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陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、逃げ場を封じられたのだが?〜  作者: 古治
文化祭編

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第77話 お魚さんたち

「はぁ、はぁ、逃げ切ったぁ⋯⋯」

「大輝くん、ひどいっ! 乙女の気持ちを考えないなんて!」


 栞凛は顔を前に突き出して、思いっきり頬を膨らませならが、文句を言ってきた。

 乙女――かは知らないけど、考えたと思うよ?


「未成年の異性がうまれたままの姿を見せ合うなんか、ありえない」


 僕は少し言葉を選んでそう伝えた。


「じゃあ、今日は絶対、一緒に寝てもらうからっ!」


 栞凛は僕の手を無理やり引っ張って、ベッドの上に連れられた。


「大輝くん、ほら、こっちおいで?」


 と、栞凛は僕を誘惑するような顔で誘い込んでくる。両手を広げて。

 ――見なかったことにしよう。僕は反対を向いて、壁と向き合った。


「ちょっと!? なんで無視するの!?」

 

 僕はそのまま栞凛を無視して、狸寝入りを始めた。


「もう、照れ屋さんっ!」


 栞凛はそう言うと、僕に腕を回してきた。そして、耳元でこうささやく。


「ふふっ――明日、覚悟してね?」


 その言葉が耳に入ったそのとき、僕の背筋が完全に凍った。もう、ヒヤッとしたよ。


 

 ******


 

「だーいーきーくんっ! 朝だよーっ!」


 朝の眩しい日差しが、カーテンの隙間から差し込んできた。栞凛の眩しい笑顔も、僕のまぶたの隙間から入り込んでくる。


「う〜ん」

「おはよっ! さ、早く!」


 栞凛はどこか楽しげな雰囲気だった。


「ほら! 今日は水族館でしょ! 行こうよ!」

「⋯⋯うん」


 仕方ない。ついていくかぁ。


 

 ******


 

「2枚、お願いしますっ!」


 水族館のチケット売り場に行くと、栞凛が即注文をした。


「失礼ですが、2人の関係は?」

「友達――」

「カップルですっ! 今日はデートで来ましたっ!」

 

 栞凛が僕の言葉に割り込んで来た。何をそんなに。

 栞凛は僕の手を握る力を強めていた。

 

「それでは、割引をさせていただきますね」


 ピピピッと、慣れた手つきでレジを打ち込んでいく。


「それでは、お楽しみくださいませ」

 

 料金を払うと、イルカの絵が描かれたチケットを2枚、手渡された。


「ありがとうございますっ!」


 栞凛は輝かしいほどの笑顔でチケット2枚、受け取った。


「さっ! 行こっか!」


 栞凛は僕の手を引いて水族館内に入った。


「⋯⋯うん」



 ******



「見て! おっきなお魚さんがいるよ!」

「⋯⋯ジンベイザメだね」

「あ、あっち! たっくさん集まってるよ!」

「⋯⋯あれはイワシ、かな」


 すごく無邪気に大きな水槽を眺めている。その姿が、なぜか懐かしい。


「うわっ! なんかニョキって生えてきた!?」


 今度は小さめの水槽がたくさん並んでいるところに来た。


「チンアナゴかな。僕は好きだよ」

「え!? じゃあ私も好きー! チンアナゴ、可愛いよねー!」


 栞凛と一緒に魚を眺めていると、遠くからこんな声が聞こえてきた。


「イルカショーで〜す! 今からイルカたちがあなたに素晴らしいものを見せてくれますよー! 見ていきませんかー!」


 スタッフらしき人が、ちょっと奥の方で頑張って声を張り上げているように見えた。


「大輝くん、行こ?」

「うん。わかった」


 僕と栞凛は、手を繋いで、イルカショーを見ることにした。


「水がかかるかもしれないので、カッパもいかがですかー? 1つ100円でーす!」

「2つ、お願いします」


 僕は仕方なく200円を取り出して、スタッフに手渡した。


「お買い上げ、ありがとうございます!」


 僕は少し頭を下げて、イルカショーの会場へ向かった。

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