いんだろ」


 僕は自分の行動が不思議でならなかった。こんなに早く出なくていいはずなのに、なぜか、家を出発していて、なぜかここに到着していた。

 ——それは、僕だけではなかった。


「ごめん、待った?」

「いや、全然」


 5時のチャイムが鳴り終わると同時に、栞凛が姿を現した。——7時集合の、はずなのに。


「えっと、早すぎちゃったね⋯⋯」

「⋯⋯うん」


 まだ、2時間もある。ここがライトアップされるまで、あと2時間。

 今は、イルミネーションが張り巡らされているだけで、全く光が灯っていない。


「ちょっと、海でも見に行く?」


 栞凛が、つぶやいた。


「行っても、いい」

「じゃあ、行こ」


 そう言っても、なぜか栞凛は動き出さない。


「クリスマスぐらい、手を繋ごうよ」

「⋯⋯うん」


 僕は、頷いた。頷いてしまった。なぜか、首を横に振ることができなかった。

 

「じゃあ、行こ」



 ******



 あれから、かなり歩いた。スマホを見てみると、もう6時を回っていた。


「やっと、ついたね」


 水面が星の光を反射して、キラキラと輝いていた。

 その上に、1本だけ大きな建物が立っていた。


「灯台、登る?」

「⋯⋯どっちでも」


 僕は、曖昧な回答しかできなかった。なんでだろう。断りたいのに、断れない。

 

「行こ」


 栞凛に手を引かれて、僕らは1本飛び出ている通路から、灯台へ向かった。

 灯台は、小さな光が、あたりを少し照らしていた。

 


 

 頂上に着くと、それはまた綺麗だった。

 静かに揺れる水面が、綺羅びやかな空の星をこれでもかと照らし、奥の方には、船の光のようなものまで見えた。逆を見ると、これまた綺麗だった。カラフルな光が街中を明るく染めていた。


「ね、ねぇ、大輝くん」

「ん?」

「こんなところで2人きり。どういうことか、わかる?」


 こんなところ。灯台の上。砂浜にも、誰1人として姿を現そうとしない。つまり、2人きり。それが、どういう意味を差すのか。

 別に、ただの灯台の上。どこにでもありそうな、灯台。ただの砂浜。ただの海岸。夜空だって、どこでも見られる景色。そして2人きり。誰の目も届かない、2人きり。いや、誰かは、見ているのかもしれない。このシチュエーションが何を差すのか。何をするのか。栞凛は何を考えているのか。全ては、栞凛の頭の中、想像上のものでしかない、のかもしれない。のだと思う。栞凛は一体——何がしたいんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。